!!!熱力学 第9回おさらい !!今日のおしながき *第二法則 **エントロピー !!今日のまとめと反省 前回のClausiusの不等式の連続極限の式を説明してから,この可逆のときの等式をつかってエントロピーを導入する。可逆のときは換算熱のサイクルに沿っての積分がゼロになるが,これは仕事のrotがゼロになることに似ている.そちらは力学でならったかな?まだかもしれないので,もう少し簡単に説明しておく.二つの状態を導入して,その間を可逆過程でいって,かえってくると,Clausiusの不等式から分かることは,可逆であれば換算熱の総量は経路に依らないことがわかる.ここから,位置エネルギーを導入するように,状態良としてのエントロピーを導入する.これ自体はとても自然な考え方である.しかし,これがエントロピーといわれてもピンとはこないかもしれない.慣れが必要である. まず,サイクルに不可逆課程が混ざっている場合を考察すると,状態遷移にともなう換算熱の総量とエントロピーの大小関係がわかる.ここからすぐにいわゆるエントロピー増大則が導かれる.断熱過程ではエントロピーは減ることはないということである.具体的に熱接触のときにこれが起きていることを,換算熱とエントロピー変化を別々に計算して確認しておく. つぎにエントロピーのもつ一般的な性質をみておく.たびたびエントロピーは乱雑さと関係しているといわれる.それは一般的には熱力学のエントロピーではなく,統計力学的エントロピーであったり,複雑性のエントロピーのことだったりする.それでも熱力学的エントロピーも含めてまったく独立の話ではないので,広い意味では乱れているとエントロピーは大きいと認識されている.この講義ではまったくミクロをださないので、ミクロの乱れ具合をみることはない.しかし,もし温度が高いとみだれていると思っているのならば、そのイメージと整合するように温度が高いとエントロピーは大きいことは示すことができる.これを5分くらいで説明する.証明の最後には熱容量の正値性がきいている. ここで具体例として理想気体のエントロピーを求めておく.その事実をつかって,理想気体の断熱膨張が不可逆過程であることを示しておく.もうすでにしめしてあるのだが、今回のエントロピー増大からそれを求めておく.最後はかけあしだったが,よく復習しておいてほしい. !!今日の宿題 *熱浴と接した物体の熱の移動の際の換算熱とエントロピーの大小関係を確認せよ. **具体的に示す式は,{{tex 1-x\leq log(1/x)}} *理想気体のエントロピーの式から,マイヤーの関係式を求めよ. *van der Waals気体のエントロピーを求めよ. *一般の流体について,真空への自由膨張は不可逆過程であることを示せ. !!配布するファイル *なし !!今日の質問 !熱の移動の際に,体積が膨張しない可逆過程を考えるのは現実的ではない?? 今回の講義では,ある物体を熱源と接触させて平衡状態に至る過程を議論した.これは,これまでの議論から不可逆過程であることはわかっている.ここでは,まず換算熱を計算し,それとは別にエントロピー差も求めた.前者はいま考えている熱接触の状況を考え、後者は状態量の差を知りたいので,可逆な遷移を考えてその換算熱からエントロピーを計算した.質問は,温めると膨張するが,その効果を考えていないということだったが,それは問題設定としてそれを仮定しておく.別にそれはわるいことではない.どうももうひとつの質問は,エントロピーを計算するときに,どのような過程をかんがえるのか?ということにも関係していた.それはどうやってもよいわけだ. !完全微分ってなに? 次の講義の最初に捕捉します. !!今日の投票用紙の裏より !あれこれ !!今日の雑談(水曜) *今日の投票数は,{{colorsize red, 6, 82}}でした.とりあえず,表向きは8割を復活.このまま最終回までたどり着きたい. !!今日の雑談(月曜) *今日の投票数は,{{colorsize red, 6, 48}}でした.1限だからか,ほとんど壊滅状態だなー. *今日のアンケート 君はエントロピーを減少することができるか? !!今回のWEB投票 *今日の講義の出来は?(水曜) {{vote2 tdw-2010-9,よい,ふつう,ダメ}} *今日の講義の出来は?(月曜) {{vote2 tdm-2010-9,よい,ふつう,ダメ}} !!今回の一行コメント *私には、エントロピーを“減少”することはできないと思います……(笑 - 名無しさん (2010年06月17日 21時40分19秒) *あれっ、なんか変だっけ?どこのエントロピーかを言っていないから,どこか選べば減らせる? - ふくしま (2010年06月17日 22時56分48秒) {{comment}} ---- {{counter2 td-2010-9}}