第12回のおさらい

今日のおしながき
  1. 統計力学の基本的な応用
    1. 固体の格子振動
      1. 格子振動の古典論
      2. Einstein模型:量子的調和振動子系
      3. Debye模型
今日のまとめと反省

気がつけば,もう12回目であり,今回を含めて残り二回となった. さて,先日締め切ったレポートに書かれていたコメントに2つ気になるものがあった. その一つは,講義では統計力学の中のどこをやっているのかがよくわからないということであった.講義の順番がひっくり返っていることもあり,なっとくするところもある.そこで,テスト範囲を明らかにすることも含めて,今まで扱ったことを眺めなおしてみた.正しい?順序で眺めてみればそれほど多くのことをやったわけではないことがよくわかったのではないか.

さて,その中で今日の話題はどこに入るのかがよくわかったであろう(と同時に,脈絡の無さも感じたかも知れない).今日は,例題として,固体の格子振動を考えた.簡単な模型として,結晶中の原子が独立に振動している古典的な調和振動子系を考える. 分配関数を計算して,エネルギー,比熱を見てみる.これはエネルギー等分配則が出てきて,Delong-Petit則が確認できる.これは高温で実験的に観測される比熱を再現している.しかし,低温で比熱はゼロになるので,そこは一致していない.このモデルではなかかな説明できないことがわかる.また,一方で,エントロピーを見てみると,絶対零度で負に発散することになる.これは困った.

そこで,改良を加えたのが,Einstein模型である.「神はさいころをふらない」と後にいうことになるEinsteinがいちはやくPlankの量子仮説を採り入れた振動子の理論を考えていることはなんとなく面白い.ここでは量子的な調和振動子系を考えてみる.量子論の知識はどの程度あるのかは全く知らないのだが,一個の調和振動子のエネルギー固有値を与えるだけで,後は統計力学の枠組では必要ない(「どうやっても固有値は求まるよ,大きくなれば」といったところに受けた人がいたが,その事実に受けてしまった.もう量子力学知ってるんだっけ?」).まずは分配関数を計算してみる.ほれほれと,あとは時間が無いのですっとばす. エネルギー,比熱の答えだけをかいておく.高温では先の古典系の答えを再現し,一方で低温では比熱はゼロになる.エントロピーもゼロになり,熱力学第三法則と呼応している.ところが,実験で見られるように,低温でT3ではなくて,Einstein模型では指数関数的に近付く.そこは修正されるべきである.その修正を与えたのは,Debyeである.調和振動子はもはや独立な振動子ではないと考えるのである.詳細は話す時間はなくなったが,興味を持った人は是非自分で勉強して欲しい.ちなみに,私が学部のときの統計力学の問題は「デバイ振動」であった.やってみると結構面白い.

今日の配り物:
なし.
今週の宿題:
  1. 計算をフォローせよ.
  2. 古典調和振動子のエネルギー等分配を,具体的に運動エネルギーと位置エネルギーの期待値を計算して確認せよ.
  3. 量子的調和振動子のエネルギー,比熱とエントロピーの温度依存性をグラフに示せ.
今日の質問:
講義の後でふらふらしていると,いつも誰かが声をかけてくれるので,このクラスは楽しい.今日は,「オイラー=マクローリン展開を知ってるか?」と突然聞かれて,えーとと困惑したが,それってテイラー展開の一般化したやつのことか.うーん,もう少し文脈がわかれば議論ができるかなー.それから「解析力学の母関数って?」...みなさんがんばって勉強しているようで,結構ですね.
今日の雑談:

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