第3回のおさらい

今日のおしながき
  1. 静電場の物理
    1. 電場の導入
    2. 重ね合わせの原理
    3. 例題
今日のまとめ
先週のクーロンの法則から等価な表現として電場を導入しました.場の性質について,イメージを膨らますために一般的な性質を議論しました.銚子にのっている,例えば,gradは既知の事実で無かったりして,こちらも勉強になりました.力学のときに,ポテンシャル論とかやらなかったんでしょうかね.でも,ゆっくり説明したので,gradが何をしたのか理解できたのではないでしょうか.いつでも,数学の記号に惑わされないように,何を計算しているのか抑えて行きたいものです.
次に,沢山の電荷がある場合の電場の評価の仕方として,重ね合わせの原理を説明しました.クーロンの法則と重ね合わせの原理を理解すれば,静電場のほぼ全ては学んだことになります.もちろん,効率良く計算するためには,いちいちこれらにたちもどる必要がないことも事実です.例えば,力の合成を考えれば知っていたことだろうに,わざわざ場という概念を通じてこの原理を持ち出すのはいささか回り道の気がします.いや,本当にそうなんですが,このあたりの状況をよく噛み砕いてみて下さい.
最後に,例題を紹介しました.実際に重ね合わせの式から,ある状況のもとでの電場の計算をやってみました.正確にはやるフリをしました.計算,すなわち積分の手前まで講義で説明して,残りの部分はプリントで誤魔化したわけです.計算できなければ,何もわかった気がしないという感覚と同時に計算だけが全てではないという感覚をどう伝えればいいのか,いつも迷います.来週はそのあたりの復習から,もう少しつっこんだ静電場の法則を眺めて行きたいと思います.
今日の配布物

今日はプリントを配りました.但し,ここでは少しの間公開は待って下さい. 来週には公開することにします.

今週の宿題:
  1. 特にあからさまには出しませんでした.お配りしたノートを良く見て下さ い.間違いがあるかもしれません.
今日の質問:
ナブラって,三角形で書くのか?
下三角形で書くようです.デルタΔの逆向きで書くので,deltaの反対として,アトレッド(atledと呼ぶこともあるということを,大田さんの電磁気学に見つけました.しかし,今までアルテッドと呼んでいる人に出くわしたことはありません.
gradやってませーん.
とっても,大事な指摘です.どんどんこんな指摘はお願いしたいところです.講義ではゆっくりと説明しました(つもり).gradはgradient(傾斜)の略で,意味は本当に傾斜です.どうでしょうか?傾斜っぽいでしょう.
線が作る電場のうち,円柱座標の回転成分はないのはなぜ?
この質問,ちょっと感動しました.研究者になると,年に何度か学会やら研究会やらに参加します.物理の分野では,学会は通常ホテルとかではなく,普通の大学で行われます.つまり,講義と同じような状況で,学会を行ってるわけです.そこでは,10分の講演やら,ちょっと偉くなると40分の講演やらをやるのですが,その後の5分や10分で質疑応答をするわけです.そうすると,そこそこ「よい講演」をすると,アチコチから質問が出てくるのです.経験的には,質問も出ない講演に素晴しい講演はありません.そう,今日みたいに後ろの方から質問が出てきて,痛いところをつかれて痺れて答えられないということなく,ばしばし解答を返せることができると,うーん,今日は合格!などと悦にいってしまうもんなんです.研究者って単純ですね.えーと,今日の講義がよかったとは思っていませんが,こんな感じで遠くから質問が出てくるような講義を続けたいと切に思うのであります.
ところで,あんな説明でわかったでしょうか.ちょっと黒板の絵が下手すぎでしたね.
線密度λ(ラムダ)はどこからやってきた?絵は円柱っぽいのにどうして一次元の積分でいいの?
ちょっと,飛ばしすぎたところですね.直線電荷の作る電場を計算するところですが,図では電荷は円柱に埋め込まれているようでしたが,簡単のために設定としては,一次元の紐に電荷がとじ込まれている状況を考えています.その時の線密度をλとして,紐に関する一次元積分をすればいいことになります.
計算ミスしてない?
ゆっくり見直してみて下さい.おそらく,その辺りは大丈夫だと思いますって,説明しようとしたら,早々に近くにいた学生さんが解説をしてくれました.さっき配った私のノートを他人に説明できるとは,なんと理解力の早いことでしょう.流石は東大生ってそんなことに感心しているのではなくて,むしろそういう環境に感心しています.こういうことだけでなく,どんどん学生同士で議論が盛り上がれば素晴しいと思います.レポート問題とかも,ちょっと小難しい問題にして,みなさんで話をして欲しいです.特に,このクラスは,悪く言えばごった煮でしょ.でもね,新しいことはいろいろな文化が混じったところから生まれるものです.是非,いろんなコネクションを作って下さい.
先生と呼ばない理由は
本シリーズの講義ではお話していなかったかもしれません.この深遠な理由?については,来週「ツカミ」ネタとして紹介します.
板書もUpして!
これはちょっと検討します.講義でもちょっとしゃべったんだけどね.講義ノートを公開すると講義出てこなくなっちゃうよね.ノートの行間に込められた?感じはノートだけじゃ伝わらないしな,きっと.主張は,ノートをとるのが面倒だということかな.それはわかる気がする.
今日の雑談:

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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)