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研究会情報物理2006

研究会「情報物理学の数学的構造」

2006年6月28日@数理解析研

数理解析研デビュー研究会であった.いつもは憧れを抱きつつ,そのまま通り過ぎて基研にいっていたが,今日はしっかりと数理解析研究所へ突入を果たした.残念ながら,講義のために一日のみの参加であったが,それは本当に残念であった.無理をしてでも,補講をしても,研究会には参加すべきだと思った.講義をすることと,研究会にでることは直交していることではない.どちらも我々研究者にとって大事な仕事なのである.

さて,研究会の題目が情報物理であったので,確かに物理の研究会ではなかった.かなり慣れてきたとは言え,まだよく知らないことの方が多い.それでも統数研の池田さんの話しは慣れて来た部類である.まだ情報幾何のあの絵の気持ちがよくわからないが,計算してみないかぎりは馴染まないのだろうとも思う.村山さんの話しは,話し方が企業用になってきていて,ある意味でわかりやすくていいのだが,ある意味では物理の業界には馴染まない話し方になってきているように思う.

そんな中で,いつ聞いてもフィットするのは渡辺(治)さん.話しがクリアでとてもうまい.しかも,毎回なにかしらのproposalを持っているのがすごいと思う.今回はplanted solution method. 充足問題等で解をあらかじめ埋め込もうというわけである.解析するときに便利であるからであるが,逆にそこが問題を簡単にしているのではないかと指摘されることがあるようである.結局,自然とか不自然な設定というのは,この業界ではよくわからない.解空間の構造を(どうやって調べてよいかはわからないが)理解しないといけないのだろう.Max KSATの解を埋め込むのは難しいようだが,K=2の場合の構成法を提案されていた.なるほど.渡辺さんの話しでいつも感心するのは,裏ではシビアな証明をされているのだろうけど,プレゼンでは実にいい加減な説明を,「だいたいこんな感じ」と称してしてくれるところである.凄い能力だと思うのである.

私の話しは,副題として,ランダム系の数値計算と二温度化問題についてとして,二温度問題の知りうる情報と最近遊んだところをまとめた.まだまだしょぼしょぼなんだが,これからもう少し進展させたい.これはレプリカ法とも関係している.岡田さんが大昔に考えたことでもあったようだし,それなりに個人的には楽しめた.講演の後で,最終日の田中(利)さんのレプリカ法の話しのダイジェストを聞かせてもらった.例え数値計算でpracticalに正当性を調べたとしても,数学的にレプリカ法の正当性を示すのはまったく違うことで,非常に難しい状況にあることを教えてもらった.熱力学極限とは直接関係しないところが,今回の田中さんのポイントのようである.ううう,それはそうなのか.驚きである.

とにかく,今回はこれで京都を去るのだ.蒸し暑かった.

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最終更新時間:2006年08月27日 09時56分38秒