第12回

今日のおしながき
  1. 質点系の力学
    1. 重心運動と相対運動, つづき
  2. 剛体の力学
    1. 剛体の自由度
    2. 剛体のつりあい
今日のまとめ:

運動エネルギーの話しから今日ははじまる.前回に導入した重心からみた位置ベクトルを使って,全運動エネルギーを書き直すと,重心運動部分と相対運動部分に分かれる.ここで,角運動量の話しに行けばよかったのだが,なんとかくケプラー問題の続きを話す.実際に運動方程式を解かないので,ケプラーの第一法則はわからないまでも,それをイメージする訓練も含めて議論を少しだけ進める.まずは,極座標で相対運動の運動方程式を書き直してみる.角運動量が保存していることがまずわかり,それを使って,動径方向の運動方程式を書き直す.ここで,スカラー変数の微分方程式まで落ちるので,一次元の運動だと思って,有効ポテンシャルを調べる.レポート3でやったように,振動運動の条件等を議論する.ここでの振動運動とは,動径成分,つまり相対距離がある領域に閉じ込められいるわけなので,楕円運動に対応している.ぐるぐるまわっているのは角運動量保存の方からでてくる.さて,そうすると,ちょうど釣合の位置にいるのがきれいな円運動に相当する.また,ちょっとエネルギーがあがってしまうと,宇宙の彼方にふっ飛んでしまう解になる.解かなくてもいろいろわかることもあるわけである.この性質を見ると,まあうまいこと初期条件を選んで,周期解のところに来ているなーと関心する.ちょっと間違えば,宇宙のゴミになって,生命なんて生まれなかっただろうと思うと感慨深い(のは私だけか).その辺りで,「ラプラスの悪魔」や「神の一撃」の話しをする.ちょっと調子に乗りすぎたような気がする.

さて,質点系の角運動量の話しにもどる.もう一度,重心運動と相対運動に分離できることを見てみる.運動量が分離できるのとなんとなくからくりが違うようにも思えるが,結局は相対部分の運動量がないことで,分離ができているので,同じとも思える.いずれにしても,重心の角運動量と重心回りの相対角運動量に分離できた.特別な場合として,重力下での性質を調べてみると保存していることがわかる.ネコの話しやいすに座って手を振ったときに起こることがここから説明できる.本当は口だけで説明しようとしていたが,どうもこれはやってみないといけない雰囲気になった(ように感じた)ので,そこにあった椅子でやってみる.あー恥ずかしい.足を伸ばしたときと縮めたときの違いも見せてみた.なぜかはわかるだろうか.いまわからなくても,最終回にはあきらかになるであろう.

さて,ここで剛体の話しに移る.前回にも話したとおり,剛体はある特別な質点系であるので,質点系で議論していきたいろいろなことは全て剛体にも当てはまる.さらに,剛体は質点系に比べるともっと簡単なことがある.それは自由度が少ないからである.まずは,剛体の運動を記述するために必要な自由度が6であることを見る.この自由度の意味やこれが6であることの意味を考えてみる.6個知らない変数があるので,6個の方程式があればよいわけであるが,その例を示してみる.ここから釣合の条件を書くこともできる.ここでタイムアップ.前半に時間を費してしまったので,剛体はまだ動かなかった.最終回に動く話しをしてみたい.

今日の配布物:
なし.
今日の宿題:
  1. 質点系の運動エネルギーが重心運動部分と相対運動部分に分解できること を示せ.
  2. 角運動量が保存する条件と保存していることがわかる実験・体験を示せ.
  3. 重心の位置を求める方法のキモを示せ.
今日の質問とコメント
ポテンシャルっていうけど,次元が違っている.換算質量を掛ければよい?
そうですね.運動方程式から簡単にした後で,ポテンシャルに移行しようとしたので,力の次元になっていませんでした.おっしゃるとおり,換算質量を掛けて次元を合わせたいですね.これも指摘されましたが,ファクターが違うだけで,縦軸の伸縮が変わるだけですがね.ちょっと混乱していましたが,重心運動は今考えていないので,運動エネルギーも相対の運動エネルギーを考えればよくて,それは換算質量×相対速度2になっています.こういう質問で講義が中断するのは多いに歓迎です.みんなで考えてもすぐにわかりそうなことなので,時間はそんなにかかりませんしね.
u=1/rとしても,解けそうにありませーん.
こうすれば解けると言われたら,すぐにやってみるというのはとってもいいことです.でも誘導が悪くて,このままでは確かに解けそうにありません.本当はもう一段階あって,r(t)をr(Θ)の関数として書き直すことが必要でした.時間発展の式ではなくて,軌道の式に直してから,1/r変換するのでした.これでもう一度やってみて下さい.
重心からの相対位置ベクトルをri'としたときに,Σmiri'=0となるのはなぜ?
今日の穴はここだったのですが,講義の後に聞いてくれる学生がいました. 定義を考えて,少し式をいじれば0になることは示せます.式を書いて納得して,また同時に式など書かずに納得してみて下さい.
今日のコメントから
前回の授業から2日しか経っていない...あまり多いとたいへんですが,前回の内容をわりと覚えているという利点もありますね
講義を話す方としては,一週間ぶっ続けで13回分を話す方が楽な気はします.それに,聞く方も内容が知識と比べてそれほどずれていない限りは連続講義の方がよいかもしれません.ただ,そうでなかったら,すぐに消化不良が起きそうですね.教養の講義だと連続講義でもいいと思うけどなー.
質点系といい解析といいΣがグジャグジャ出てきてイヤー(>_<)
いろいろと,イヤーというのが出てきますね.訓練ですよ.
今日の雑談と反省:

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