第7回のおさらい

今日のおしながき
  1. 確率過程
    1. 経路積分表示
今日のまとめ

前回の終了間際に,今回やろうとしていることの概略をお話した(つもり).今日は具体的に,マスター方程式から対応する経路積分表示を求めてみることが目標である.求めるものは,始状態を固定して,終状態を指定したときの条件つき確率である.その間の時間発展はマスター方程式で記述されているものとする.中間状態をどんどん挟むことを考えると,結局微小時間での条件つき確率が求まればよいことになる.Kramers-Moyal展開をしたときのように,マスター方程式をシフトさせて,形式的に指数演算を展開する.ここで,示量変数の示量性を表す変数(サイズ)導入すると,先の展開は1/サイズ展開になっていることがわかる.このマスター方程式は微小時間については,フーリェ変換で求めることができる.

微小時間での条件付き確率が求まれば,あとはどんどん繋げて行けばよくて,形式的に経路積分のような形になる.つまり,始状態と終状態を固定したときの経路の重みの和の形で表現できる.最後に,微小時間Δtのゼロ極限をとり,ラグランジュ形式に書いておく.この問題でラグランジアンに相当する関数は,Onsager-Muchlup-Hashitsume関数(経路積分)と呼ばれている.具体的に以前に議論したLangevin方程式の場合のKramers-Moyal展開係数を入れて,そのOMH関数を書いてみる.なるほどなるほど.そういえば,経路積分を勉強したときに,もっともらしい経路が古典的な運動に相当していたよな.この場合はどうかというと,ランジュバン方程式の形になっているんだな.経路の幅のところにランダム力のスペクトル強度が入っている.

本当は今日のうちに線形応答理論に向けた準備まで行こうと思っていたが,そこには至らないうちに十分前になってしまった.最後はここで求めた経路積分と量子力学や量子統計力学との関連を対応関係の形で確認しておく.一粒子のハミルトニンを書くと,それとCM展開係数にあわせると,やはり2次で終わっているところがなんとなく面白い.ガウス過程っぽいかと言われるとそんな感じはよくわからないが,形式的には同じということになる.

今日の宿題:
  1. "ハミルトニアン"から"ラグランジアン"を作ったものと一致することを確認せ よ.
今日の質問:
convexとは
xは複素数にならないの?
密度行列の定義?Zで割る?
今日の雑談と反省:

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