第3回のおさらい

今日のおしながき
  1. 統計力学の基本的な考え方
    1. 統計的な見方,続き
    2. 等重率の原理
    3. カノニカル分布の導入
今日のまとめと反省

先週の最後のところでどどっと説明した部分は計算ノートにしてお配りしました.それだけだとちょっとひどいような気がしたので,ゆっくりと説明を加えました.部分系の持っているおはじきの個数の期待値と確率分布の最もらしい値が一致することを確認しました.その後で,最もらしい値の回りの不定性というか,分布の幅を評価しました.ちょっと唐突だが,ここでアボガドロ数位の人数を持ってくると,ほぼ確実な決定的な予言ができる感じを説明しました.どうでしょうか?

さて,次にちょっと物理っぽい,いや物理の話しに移行しました.先の例と同様に等重率の考え方を導入するわけですが,どういう状況で設定されるかをゆっくり見ていきました.まずは,古典力学系の問題では,系の運動は位相空間の軌跡として記述されます.孤立系では等エネルギー面内の運動に限定されるわけですが,そこで等重率を仮定します.また,その仮定の元で評価できる物理量(の統計平均)ともとの位相空間での軌跡の関係を議論しました.そこにもう一つの仮定を置くことになります.

来週はこの仮定から出発して,統計力学で最も良く使われるカノニカル分布を導出してみます.

今日の配り物.

先週お約束?したとおり,計算の詳細はノート(PDFファイル;94KB)にまとめました.余白が余ったので,先週の宿題の答えの一歩手前までの最後のページに書きました.大熱戦であった日本シリーズを見ながら,原稿をタイプしたので,ミスがあるかもしれません.チェックしてみて下さい.

今週の宿題:
  1. なし
今日の質問:
時間平均と位相統計平均が違うことがありうるのか?
ありそうですね.例えば,古典力学に従って位相空間の等エネルギー面の軌跡を考えたときに,初期条件に依存して,滞在できる位相空間が限定されていたとしたら,どうでしょうか?時間平均の方は,初期条件に依存した結果がでてくる可能性があります.位相統計平均の方はそうした事情に影響されません.どんな初期条件からでもすべての等エネルギーをもつすべての状態をめぐることができるかどうかは,エルゴード問題といって,今だ完全には示されていない問題として残されています.
ノートの式変形が不明
これはモーメントを求めるところで,先週にも質問を受けたのですが,Mを微分に置き換えて,和と微分の順番を交換する方法についての質問でした.ちょっと話したら,すぐに理解できたようだったので,一度はやったことがあったのでしょう.
等重率の原理について,時間発展との関連
時間平均ってどういうこと
ここらへんは,なかなか難しい問題を含んでいます.いずれも,講義の後で質問にきてくれました.そこではそれなりに答えて,学生さんも納得してくれたようです.文章で書くのはちょっと面倒です.WEBでこういう議事録的なものを書くことの限界は,絵や図が取り込めないことですね.携帯とか,デジカメでパチッととって,画像を載せればいいのでしょうかね.
オフィスアワーはどうなった?
おー,すっかり忘れていた.来週説明します.今学期からの新企画なんですけど,なかなか利用されないもんですね.もっとも,自分が学生だったら,先生に質問なんか行かなかったけどね,先生はみんなおっかないそうに見えたから.でも,大学院に行って,そうした先生たちと接する機会が増えるとそうでないことがわかりました.大学の先生って,基本的に話し好きで,議論好きなんですよ.みなさんも遠慮することないように.
今日の雑談:

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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)