第2回

今日のおさらい
  1. 運動の記述
    1. 速度ベクトル
    2. 加速度ベクトル
    3. 次元
    4. ベクトルの演算(加減、内積、外積)
  2. 運動の3つの法則
    1. 法則について
    2. 第一の法則(慣性の法則)
今日のまとめと反省

先週の続きから、運動の予測をするためには、速度が必要であることを述べて、 速度ベクトル、加速度ベクトルを導入する。さらっとベクトルの微分は説明する。 その後で、ベクトルの演算についてまとめておく。すでに高校の時にも習ったで あろうことなので、つまらなかったかもしれない。ベクトル積については、はじ めてだったであろうので、ゆっくりと説明した。ベクトル積ってどんなベクトル なのかを考えてみた。講義の後で、一つ説明していない点をちゃんと質問に来た 学生がいた(この点は下に)。
それから、法則についてのコメントをちょっとした。法則って考えてみるとよく わからんよねってことを考察する。いまいちピーンと来なかったのは話し方が悪 かったかね。言いたかったのは、「ケプラーの法則」と占い師の法則やマーフィー の法則はその構造が決定的に違うということ。どういうふうに違うかは是非みな さんで考えて欲しい。
最後に慣性の法則を説明して、終了。次回は第2の法則から。

今週の宿題:
  1. ベクトル演算の練習
    1. 2つのベクトルa,b の内積a・bの定義について
      1. a・b=a b cosΘ
      2. a・b=axbx+ayby+azbz
      これが同等なことを示せ。
    2. a・(a x b)=0,b・(a x b)=0を示せ。
    3. 恒等式:(a x b)・(c x d)=((a・c)(b・d))-(b・c)(a・d)を示せ。
  2. 例題の運動r=(a cos wt, a sin wt, ut)の速度ベクトル、加速度ベクトルの大きさを求めて、向きを図示しよう。また、速度ベクトルと加速度ベクトルが直交していることを示せ。
今日の質問:
  1. その微分間違ってまーす.
    これまた、お恥ずかしいかぎりです.(cos x)'=-sin xですね。
  2. 私の計算が正しければa x bはいつでも0になるのであーる。
    ぱっと、計算してみるところはとてもいいですね。そういうのって大事ですよね。でも、意味をよく考えてみることも大事です。その計算では、a・a=|a||a|cosΘになっていました。その式自体は正しいのですが、そのΘの意味はaaのなす角ですよね。それってゼロだし、cos 0=1です。
  3. a x bの向きってどっち?
    とっても大事な質問です私がちゃんと説明してなかっただけか。今日説明したのは、
    1. a x baともbとも直行する。(これは宿題ね)。
    2. a x bの大きさは2つのベクトルが作る並行四辺形の面積になる、つまり|a x b|=ab sin Θ (この過程も宿題)
    だったので、方向と大きさはわかったけど、上向き下向きどっちなの?というのが質問。
    まずは座標系をどのようにしているかを全然説明していなかったが、我々は今(これからもずーっと)右手系を使うことにする。つまり、右手の親指をx方向、人差し指をy方向としたときに、z方向は中指の方向だということです。左手系だと中指の方向は逆です。座標系を右手系にとれば、a x baを親指に、bを人差し指にしたときの中指の方向です。って、黒板で説明しました。例えば、a=ex=(1,0,0)として、b=ey=(0,1,0)としたら、a x b=....=(0,0,1)=ezになりますから、ちょっとイメージできるでしょうか?
    そこでノートを見てみると、ノートは左手系だった!。。。間違えている。。。
  4. 物理の勉強の仕方ってどうすればいいのでしょうか?
    うーん、難しい質問です。これからいろんな問題を解くために演習書をやるのはいいことだと思いますが、演習書がんばってもそこだけしかやらないと、数学が上達するだけです。それ自体は大切だし、問題が解けないと何にもできないのですが、問題を解くことだけで終わってしまうととっても残念です。それって考えてみると、高校の物理と同じですよね。いくつか(たくさん?)の法則という名のルールを覚えて、他の例題に適用してみるだけでは、とっても物理とは思えないし、楽しい話しではないし、結局は未開の問題に出くわしたときに何の役にも立たんのではないでしょうか。
  5. 等速円運動は等速度運動ではない!
    速度と速さは違う概念で、速度はベクトルで速さはスカラーだと高校の時に習ったという指摘です。そうですね。そういう定義なんですね。私がごっちゃにしていました。これだと、等速度運動といった時点で、(慣性座標系では)直線運動であることも指定しているんですね。勉強になりました。講義でいいたかったのは、例題の円運動は等速だけど、加速度はあるんだということ。この文章のおかしなところは、「等速だけど」の「だけど」です。円運動だと上の意味で絶対に等速度運動ではありえないので、当然加速度はあるんだということです。
今日の雑談:
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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)