2005年度 茨城大学 集中講義 講義題目: スピングラスの物理 ー平衡統計力学から非平衡緩和現象までー 講演者: 福島孝治 (東京大学大学院総合文化研究科) 日時: 7/28-29 概要: スピングラスは競合する相互作用の存在するランダムな磁性体であり,ランダ ムな凍結状態への相転移がおこるとされている.理論的にはレプリカ法や状態 方程式の方法等のランダム変数の取扱い方の進展により,平均場模型の範囲で はさまざまな平衡統計力学的な性質が明らかになった.一方で,そこで得られ た描像の現実的な有限次元系に適用に関しては未解決なことが残されている. さらに,実験的にはエージング現象や非平衡緩和等のガラスのように遅い緩和 現象が近年特に興味を持たれている.講義では,実験事実をまとめあとで,理 論解析からわかることを解説して行く. 1.実験事実 1-1. 典型的な現象 1-2. スピングラスと呼ばれる条件 2.平衡統計力学的アプローチ 2-0. 理論模型 2-1. 平均場理論 レプリカ法 クイックレビュー 2-2. 平均場理論 状態方程式の方法 2-3. 平均場描像 2-4. 液滴描像 2-5. 数値計算でわかったこと,わからなかったこと 3.非平衡緩和現象 3-1. エージング現象,FDTの破れ 3-2. 平衡状態の知見との関係 3-3. 動的平均場理論とガラス転移 3-4. 液滴描像的な描像 4.展望 4-1. 類似性としての情報統計力学,最適化問題 4-2. 類似性としてのガラス転移