第4回

今日のおさらい
  1. 運動の3つの法則: つづき
    1. 力積
    2. 角運動量,力のモーメント,ケプラーの第二法則(面積速度一定の 法則)
  2. 運動方程式を解こう
    1. 放物線運動
今日のまとめと反省

前回までにNewtonの3法則が出揃ったので,今日は幾つかの力学の基本的な概念,用語を最初に説明した.それらは,運動量と力積の関係であり,角運動量と力のモーメントである.全てはNewtonの第二法則から変形してきた式を見てわかることなので,第二法則を違った方向から見ているというか,別の言葉で言い替えてみていることに相当している.講義では,式を書いて,その意味を言葉で書いて,絵を書いてという操作を丁寧にやろうとした.それぞれ,大学生に,高校生に,中学生にわかるように説明できることを想定している.

角運動量の話からは,中心力の場合にはケプラーの第二法則が出 てくることを見た.何度も?言うようだが,この事実はケプラーの第二法則をニュー トンの第二法則(+万有引力の法則)が証明したという代物ではない.それぞれ独 立に見つけられた法則が実にうまく絡まっていることを示すよい例だと思う.も しも,万有引力の法則が自然の真の法則ならば,面積速度は一定でなくてはなら ないし,逆に面積速度一定が真の法則ならば,万有引力(っぽい,少なくとも我々 の現段階での知識では引力型の中心力であればよい)の法則が成り立つというこ と.どっちかがちがっていれば,その反対もちがってみえるだろう.どちらかが 偉いというものではない.という話をして,第二章運動の3つの法則を終わる.

さて,やっとこさで,運動方程式を解こう.あまり時間が無かったので,先週やった運動方程式の答えを使いながら,横方向にも飛ばして放物運動にしてみた.これは高校生の時にやったのだが,改めて微分方程式を解いてみて,やっぱ45度の方向に投げるのが一番飛ぶことを確認する.来週は,もう少し難しい("普通な"か?)微分方程式を解いてみる.例えば,空気抵抗がある場合とか...

今週の宿題:
  1. 緊張して,何も出さなかったな.一つ,ここを訪れた人へ.力積と角運動量の次元を調べよ.
今日の質問:
  1. 運動エネルギーとかやらないんですか?
    まだ,やりません.この質問?は記念すべき質問タイムでの公開質問1号です!!!
    いつも講義ノートを作るとき,あるいは講義の構成を考えるときに,すごーく悩むんですが,ここで一気にエネルギー論をやるのではなく,幾つか微分方程式を解いてからにしたいと思っています.つい最近,今後の方針を決定しました.一つ上のページを御覧ください.みなさんはすでにエネルギー保存則を知っています.少なくとも真意は理解していなくても,言葉は知っていますよね.それを頭の片隅に起きながら,抵抗のある場合とか(減衰)振動とかの例題を解いてみたいと思ったんです.その後に,ちゃんとエネルギー論をやります.私は,なんか例題を見ながら,何が起こっているのか理解したいといつも思っています.なので,数学的準備だけを例題なしに最初に説明することは避けたし,今回もまずは運動方程式なるものを幾つか実際に解いてみたいと思ったわけです.
  2. 面積速度の定義のところどうなっているの?特に分子は微分の定義になっているのか?
    という質問でよかったかな.分子は,すでに単位時間に囲んだ面積を評価していますので,単位時間をとってしまえば「面積の速度」になっています.こんな説明でいいでしょうか?
  3. 力のモーメントって何のことよ?
    「位置ベクトルと力のベクトル積のことです」なんて答えると頭の中にビッククエスチョンマークできちゃいます.でも,ここでの定義はそのとおりで.今日は運動方程式から式を変形して,その力のモーメントが角運動量の時間微分に等しいことを見ました.これは運動方程式(これは運動量の変化が力と関係している式)とのアナロジーで考えると,角運動量の変化を与える「力」のようなものだと考えることができます.次元はちがってますけど.
  4. 角運動量の時間微分の第一項がなくなる理由は?
    積の微分がそれぞれの微分の和になることはいいでしょうか.講義で示した第1項目は位置ベクトルの時間微分と運動量のベクトル積でした.前者は速度ベクトルで,運動量ベクトルとは並行です.並行な2つのベクトルのベクトル積は....0です.平行四辺形つぶれてますよね.
今日の雑談:
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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)