第2回のおさらい

今日のおしながき
  1. LC回路のつづき
  2. 静電場の世界
    1. 電荷
    2. クーロンの法則
今日のまとめと反省

先週の続きから,LCR回路の話をする.先週までに各部品の電圧特性と直列に繋いだときの電気量の微分方程式は示してあった.これは力学での減衰振動の運動方程式と同じ式であり,何と何が対応しているかを確認してみた.例えば,慣性質量とインダクタンス,バネ定数と電気容量の逆数,摩擦係数と抵抗値といった具合である.従う運動方程式が同じであれば,起こる解の性質も全く同じである.外力を周期的にかけたときの共鳴現象はバネだけでなくて,この電気回路でも起こるわけである.さて,その力学的な性質とその対応する回路での現象は復習してもらうことにして,さらにもうちょっとだけアナロジーを考えてみる.それはエネルギーである.力学の世界では,Newtonの第二法則である運動方程式を解けばそれが力学の全てではなかった.理解を深めるには,その数理構造にある不変な量を知ることが一つの方法であり,その一つがエネルギーであった.(Newton以降エネルギー概念の発見までには実に長い年月がかかっている.)LC回路の場合は,抵抗がなく対応する力学系では保存力しかない簡単なバネ振動の問題になり,エネルギーは保存する. そのエネルギーを先の対応関係から回路のエネルギーに変えてみようとする,まずは運動エネルギーは,コイルのそれに対応していそうであり,先週の関係式を代入すると,磁場の二乗(×コイル内部の体積)に比例している項が出てきた.さらにポテンシャルエネルギーに相当する項から,コンデンサーのそれとして電場の二乗(×コンデンサー内部の体積)に比例する項がでてきた.どうやらこの系では,バネの振動で運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの間でエネルギーの変換がされながら振動が起きているように,磁場エネルギー(コイル)と電場エネルギー(コンデンサー)をいったりきたりしているようである.しかも,体積に比例していることから,電場や磁場が空間に充満していることでエネルギーがあるようにみえる.

少々わざとらしいかもしれないが,磁場や電場のエネルギー密度が求まったことになる. 高校の時にもコイルやコンデンサーのエネルギー(LI2/2とか)は求めたと思うが,もうちょっと行くと場なるものがエネルギーの重要な担い手のように見えるところまでくることができる.さて,さて,みなさんはこんな話が信じられるだろうか?次元はどうだっけ?方程式が同じだから保存する何らかの量があるのはわかるが,それはエネルギーと呼ばれるものなんだろうか?実は計算の途中はソレノイドコイルや平板コンデンサーの(特殊な)結果を使っていた.それが単純に特別なのではないだろうか.そもそもコイル中やコンデンサー中の磁場電場が空間に一様なのは理想的な状況だけで,ぐちゃぐちゃになっていても同じことが言えるだろうか?講義ではこうした疑問を少しずつ解消していき,電場や磁場の従う法則を解き明かして行きたいと思う.LC回路の話をしたのはそうした所信表明演説をしたかったからである.さてこれで来週朝一限の講義に出てくる学生は減るだろうか. (きっと減らないにちがいあるまい.きっと...).

ここからまじめに?電磁気の講義に入る.まずは電荷の性質をまとめる. 電荷には保存則があるので,勝手に湧いて出てきたりしない.核分裂の例や化学反応の例を示したのは前回までで,今回は静電気の話として,ゴシゴシと下敷をこすっても,電気が湧いて来るわけではなくて,おそらく軽い電子がはぎ取られるだと話す.しかしながら,静電気の話しは物理の世界で完全に理解されているわけではないようである.昨年だったセミナーで勉強した情報によれば,ものには帯電列というこすったときにたまる電荷の優劣が決まっているらしい.例えば下敷でも,強い?ものとこするとプラスになるが,弱いものとこするとマイナスに帯電するということが起こるらしい.というようなヨタ話しをする.それから,クーロンの法則にはいる.これはすでに知っているとは思うが,大学生なのでかっこよく?ベクトルで書いてみる.これから全てをベクトルで書くが,その記念すべき第一歩である.何もびびることはないが,油断しないように.それからクーロン力がとっても強いことを確認した. 来週は電場という場を登場させてみる.

今週の宿題:
  1. 前回の式から運動エネルギーとポテンシャルエネルギーがそれぞれ最後の式になることを確認せよ.
  2. 下敷と布をこすったときに,どっちにプラスどっちにマイナスが貯ったかを見抜く方法は?
  3. 銅原子にはそれぞれ一つの「伝導電子」がある.10円玉の中にある伝導電子の総電荷量は何クーロン?
  4. 水素原子中の原子核(正電荷)と電子(負電荷)に働くクーロン力と万有引力の比を調べよ.
  5. クーロン力がとても強いことを見たが,我々はどうして日常生活で万有引力を感じるがクーロン力を感じないのだろうか?実は感じているのか?ならばその例を示せ.
今日の質問:

まだ,講義で話している内容が簡単なので質問もないのかもしれない.講義中に止めて,質問してもいいですよ.

ここのNewtonって何?

クーロン力と重力の大きさをくらべるところ.1クーロンを1メートルの距離に置いたときの力の大きさを計算するところで,1ばかりを代入すると式が寂しくなったので,力の単位としてNewtonと書いた.一方で,その結果のところでは,[N]などと書いて,表記が統一されていなくて,困惑したようだった.すまんです.

このパラドックス答えは???

ファインマンIIIの中に書いてあるパラドックス.電磁誘導と角運動量保存の間でパラドックスが起きている.答えが書いてないので,どうなの?というのが答え.その学生さんは角運動量保存が正しくて回転しないというのが直観的答えのようだった.私も回らないと思ったが,どうやら回るらしい.講義の後の方で話すことがあるかなー.

太田教官についてもっと語って下さい...知らない人もいるのでいいです...

何が聞きたいですかね.太田本を読むのがいいですよ.それから月刊誌パリティ(丸善)に電磁気学列伝とかいう連載を書いています.面白いですよ,特に歴史に興味のある人にはお薦め.

オフィスアワー数時間設置してください.火曜が多いですが,実験があるのでキツイです.

下にも書きましたが,この時間しかダメということではないので,許して下さい.それより実験がんばって下さい.

今日の雑談と反省:

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