第7回のおさらい

今日のおしながき
  1. 静電場の物理
    1. 導体のつづき
      1. 静電遮蔽
      2. 映像法
今日のまとめ

先週は駒場祭でお休みであったために,きょうはゆっくりと立ち上がることにした.前回の最後に導体系の性質のさわりをやったと思います.なんか電場がとんできて,導体の中では....なんて話しをしたら,やっとみなさんの目が冴えてきた感じがしたのは気のせいでしょうか.ということを思い出しので,今日も繰り返しになりましたが,導体の性質をゆっくり考察しました.ほとんど,導体の中には自由に動ける電荷が豊富に存在しているということだけから,いろいろなことが議論できます.

  1. 導体内部に電場がないこと.(誤解を生みそうだが,電場が存在しないわけではない.フットワークのよい自由電子という名の電荷が電場を打ち消すように,ササッと動いてくれるだけのことである.世の中には導体の内部には電場は存在しえないという記述の教科書があるのは嘆かわしい.存在しないのならば,電流は流れないではないか..)
  2. 導体内部で電位は一定であること.
  3. 導体の内部に電荷が単独で安定に存在しないこと.(これも誤解を生みそうだ.)
  4. もし存在するとすれば,導体の表面のみである.
  5. 導体の表面の電場は法線成分のみ存在する. 水平成分はない.
もし,みなさんがひとりで離れ小島にいったとしても,これくらいのことは思い付きますよね.私が大学の時に習った物理の先生は,「もしひとりで離れ小島にいったとしも,同じように物理の教科書が構成できるように学ばなければならない」というのが口ぐせでした.全てを勉強して記憶をしようというのではない.それは絶対に無理で,そうではなくて,小数の事実とそこからの正しい論理ができるようになれば,そもそも覚えることなんてほとんどない,ということでした.

さて,今日は,前々回くらいから,やるといっていた,静電遮蔽の話しでした.導体で囲まれた空洞には電場は存在しないということです.大抵どの教科書にもかいてあります.それほど難しくないので,さらっと書いてあるのですが,どうしてそれが言えるのかという話しを順序立ててすると,ほとんど一時間費してしまいました.ガウスの法則と電位の考え方を知っていることが前提ですが,その他は何も知らなくてもゴールには到達します.途中のガウスの法則の使い方は教訓的でもあるので,ゆっくりと説明しました.前回のレポートの質問欄に「極限までゆっくり話して下さい」とコメントされていました.極限って,どんな極限かわかりませんが,とにかくゆっくりと話しをしました.段階を踏むと,

  1. ガウスの法則から許される状況は,導体の内部表面に誘起される電荷の合計がぜろであること.
  2. その誘起電荷が空洞ないに電場をつくってもよいが,空洞内ではわき出しがない.
  3. 導体内での電位が一定であることから,その可能性も否定される.
といった具合だ. ただ,単にガウスの法則を使って,何かを計算するよりも,よほどその使い方がよくわかったのではないでしょうか.

残り時間が二十分くらいと,なんとまー中途半端な時間が残ってしまって,困りました.来週やる映像法の予告をすることにしました.これまでの電荷があって,電場・電位を求める問題ではない,すこし難しい問題が対象なので,その説明をした.

ここでタイムアップ.十分前になってしまった.今日はレポート問題を出したので,その時間を使って問題の趣旨を述べた.

今日の配布物

今日はレポート問題2の解答例(PDF:102KB)と第3回レポート問題.

今週の宿題:
  1. なし.
今日の質問:
第二回レポートの第2問はいつでも成り立つのか?
成り立ちませんね.2回微分可能であることが仮定されています.ナブラが,普通のベクトルならば,成り立ちます.
この項はどうしてゼロになるのか?
ここで説明するのはあまり意味がなさそうなので省略する.こういう質問はとても大事だと思います.もう,ココが何のこっちゃわからんのよーって,「ココ」がわかっちゃってるんだから,大丈夫です.しかも,その日のうちに解消しようとしているので,後はもう一度復習して,ついでに誰かに解説してあがれば,カンペキ.人に説明すると自分の穴がすぐわかるからね.
今日の雑談:

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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)