第13回

今日のおさらい
  1. 質点の力学から質点系へ
    1. 質点系の重心とその運動
    2. 質点系の運動量・角運動量とその保存
    3. 質点系の運動エネルギー:重心運動と相対運動
今日のまとめと反省

これまでに1つの質点系の運動にのみ着目して議論してきた.惑星の運動も太陽 の質量はとても重いとして,惑星が太陽を引っ張る力の効果は無視してきた.こ こではそれが無視できない多数の質点の力学系を考える.それを質点系と呼ぶ. まずは重心の運動方程式を導く.内力が作用・反作用で消去できて,結局重心の 運動は,重心の位置に全質量が集中し,そして外力がそこに集中した「質点」の 運動方程式になることがわかる.この事実が我々が質点の力学系を出発点として 詳しく議論してきたことのある意味で正当性を与えている.そのあとで,重心の 運動量や角運動量を見てみる.

また,質点系の運動エネルギーを考えると,それは重心の運動エネルギーだけで は表せないが,重心運動と相対運動の項に分離できる.重心から見た相対運動の 総運動量は定義からゼロになる.そのことを使えば,全角運動量も運動エネルギー と同様に重心運動と相対運動の角運動量に分離することができる.その時間微分 が力のモーメントになることも同様にしめせる.例題として,一様な外力(重力 場中とか)の運動では相対運動(重心から見た)の角運動量は保存されることがわ かる.猫をほーりなげたときに,足から着地するときに体を捻らざるを得ない理 由はここにある.回転する椅子に座って手を水平面に平行に振ると足は反対方向 に動くとか...

多数の質点からなる系はあちこちに例題がある.簡単なところでは月と地球の運 動やら,ロケット問題(花火問題),連成振動とか...今日は具体的な例題を詳 しく紹介できなかったが,是非いろいろ考えてみると良い.

今週の宿題:
  1. なし.
今週のレポート:
  1. なし.
今日の質問:
  1. 全角運動量を重心運動と相対運動で書いたときに分離 出来るのは何故?どうしてこの項は消えるのか?どうしてここは消えないか?
    消える項は全相対運動量に比例していて,全相対運動量がゼロだから.
  2. レポートが帰って来ない...
    先週も一人おられました.学籍番号を控えました.確かに私のデータベースには 2人とも提出になっています.評価の方は心配しないでください.ただ,せっか くのコメントが見たいですよね.現在のところ,部屋を 探してみてもレポートは見付かりません.もう一度探してみます.他の可能性 としてはだれか友人がもっていってしまっているということはないでしょうか.
今日の雑談:
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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)