!!!第13回おさらい !!今日のおしながき * 相転移の熱力学 ** 相と相転移 ** 二相平衡 ** 共存曲線 !!今日のまとめと反省 今回は,熱力学の知見からすぐにわかる相転移に関する知見を示しました.まず,相とか相転移について簡単にまとめて,液相と気相が共存する状況についての熱力学を考察します.それは前回のGibbsの自由エネルギーから言えることで,一次の相転移で,二つの相が共存する場合の条件式を陽に書いてみました.いわゆるクラウジウスークラペイロンの関係式で,左辺は共存曲線の傾きで,右辺では共存曲線上のエントロピーと体積の飛びの比になっていて,これらが結び付いています.全く自明ではない関係式です.もっとも,この式を導く過程は自明な条件の連続でした.右辺の情報から,相図の様子がわかります.たとえば,水の相図がどんな形になっているかを,理科年表の情報からざっくり書いてみました. 今日で,熱力学の講義は終了.8月の終わりに「大質問大会」をして,9月の頭に試験です.がんばってください. !!今日の宿題 *水の融点は圧力が上がるとどうなる? *水の氷点は圧力が上がるとどうなる? **クラウジウスークラペイロンから説明せよ. ** これでスケートが滑る理由になるのか,議論せよ. !!配布するファイル *レポート問題3の解答例とノートとレポート問題4:{{ref Report4.pdf}} **レポートの〆切は,8/8とします. !!今日の質問 !相は3つしかないのか? !相境界は閉じているのか? !エントロピーの話 !力学と不可逆の話 !!今日の投票用紙の裏より 今回はアンケートをお願いしたので,投票用紙はなし. !!今日の雑談 *今日の投票数は,{{colorsize red, 6, 97}}でした.アンケートをお願いして,その回収数を数えた結果は...100を切っていました.回収袋の表紙に履修人数が明記されていて,それは130を超えていたので,確実に8割を切っていることが判明しました.駒場に着任して,前期の講義としては初めて3限を担当しました.これまでは1限や2限ばかりだったので,人の集まりやすい時間であったはずで,それにもかかわらず,8割を切ってしまったのは痛恨の極みです.いまひとつだったということですな. *講義の最後にはアンケートをお願いしました.裏にいろいろ書いてもらうように促すのを忘れていました.それでもいくつか厳しめのコメントを頂いていました.集計が帰ってきたときにコメントを返します.いま覚えているのは... **3章まではいらなかった. ***これは反省点ではあります.ただ,簡単なところほど説明は難しいものです.例えば,熱容量が正であることを,熱力学的に示すことができたのは実は12回目です.でも,それまでに熱容量とは何かをきちんと説明する必要があって,それは前半の大事なことだと思っています.それくらいは知っているという主張で,ばかにするなってことなんですけど...けっしてばかにしているわけではないです.自明だと思っていたことを,もう一度冷静になって考えてもよいのではないかということです. **さっさと統計力学をやればよいのに. ***これはやっぱりちがうのです.第一回目に強調したように,ミクロを見ないことの意義もあるわけで,例えば生物をこれからやろうという人にも是非わかってほしい概念です.DNAの存在を知ってしまってけど,遺伝のマクロな法則が作れるか?というかそもそもそんなものあるか?ってことです.私は統計力学が好きで,それで仕事をやっているようなものですけども,それと熱力学のすごさは別物です.統計力学がわかれば熱力学がわかるなんていう誤解は,{{colorsize red, 5,他の大学ならまだしも,ここ駒場では許されないですぞ.}}といったところで,この真の意味は伝わらないと思いますが,もし将来物理を専攻することがあったとしたら,そのときにこの駒場のスタッフを眺めてみると納得できると思います.それはともかく,全然学生さんたちに伝わっていないわけではなくて,ミクロを見ないことの大切さを理解してくれている学生さんもいたのはうれしいことでした.何回目かの講義の後で「ミクロは見ないって言ってたじゃない」と突っ込まれたときは,ちょっとだけうるっときました. *アンケートをお願いしているときにもちょっとだけ話したのですが,ある学生さんのレポートに講義を受けるみなさんの雰囲気がよいと感じていることが書かれていました.よいことです.なんとなく,学問に乗り切れないクラスであったとしても,個人の問題としては関係のないことなのですが,前向きな雰囲気があることは刺激としてよいです.もっといろいろと議論できればよいですね. !!今回のWEB投票 *今日の講義の出来は? {{vote2 nr-2007-13,よい,ふつう,ダメ}} !!今回の一行コメント {{comment}} ---- {{counter2 nr-2008-13}}