第6回

今日のおさらい
  1. 運動方程式を解こう
    1. ばねの振動
  2. 仕事とエネルギー
    1. 仕事と運動エネルギー
今日のまとめと反省

先週残っていたばねの振動について説明する.たっぷり時間がかかってしまった.基本的には先週の特性方程式の例なんだが,その解が虚数になる典型ということでゆっくり説明する.先週の復習をして,疑問が膨らんだ学生が質問してくれたんでしょうか.ちょっと盛り上がった気がします.基本的な戦略がわかれば,それでいいので,後はじっくりとノートを見返してみましょう.振動の一般解を計算した後に,高校の時に出てきた単振動の式を出してみます(この点についての詳細は後で).またしても,沢山計算ミスしてましたね.学生さんの突っ込みいいです.ここまで3つの運動方程式を解いてきて,力がわかったときの質点の運動を予測してみました.逆方向として,その予言が正しいかどうかのチェックは実験的にされるべきだし,また,ばね定数とか理論的に未知のパラメータはそこから逆問題として決定されることをコメントしておきました.

その後で,仕事と運動エネルギーの関係を議論しました.言葉としては,高校の物理で登場しているので,驚かないかもしれません.何が起こっているのかということを言葉でしか学ばなかったのではと推測していますが,ここでは数学的に表現しています.どうでしょうか.こういうことって,驚かないでしょうか.上の単振動のcos (ωt+Φ)を微分方程式を解いて出すことって,ちょっと納得度がすすみませんか?(今思い出したけど,私が「なっとく」嫌いなのは,間違いが書かれていることもありますが,タイトルの精神が気に入らないからです.納得は人から易々と押売されるものではなくて,自分で勝ち取るものです.)次回からは,エネルギー保存に関する話をします.

今週の宿題:
  1. 式が間違っていないかチェック! 今週も.
今週のレポート:
  1. なしです.今週の講義で,4番も原理的には解けるのではないでしょうか?
今日の質問: 今日はチト忙しいので完全には答え切れません.近いうちに全部埋めます.(2003.5.26)
  1. 間違ってまーすシリーズ?
    とにかくいろいろ間違ってましたが,あんまり本質的なところではなかったと思います.振動の一般解から高校の時の単振動にする定数を変換するところとか,チェックすれば間違いには気づくでしょう.是非,自分でやってみて下さい.
    ここではちょっとちがったことをコメントしておきたいです. 私はよく講義で計算ミスをしてしまうのですが,みなさんどうお感じでしょうか? 「あっ,またやてる!」程度ならばいいのですが,「ミスばっかじゃん!」とか,挙げ句の果てには「信用できない!」「準備不足」とまで思われているとすると,こっちに問題がありますね.特にそのことで,心が踊らなくなってしまっていたとしたら,大問題です.以後,気を付けます.
    ただ, 計算ミス程度は後でチェックすればわかりますし,物理・論理的に誤っていることは言わないように準備はしているつもりです.「なぜわざわざ講義にでるのか?」の問題にも関係がありますが,ただ単に勉強したいならば本を読んでいてもいいわけです.それ以外の,本の行間に埋めるようなものや,本には書いていないことを期待して講義に出ているんですよね.そんなことを講義では是非提供していきたいと思っています.そして,それは「計算ミス」に対してお釣が出るくらいならば....
    それから, 第一回目の講義の最初に(きっと)言いましたが,教官の言っていることや本に書いてあることを無批判に飲み込んでしまうという悪いクセだけは身に付けないようにしてください.私の講義はそれを実戦?しているとも思えるかな.
  2. 特解はどうやって見付けるか?
    これは(私にとっては)難しい質問.ただ,物理の問題に出てくる微分方程式の場合には,典型的な特解は簡単に見付かります.そのパターンは説明しました.
  3. なぜそれで微分方程式が解けたことになっているのか?
    これはもっと難しい問題です.質問にはいろいろなレベルの疑問が含まれているような気がします.まず,微分方程式を満たす関数を一つ持ってきたとします.それで,微分方程式を満たすという意味で解けたことにはなっているのですが,それだけで,解を尽くしているかというと絶対にそんなことはありません.斉次の線形微分方程式の場合は,解の重ね合わせができますから,もう一つ別の(線形独立な)解を見付けると,2つの解の線形結合もまた解になっています.特性方程式を作って解く方法を見てみると,いくつ線形独立な解があるかというと,2階微分方程式ならば2つです.このように見てみると,2つの解が見付かれば,一般解が見付かったと思えます.もちろん,重根の場合は見付けていないので,もう一つ見付ける必要があります.この場合は,しかし,逆に考えると特性方程式を作るときにeλtと置いたから見付からなかったとも思えます.それ以外の例えばtλが解であったときには,見付からないですので,別の方法を考える必要があります.
  4. (C1,C2)→(A,Φ)の変換ってなんかずるくない?
    ずるい.C1,C2の係数の大きさをA/2で固定しているので,最初に書いた一般解よりも,ちょっと(かなり?)一般性が失われている.これはどういうことだろうか.ここはあまりよく考えていなかった,準備不足だったかもしれない.しかし,考えると理由はわかります.初期条件(t=0,x=0)から(最初に求めた,単振動の式でない方の)一般解の係数の満たすべき条件を考えると,条件C1=-C2が出て行きます.また,別の初期条件(t=0,x=100とか)を考えても,やっぱりその条件は出てきます.必然的に出てくるのです.これは一体どういうことだろうか.一般的な解としては,例えばC1=2C2とかであっても微分方程式の解としては何も困りません.しかし,物理の答えとしては困るのです.その場合はxが虚数になったりするのです.というわけで,位置は実数になるべしだという,数学から見たら勝手な物理的な要請が強い条件を課しているわけです.
  5. レポート問題三番結構難しい
    垂直方向を解いてみたが,またz=0に戻ってくる時間が解けないということだった.確かに,講義での抵抗が無い場合はそのように解いたし,導かれた式では難しそうだった.私自身まだ解いていないので,解けるかどうかはよくわかりません.みなさん,できる範囲でいいので,がんばってみましょう.私だったら,無理矢理解くか,あるいは次には軌跡z(x)を求めてみます.きっと,時間tを消去するのは簡単ではないでしょうか.それから,どうしましょう.
今日の雑談:
もどる
Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)