!!!第9回おさらい !!今日のおしながき *3 熱力学第二法則 ** 3-6 熱力学温度 つづき ** 3-7 Calusius の不等式 ** 3-8 エントロピー !!今日のまとめと反省 講義が始まるまでさんざん悩んだ末に,やはりCarnotサイクルの計算をやっておくことにした.例題を示していない...とさんざんレポートに文句をいわれていることに反応しているつもりである.やるべきことは,仕事と熱の計算であるが,そのための知識は第一法則でつきていて,あとは理想気体の状態方程式を使うのみである.ほれほれと計算すると,前回のCarnotサイクルの熱効率の式が出てくる.前回のCarnotサイクルが抽象的だと思えた人は,具体的に理想気体をピストンにいれてこのサイクルを回したと思えばよい.一方で,前回は一般的な性質として求めたので,今日はその特殊な例を,第二法則など使わないで求めたと思ってもよい.このちょっとした不思議さは下の宿題に. Carnotサイクルの性質がよくわかったところで,もう一度まとめておいた.熱の受渡しに関しては,換算熱(熱量を熱源の温度で割った量)を上からもらってそのまま下に渡しているよに見える.この一般化を考えてみたい.すなわち,熱源の温度はどんどんかわりながらサイクルを回したらどうなるかということである.この複数の熱源と熱のやりとりをしながら回るサイクルCの性質を議論することが今日のメインテーマである.手順は,複数の熱源と熱のやりとりをしながら,一度サイクルを回して,その熱源の熱を補填するように親分の熱源とCarnotサイクルを回すことにする.すこしいややこしい議論の後でわかることは,サイクルCのもらう換算熱に関してきれいな条件分けができることである.(a)換算熱が0のときはこれは熱源がふたつのときにはCarnotサイクルにまったく対応するが,おなじように,サイクルCは可逆であることが分かる.(b)換算熱が正のときは,Kelvinの原理に反してしまってありえない.(c)換算熱が負のときは不可逆サイクルであることが示される.まとめると,複数の熱源と熱のやりとりをする一般のサイクルの受け取る換算熱はゼロまたは負であることが分かった.これはClausiusの不等式と呼ばれている.等式は可逆サイクルのときである.この不等式は一般の連続的に温度の変わる熱源では積分系として表現できる. 実はこの不等式からエントロピーが決められるわけである.サイクルが可逆のときに...といって,ある絵を描く.こっこれは,どこかで見たことのある絵だなーと思ったら,合格です.そう内部エネルギーを決めたときの絵を同じなんです.もちろん,こんどはエネルギーではないくて,換算熱に関する絵です.内部エネルギーを状態量として定義したように,この絵をみて何か状態量を決めたくならないでしょうか?これがエントロピーです.という話はまた来週. !!今日の宿題 *理想気体の断熱曲線の関係を使って,熱効率の表式を求めよ. *理想気体のCarnotサイクルの熱効率が,Kelvinの温度と無関係に求まったような気がするのはなぜか? !!配布するファイル *レポート問題3:{{ref Report3.pdf}} *練習問題の解答例つづき:{{ref Answers-NR-v4.pdf}} !!今日の質問 !仕事の符号はどうしてマイナス? これは講義中の質問.どっちが主役かで変わってくるので注意が必要.実際に講義のときには大混乱に陥ってしまう. !熱源の性質として,温度一定? 熱を出し入れするのに温度が変わらないのはへんだということでした.例えば教室の空気を熱源として,興味ある系を温度計としたら,温度を測るときには熱源と熱のやりとりをしているのですが,部屋の温度は変わらないですね.いや,変わっているけど無視できる程小さいです.熱源とはこんな巨大な熱溜めだと思えばよいと思います.あるいは,裏でこっそりエアコンを動かして温度を調整していてもよいです.このときエアコンのする仕事は本当は問題にすべきですが,熱源と思っているときには考えないことが多いです. !どうして,換算熱の合計がゼロのときに可逆サイクルだといえるのか? 上でも書いた(a)のところですが,説明をはしょったところがあったので,ゆっくりと計算を示しました.計算のための情報はすべて提供してあるので,ゆっくりやればできるはずです.ただし,やってみないとわからないのは事実なので,ここで疑問がでるのは当然です. !どうして,熱源の熱の収支まで考えるの? たしかに,巨大な熱溜めだといっているのだから,その熱はとられても熱源には関係ないはずだから,わざわざ何で補填するのか,という質問です.確かにもっともな質問です.もうちょっと強調すべきは,サイクルCとその外側の熱のやりとりを調べたいということだったかもしれません.異なる温度の熱源と熱のやりとりをするのですが,結局,今日の話では異なる温度の熱源の熱の収支はゼロにするように設定するので,あってもなかってもよいことになっています.そうすることによって,サイクルCと何か外にある(,実際には沢山の温度の熱源なのだが,)実質的に親分熱源との熱のやりとりを換算熱という量で調べたわけです. !!今日の投票用紙の裏より !徹夜はキツイです.眠いです.レポートはもう出さないで... まあ,がんばってください.徹夜は若者の特権です.年をとるとできなくなるものです.今のうちに堪能しておいてください.それから,徹夜っていうのは,文字どおり,夜を徹することですが,それでも次の日に普通に活動できるのが若者ですね.私くらいになると,夜を徹することはできても,翌日は活動停止状態になってしまうので,これは真の徹夜ではありませんね. !サイト更新ははやめにおねがいします. すみません.レポートにも何人かの学生さんから指摘されています.叱咤激励されていると思った方がよいですね.そういう今回も講義の前日になってしまいました.すまんです. !レポート難しいです. 確かに難しいです. !前回病欠しました.ついていけるか心配. がんばってください. !大質問大会までにどこが分からないかを分かりたいです. それっ,大事なところです. !下のは夏休みに実際なったら気分が変わりそうです. そういうものです.完璧に理解して,質問がないくらいになるといいですね. !質問「氷水」の温度は0.0°といえるか?温度計で測ったら,0.9°でした.一応沸騰させた水を使った.温度計がおかしいのか,それとも...? 2つ.温度計の精度の問題は確かにあると思います.どんな温度計ですかね.もうひとつは,融点は...もちろん圧力に依存します.水はちょっと変わっていて,例えば圧力が上がると,水の融点は下がります.そのせいかな. !レポートもうやです. まあまあそう言わずに. !「つけ麺」って熱力学と結構関係してませんか?(熱の移動とか),何かコメント下さい. むちゃぶりですね.えーと,関係していると思います.そもそも我々の世界で熱に関係していないものってあるのか? !熱冷却シートってどうなってるのでしょう?おでこに貼ると冷たいが,腕に貼ると生温かい... 原理は化学でならうであろう吸熱反応ですね,きっと.感覚がちがうのは,どうしてでしょうか?これは生物や心理の問題ですね.でも,ひとつだけ,体温は場所に依存しています.体の末端の方が一般に温度は低いです.だから,末端部の方が熱さまシートとの温度差がちいさくて,感じにくいということはあるでしょうネ. !熱力学って,なんでこんな抽象的なんですか? 今日は抽象的でした.化学熱力学だとおもいっきり具体的だと思います.抽象的にしたときに普遍的に見えてくるということがあると思います.私も若いころは具体的な問題を考えるのが好きでしたが,抽象的な話が分かるようになると,具体的な問題は自分の頭で例題を浮かべながら聞けばよいので,それはそれで楽しいものです,理論としては強いしね. !!今日の雑談 *今日の投票数は,{{colorsize red, 6, 99}}でした.衝撃の100切りです.確かに今日はいつもより閑散とした感じでした.しかし...前回調子にのったというか,油断したということでしょうか...ショック.100越えが励みだったのに...やっぱ講義がいまいちってことですね. *今日のアンケート 8月の下旬に大質問大会をすると参加する? ,No,Yes,未定 ,47,62,3 **そんな暇ねぇ ***なんて書かれて,それじゃーこっちは暇こいてやってるみてーじゃねーかよー. **前回の開催通知は,[[こちら|今日の一言/2007-12-19]] !!今回のWEB投票 *今日の講義の出来は? {{vote2 nr-2008-9,よい,ふつう,ダメ}} !!今回の一行コメント {{comment}} ---- {{counter2 nr-2008-9}}