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研究室紹介の変更点

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!!!福島研究室の紹介
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{{include 大学院説明会2013}}
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!! 福島の所属している大学院
私の所属は,
 東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系
です.この名前から,理系の大学院であることを認識するのは難しいかもしれません.検索エンジンで「東京大学 物理」を探しても,この総合文化研究科はなかなか出てきません.すでに,このページまで来られたみなさんには説明の必要はないかもしれませんが,私は物理の研究者で,多くの物理学者をはじめとする理系の研究者が所属しています.相関基礎科学系の[教官リスト|http://www.dbs.c.u-tokyo.ac.jp/labo/#anchor_c]を見て頂くとわかりとおり,例えばCグループはかなり広い分野をカバーしている物性理論グループです.

!駒場の雰囲気
個人的にはこの物性理論グループで緩やかな共同体を作ろうとしていて,なんとなく機能してきています.一つは統計力学と物性論の話題で議論するオープンなセミナーとして,[物性セミナー|http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar?page=FrontPage]を定期的に開いています.その他にも各研究室のセミナーのうちにオープンにできるものは掲示板で公開して,研究室間の交流の機会を作っています.こうした試みは理論グループであれば比較的容易に出来そうなのですが,現実的に機能している組織はそうないかもしれません.

!!福島研のテーマ
私は,多自由度の系を統計力学の手法を使って研究しています.「多自由度の系」というのは極めて曖昧な表現ですが,例えば,水はたくさんの水分子からなっています,この水は温度を冷やすとある温度で液体から固体になる「相転移」が起こります.そうした,多数の粒子がおりなす特有な現象をいろいろと考えています.「多自由度の系」といっても,それはとにかくどっさりたくさんの構成要素からなる系と考えれば,対象はいろいろあるわけで,特に問題を限定して研究しているわけではありません.面白いと思えることを研究しています(面白い面白くないは完全に主観の問題であり,それは私の場合は世の中の情勢には鈍感です.).

特徴を挙げるとすれば,「ランダム」な系や相互作用が競合している系の統計力学的な性質を系を主に研究しているといえます.相互作用の競合は,同時に満たすことができない複数ある相互作用のことを言います.言葉で表すと難しいですが,簡単に言えば「あっちを立てれば,こっちが立たない」状況のことです.社会生活をしていれば必ず遭遇するこの状況は,実は自然界でも沢山起こっています.こうした系には共通して,全員は完全に満足できないものの,みんなが少しずつ我慢する状態が多数存在します.その性質(多数の状態の特徴づけやよりよい状態の探索)を物理的に研究しています.

それから,計算物理の方法を積極的に使っています.元々は数値計算は好きではなかったのですが,実際にやってみるとなかなか面白いものです.ただ,既存の方法を単純に応用するのはつまらないと思っていて,誰も計算出来ないことができるようになるような方法の開発に興味を持っています.

*ランダム系の統計力学
*極めて遅い非平衡緩和現象,エージング現象
*最適化問題の(物理的)性質
*計算物理の方法の開発 
具体的な研究内容は「研究分野」「論文リスト」「研究発表」のページをご参照ください.

これでもやはりどのような研究をしているかはよくわからないと思いますし,また,福島の人間性(大学院で数年一緒にやっていくには大事な点)や研究への取り組む姿勢や特色は十分には伝わらないと思います.そこで,興味を持たれた方は是非一度福島研まで来て頂ければと思います.
//(結局,町役場の囲碁部と同じか?).





!!福島の指導方針
はっきり言えば,特に(まだ)方針はありません.私がこれまでに受けて来た指導を何とかうまく継承できればよいなーと考えています.

* 基本的に手取り足取り指導するということはない.議論をしたい学生(そうあって欲しいと強くのぞむ)とはよく議論をする.
* なかなか先に進まないときは,励ます
* 結果が出てきて,アゴが上がって来たら,潰しにかかる
* 楽しげな結果が出てきたら,一緒に喜ぶ
* 楽しげな研究は,隠れてこっそり自分でもやってみる.
* つまらん結果がでてきたら,なっとくする.
* つまらん研究には,つまらんといふ 

M1のときには,基本的な内容の教科書の輪講をやろうと考えています.基本的な知識をつけることが目的ですが,その他にも「ちゃんと本が読むこと」ができ,セミナーで「ちゃんと人に情報が伝えること」ができるようになる訓練の意味があります.以下はこれまでやった輪講のリストです.

,年度, 著者, 本
,2013年度,V.Dotsenko, "Introduction to the Replica Theory of Disordered Statistical Systems"
,2012年度,M.Talagland, "Spin Glasses: A Challenge for Mathematicians"
,2010年度,Mezard-Montanari ,"Information, Physics, and Computation (Oxford Graduate Texts)"
,2009年度, Wilson-Kogut, The Renormalization Group and the e Expansion、 Physics Reports
,2007年度, Itzykson-Drouffe,Statistical Field Theory: From Brownian Motion to Renormalization and Lattice Gauge Theory
,2006年度, G. Parisi, Statistical Field Theory
,2004年度,チェイキン・ルーベンスキー, 「現代の凝縮系物理学」 

「チェイキン」本を読んだときは,加藤雄介研究室の人にも参加してもらいました.

もちろん,その他に研究はやってもらいたいです.


!!これまでの卒論・修論
,タイトル, ,年度
,レプリカ対称性の破れと自由エネルギー地形の関係に関する理論的研究,中島哲也,2011年博士論文
,バーテックスカバー問題の解の構造,千葉 康一,2011年度修士論文
,観測データからのイジングモデルのパラメータ推定,岸本 真和,2011年度修士論文
,断熱的二温度系における適応進化の統計力学的研究,坂田綾香,2010年度博士論文
,棒状剛体分子の配向相転移,早川新吾,2010年度修士露文
,時間的階層のある多体系の相転移現象の統計力学的研究,中島千尋,2008年度博士論文
,スピングラス模型における1段階レプリカ対称性の破れを伴う解の熱力学的構成,中島哲也,2008年度修士論文
,スピンモデルによる適応的進化の統計力学的研究,坂田綾香,2007年度修士論文
,統計的学習理論--統合パーセプトロンを用いたアンサンブル学習--,平間毅,2007年度修士論文
,彩色問題の有限温度への拡張と相転移現象, 中田豊,2007年度修士論文
,数独のモンテカルロ法による解析,門田雄介, 2006年度卒業論文
,レプリカ法とSherrington-Kirkpatrick模型について,中島哲也, 2006年度卒業論文
,スピン自由度を導入した格子ガス模型の相転移,中島千尋,2005年度修士論文


!!福島の守備範囲(外)
私は統計力学が好きなので,統計力学が有効になりそうな話題ならいろいろ考えてみたいと思っている.特に学生さんが主体で研究を進めてくれるならば,比較的よい議論相手になれるのではないかと思っている.よい意味で批判的な見解を示すことができると思うし,まだまだ私は若いので新しいことにも喰らいつく元気はあるつもり.結局のところこれが私の一番のウリかなと思う.ただし,どうしても触手が伸びない,どうしても面白いと思えない領域があるのも事実である.例えば,「経済物理学をやりたい」のならば,ここには来ない方がよい.お互いに不幸にならないためにも,やりたいことがある学生は事前に教官のところを訪れるのがよい.これはここに限ったことではなく,広く一般的なことである.

!!大学院入試
上にも書きましたが,でも少々複雑な組織ですが,私は大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系(Cグループ)(長い...)に属しています.ですので,大学院入学試験は,
    東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系
を受けてください.今年度の[入試の要項|http://www.dbs.c.u-tokyo.ac.jp/exam/guide/]をご参照ください.また大学院入試説明会が5月頃に行われますので,参考にして下さい.

以下では少し駄文を...
!!大学院に来るということ

さて,大学院を目指すということはどういうことかを考えてみます.私が大学院を目指したのは,「もう少し勉強してみたい」ということでした.面接の時にもそんな答えをしたのを覚えています.ボケーとした学生だったのだと思います.当然?「大学院は勉強するところではない」と言われました.そうです,大学院は勉強するところではありません.勉強ならば,何もわざわざ大学院に来なくてもできるはずです. 20代前半と言えば,人生で最初に乗ってくるころです.社会に出て,仕事をするようになれば,それは充実した生活を送れるます.その貴重な2年間を「勉強だけ」に費すことは大変もったいないことです.もちろん,大学院生活には一般社会では得難い貴重な体験ができるです.就職すれば給料が頂けるはずで,大学院で払う高い授業料との出入りは非常に大きいです.その元をしっかりと取るつもりで大学院には来て欲しいと思います.ただ漫然と過ごしているだけではその「体験」を得ることはできません.是非,その2年間を無駄にすることのない強い意志をもって大学院を目指してください.
!!理学系研究科と兼担しないワケ
私の所属する大学院総合文化研究科の先生方には本郷の理学系研究科と兼担をされている方が沢山おられます.つまり,大学院の入口として,2箇所あるというわけです.実質的には2つの試験は同じ日に行われることが多いので,二回試験を受けられるわけではないようです.それでも,第二志望との兼ね合いでは,理学系と総合文化を選べることは学生にとってはよいことです.しかし,残念ながら,私は兼担はしていませんので,総合文化研究科の入口しかありません.将来的には兼担をすることがあるかもしれませんが,現在のところその予定はありません.その理由は私のつまらない意地だけです.もしも第一志望として,福島研に行きたい学生がいるならば,総合文化研究科の入試を受けるのが筋だと思うし,そうして欲しいと思います.問題は,第一志望が理学系研究科の××研で,第二志望として福島研が候補にあがるときです.その学生さんが残念なことに××研の選考からもれた場合に,兼担効果が生きて来ます.でも,理学系研究科に競合する研究室はほとんどないので,まあ,そんな可能性はほとんどないでしょう.


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