第13回のおさらい

今日のおしながき
  1. 電磁誘導とマクスウェルの方程式
    1. レンツ・ファラデーの法則
      • 誘導電場
      • ファインマンのパラドックス
      • 自己インダクタンス
    2. マクスウェル方程式と変位電流
今日のまとめ

少々遅くなりましたが,あけましておめでとうございます.私は今日が今年最初の講義でありました.

まずは,前回の最後電磁誘導によって生じる現象の一つとして渦電流の話をした.前回デモとしてパイプ中を落ちる磁石を見せ,その他にも渦電流を(効果的に)利用している例を幾つか紹介し,電車のブレークもそうであることを話した.その原理を考えておくよう宿題にした(つもり)だが,今日はそのヒント?に対応するデモから始めた.それは磁場中での金属板振子で,ファインマンの教科書にも載っているし,その他の教科書にも沢山のっている例題だ.高校の教科書ではみたことがないな.くびれ?の入った櫛形板もあるので,形状の違いや(電気伝導度のちがう)材質の効果を見てみた.といって,私だけたのしんでいるのも何なので,これはみなさんに回覧した.磁石が強力なので,高価な時計を持っている人は注意してもらうことにして...

講義では前回のちょっとすっ飛ばした補足からはじめた.それはローレンツ力で表される起電力からファラデーの法則を示すときの中間の式である.左辺と右辺がつながっていないところが,一ヶ所あったがそこを埋める式を一つ足しておいた.さて,今日は磁場を変動させる方の解釈として誘導電場の話をした.ファラデーの法則を右から見た?ような感じである.そうすると誘導電場のrotは回路である必要がないような感じがする.確かに,今日回したキット?でも,磁石の方を動かしても銅板はついて来るわけである.そこまで来ると,「場」という感じが前面に出てくるようだがどうだろうか.そのことをあからさまに示した例として,ファインマンの(教科書に出ている)パラドックスの例を紹介する.これは確か2回目の講義の後に,質問に来た学生への解答でもある.本当の解答はもうちょっと先の知識が必要だが,この段階でパラドックスをたのしむ段階までは来たと思うので,ちょっと考えてみる.磁場の変化による誘導電場による回転運動と角運動量保存則がパラドックスになっている.

もう一つの例として,回路に生じるインダクタンスの話をする.特にここでは自己インダクタンスについて,コイルの場合の自己インダクタンスを計算する.これは第一・二回の講義でのLC回路のLについての説明に相当する.例題を示したのだが,これは一般的な性質である.センター入試などにはコイルのインダクタンスの公式とか出そうだが,もちろんそんな公式は忘れて下さって結構だけれども,その代わりに大事な法則を理解しておこう,って講義では話した.

最後にマクスウェル方程式を完成させた.静電場と静磁場の世界は完全に分離した2つずつの法則からなっていたが,先の電磁誘導のファラデー・レンツの法則はそれらを混ぜる法則であった.もう一つの混ぜ方をここでは議論した.それは,アンペールの法則から始まり,電荷の連続の式を合わせて考える.非定常電流にも成り立つように,おまけの項を追加するとうまくいくのだが,この項はマクスウェルの変位電流と呼ばれている.それを"電流"と呼びたくなる理由を,コンデンサーへの蓄電過程で確認しておいた.静電場の状況ではアンペールの法則になっているし,電荷の連続の式も成り立っている.うまくいっているように見えるこの式(マクスウェル・アンペールの法則)が,マクスウェル方程式の最後の式である.

これで今日の講義の内容はおしまいであるが,最後に回覧が終わった銅板を,どっぷり液体窒素につけて冷やして同じ実験をした.電気伝導度が上がるので,見える効果大きくなる.振子はもはや振れないで,むしろ下の土台を引き連れて行きそうになるくらいであった.それを私だけが楽しんで終わった.もちろん,みなさんの目の前で披露はした.

今週の小道具:
  1. 銅板,銅の環状板,櫛型の銅板
  2. アルミ板
  3. 磁石と固定用土台
  4. 液体窒素
今日の配り物:
なし
今週の宿題:
  1. 今日のデモの原理を説明せよ.アルミにしたり,櫛型にしたり,冷やすとどうなるかを説明せよ.
今日の質問:
ここはただの算数で...といったところの計算が...

「やればよいだけ」というのはちょっとひどい物言いだったかな.何カ所かあったので,説明しました.計算は計算なので,追えるようにすることは大事だと思いますが,そこで終わると本当に「ただの算数」になってしまいます.そういうことを言いたかったわけです.

今日の雑談と反省:

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