!!!第8回おさらい !!今日のおしながき *3 運動方程式の解法 ** 3-4 ばねの運動 *4 仕事とエネルギー ** 4-1 仕事と運動エネルギー !!今日のまとめと反省 前回にばねの運動方程式を解いたので,今日はそれを解釈することから始めた.まずは,オイラーの公式を使って,馴染のあるsin, cosで書き直した.ところが,オイラーの公式は前に聞いたように既知ではないので,簡単な証明を展開で与えることにした.とすると,展開公式を示さないといけない...証明のための証明の..となってドツボに入りそうになる.テーラー展開の式の証明は以前配ったプリントに書いてあるので,そこでサボることにして,それを使ってオイラーの公式が成り立つことを見た.それを使って,ばねの運動方程式の一般解を書き直す.それでも虚数が混じっていて,よくわからない.さらに,定数を変換して,cosだけの式に直す.もしも,高校のときに振動の公式を習っていればその式がここで登場する. 後は具体的に初期条件を与えて,未定定数を決定する.最後は虚数は完全に消えてしまう.そのからくりとか,数学との関係について,簡単に説明する.解は求まったので,グラフを書いてみる.講義中も話したが,試験では運動方程式を解いて,グラフを描くことを求めます.是非訓練しておいて下さい.実はレポート問題でも最後にグラフを描いてもらいました.ちゃんと描けていない人が一定の割合でいます.それは単に何がおこっているのか,まったくわかっていないことを意味しています.さらにいえば,想像力が欠けていると言わざるをえません.まだ,数学だと思っている状況から脱出していないわけです.是非,頭を使って,考えましょう.さて,今日はばねが伸びたり縮んだり,速さが速くなったり遅くなったりしているようすが,数式で表されていることが...グラフを描くことでちゃんとわかった...と思うのだが,どうだろうか? ここで話題が変わって,仕事とエネルギーの話しに移る.仕事もエネルギーも日常生活で使う言葉だが,その意味は力学ではかなり違ったものになっている.そのことを認識した上で,物理での定義や目的をしっかり理解してほしいと思う.今日はまず落下運動を想定して,その軌道に沿って力が何をするのかを考えてみる.力はベクトルであり,いくつかの方向に分解することができるが,ここでは軌道に垂直方向と接線方向に分解するのがよい.それぞれに意味が違うからである.速度の変化に関係しているのは,接線方向なので,それを軌道に沿って積分してみる.その積分を運動方程式の性質や変数変換(軌道から時間への)をすることにより実行することができる.最後は軌道の始点のある量と終点のその量の差で描くことができた.途中の力の様子には依存しないことは驚くべきことである.次回はこの意味をゆっくり考えてみることにする. !!今日の宿題 *ばねの運動で,今日は初期条件からAとφを決定したが,その前のC1とC2を求めても同じになることを確認せよ. *{{tex cos x = \frac{e^{ix}+e^{-ix} }{2} }}と対応するsinの式を確かめよ. *今日の初期条件とは異なる初期条件を自分で設定して,ばねの運動を調べよ.虚数はでてこないかな? !!配布するファイル *今週配ったプリントはなし. *来週配りますが,とりあえず,レポート1,2の解答:{{ref Note-cm-v2.pdf}} **(2006.6.12)ミスを発見.こっそり修正(赤字)にしてあります. **(2006.6.15)最後の図のx軸のlegendを修正 !!今日の質問 !{{tex mv\dot{v}=\frac{d}{dt}\left(\frac{1}{2}mv^2\right)}}はどうして? これは典型的なFAQで,右から左に行ければ,左から右にも行けるようになります.確認して下さい. !{{tex F_t = F\cos\theta}} はどこに行った? こうは講義中に出た質問.いいところを突いています.実はしばらくは使っていなくて,もう少し待ってくれれば,最後の最後で仕事の定義のところで登場します.しかしながら,とてもまっとうな質問でした. !{{tex C_1,C_2}}から{{tex A,\phi}}の変数変換はどうして必要? 単純に高校の時に出て来た振動の公式を出したかったことだけですね.最後のcosで書けると気持ちがよいというところはあります.力学の本には最初からcosで書かれているのもありますが,講義では代数方程式から運動方程式の解を導く方法を一貫して使っているので,その結果との整合性を確認したということです.もちろん,C1,C2を初期条件から決めても今日の最後の結果に一致します.これは一度やっておくといいと思いますよ. !周期を調べるときに,φはいるの? 周期を定義する式の左辺にだけ入っていて,右辺には入っていなかったようです.これは板書ミスですね.左辺に入れるならば,右辺にも入れるべきでした. !{{tex F}}と{{tex F_t}}は使いわけてる? 使いわけているつもりでした.おたがいの関係は{{tex |\vec{F}|=F=F_t\cos\theta}}です. !!今日の投票用紙の裏より !もう半分終わったんですね...早い. まったくですね. !風邪をてっとりはやく治す方法を教えて下さい. お医者に行って下さい.カゼ薬+栄養剤+睡眠でもなんとかなるかもしれませんが,私は責任をとりません. !下のアンケートの話題が終わったら何をやるのでしょうか? まだ話したいことはたくさんあるので,下の話題が最後の方になると思います. !授業は高校物理とも一味違って,なかなか面白いです. そもそも,高校物理と同じじゃー話しにならんじゃないか? !物理学Bではなく力学Bでは...? あれ?そうでしたっけ.個人的には力学にBをつけるのはイヤだなー.教えているのは力学だけども,それを通じて物理とはどういうものかを語っているわけだし... !ジャグリングをしている者ですが,物理学からみてジャグリングはどう見えますか? 重心だけに注目すれば,ほぼ放物運動です.こころの目でみれは極めて単純な運動を操っていることになります.しかーし,すごいと思わせるのは見せる芸なわけです. !ジャグリングはしていない一般人ですが,ジャグリングを習った方がいいと思いますか? 困ったときに助けてくれるのは芸です. !ジャグリングにあこがれる一般人ですが,ジャグリングをかっこいいと思いますか? 私はかっこいいと思いますよ. !!今日の雑談 *今日の投票数は,{{colorsize red, 6, 71}}でした. *今日のアンケート 講義で話す話題はどっちがよい **講義も後半にさしかかり,終わりが見えて来た.まだ,あれとかこれとか話したいことはたくさんあるけど,全部話すのは絶対に無理で,取捨選択が必要.そこで,学生のみなさんにそのなかから2つの例を上げてどっちがよいか聞いてみた. ,惑星運動, 回転運動, どっちも ,ケプラーの法則のすべて, アイススケートのスピンの理由, , 17 , 35, 14 **結果はある程度予想できた感じ.そもそもの前振りが何かしらバイアスがかかっていたかもしれないし,このWEBで公開した惑星の周期のデータのダウンロード数が一向に伸びないことからも明らかだったかもしれない.いつだったかの,「物理教育」という雑誌で,学部の力学の講義で何を教えるべきかの対談があった.「惑星運動は外せない派」と「古いから外してもよい派」に分れていたように記憶している.駒場の講義でも話す教官と話さない教官は半々くらいだろうか?大いに迷うところである.そんな中で藤原本には実にイキイキと惑星運動とそれに纏わる逸話が書かれている.ハレー彗星のあたりは涙が出てきそうになる.感心ばかりはしていられないのだが... [このページのアクセス数:{{counter bbt8 }}]