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研究会US-JPN2006

US-Japan Bilateral Seminar@マウイ, July 17--20, 2006

"Simulations of Complex Behavior from Simple Models"

LandauとOkabeさんがOrganizersで,7年ぶりの日米の計算物理に関する会議があった.今回は3回目のようだが,私自身は初参加であった.

初日
トップはSwendsenだった.熱力学積分を一般化した方法で有効ポテンシャルを求める方法の提案であった.ちょっと面白そうであるが,これまでになかったのか?という気もした.Furukawaさんの話は面白かった.聴衆をよく把握しているというか話の内容も含めて,ポイントの作り方も分りやすかった.Tomitaさんはダイポール系をサボって研究しようというもの.彼は統計力学屋だなーと感じた.まだいろいろできることはありそうである.Luijitenさんは電荷あり高分子の問題.分子シミュレーションではいま一番面白い問題らしい.そもそも彼とはLos Alamosの会議であっていて,そのときは長距離系のクラスターアルゴリズムをやっていたはず.手が速い.頭の良さそうな感じがした.

とこんな感じで書きはじめたが,ポイントが散漫して面白くないので,トピック的に書くことにする.

Young
二日目の最初の講演.最新のデータも見せてくれたが,話は最近の論文の話を要領よくまとめる.ハイゼンベルグスピングラスの結論は若干変わって来たように思う.我々もそれに対応しないといけない.以前はYoungの研究会の話は面白くないとずーと思っていたが,今回はその心境が変わって来た.専門でない聴衆にもちゃんとメッセージを伝えようとした丁寧な説明をいつも心がけているのだと,わかってきた.それは私のようなその道の専門にはしょうしょう退屈に聞こえてしまうだけなのだろう.いやー,今回もわかりやすくて,よい発表だった.研究会を通じて,いろいろと議論もしてもらった.世間話もね.

ふくしま
私の発表のタイトルは,"Extended Scaling Scheme for Critically Divergent Quantities in Ferromagnets and Spin Glassses"とこの前のプレプリントの話をする.当っているとは思うが,どう受けるのかヒヤヒヤしながら話す.あいかわらず下手な英語で恥ずかしい限りだが,日本版とはちがう形でYoungに絡みを入れてみた.そこそこ受けていただろうか?何人かのペンが動くのが見えた.後でFurukwaさんとも少しおしゃべりできたのはよかった.低温相の方に目を向けるのはさすがにNovotnyという感じがした.これが彼との最初の交錯だった.講演の後で,ダイナミカル問題への拡張の話しをしたが,高温展開が基礎になっているかぎり難しいような気がした.本質は高温展開などではないはずなので,なんとかしたいところだ.さらに,Swendsenともおしゃべりをした.彼は私のことを忘れているのかどうなのかわからないが,こっちはよい印象は持っていない.ジョージアではこっぴどくやられていたから.しかし,今回は人のよいおじさんのような感じであった.詳しくあからさまに説明しなかったが,我々のやり方のグラフの横軸のスケールをちゃんと理解していて,その右端が温度無限大であることをわかったうえで,とても驚きだと素直な感想をもらった.プロだから当り前なのかもしれないが,グラフのスケールなど秒殺でわかるわけなのだ.Youngはもちろん我々の論文は読んでいるはずで,講演中も質問をもらったし,後でも議論した.解析の仕方で彼の気に入らないところを指摘された.もちろん,その点は我々もわかっているので,本論文では修正するつもりである.概ね,「本当かどうかわからんけど,陽にはケチはつけられない」という感じかな.Luijtenからはごちゃごちゃ言われたけど,冷静になれば何を指摘していることになっているのかはよくわからない.
Wang-Landau法と...
Wang-Landau法を陽に説明したのは,結局Tsaiさんだけだった.Mitsutakeさんの話では一言も触れないのは対象的であった.アメリカでは標準的な方法として,特に化学物理に浸透している状況は知っている.Okabeさんに不満を述べたところ,どうやらOkabeさんが最初にWang-Landau法と名付けたようだった.失礼しました.いろいろと文脈が違うTransition MC等との関連をさらに教えてもらって勉強になりました.でも,やっぱり,Wang-Landauっていうのはどうなんでしょうか.
WebTOP
この計算物理の会議では,可視化や教育教材の話題はないと思っていたら,一つあった.Mississippi State UnivのWebTOPである.面白そうな感じはするが,こういうのが教育的かどうかは迷うところである.
並列計算機とNovotnyの話
これから(既に現状も)の大規模計算は並列化を考えないといけないが,どう並列計算にするかという思考に陥りがちである.今回のNovotonyの話は,event drivenの計算を超並列計算機にのっけたときの計算特性を統計力学的に考えようという研究であった.ネットワークの研究をするよりも,統計物理っぽくて面白い話題だった.でも肝心の最後のところはちゃんと理解できなかった.私の理解は間違っていると思うのだが,うまく分配すると,元の物理系の特性でなくて,分配した系の計算特性が大事になるというような感じだった.本当かなー.そうだとしたら,効率のよい計算ではないような気がするが,そうでなかったら是非試してみるべきだと思うのだが.こういう情報はなんのこっちゃよくわからんですね.要チェックです,Novotny.
一番面白かった話題
Yanceyさんの"From Carbon atoms toward Small World Networks ..."という話.Novotnyの学生さんで,タイトルもいかにもという感じで,期待ゼロで,しかも学生も自信なさそうな話っぷりだったが,それがどうしてどうして.面白かった.C60が第一原理計算でエネルギーが低いことはわかっているが,カーボンリングにsmall world的に架橋を人口的に作ったときの構造計算はどうなるかというのを,古典計算とDFTの計算をやっていた.しかも,架橋の位置と架橋の原子(たぶんカーボンだったと思う)数を網羅的にである.これは何の役に立つのかというありがちな愚問をそっちのけに,網羅的に調べているのがおもろいではないか.古典計算では立体構造が出てきても,DFTだと平面構造になったり,その逆があったりと,絵を見ているだけでも楽しい.今後の展開は?ってのは難しいが,こういう役に立たなさそうな研究ってのもあってよいはずである.

それなりに楽しんだ研究会でした.今度は何年後なんでしょうか.また,参加したいものです.

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最終更新時間:2006年08月27日 09時50分27秒