{{outline}} ---- 現在,となりのページ(研究室紹介)を改訂中.ただ,本当に書かなきゃいけないのは,このページなんです... 最近の仕事は論文リストのページを見て頂きたい.ごく最近のものについては,その簡単な解説も書いておきました. !!!研究テーマ スピングラスに代表されるようなランダム系の物理現象に興味を持って,磁性体としての物性論や多体問題としての物理的性質を理論的に研究している. 特に,同時に解消できない複数の拘束条件がある場合にたびたび現れる多数の準安定状態の構造を理解したいと考えている.そのような問題は多岐にわたっており,例えば,ガラスやタンパク質などの複雑な物理系や統計推定問題、最適化問題等の統計・応用数学モデルなどがある. 複雑な準安定状態構造の普遍的な性質やそこでのダイナミクスは統計物理として面白い問題である. 最近の具体的な研究例は以下のとおりである. !!ランダムスピン系の統計力学的研究 研究対象のキーワードとして,「ランダム系」と「(平衡)統計力学」ということになると思う.世の中に乱れがない状況を作るのはそれなりの努力が必要となる.逆に言えば,乱れはほとんどいつでもあるように思われる.たとえば,結晶中の格子欠陥などを思い浮かべると,それを取り除くのは難しそうである.それではそんな乱れがある場合はどうすればいいだろうか.まずは無いと思って考えて,後から乱れの効果を考えてみる.それが順当なやり方だと思われる.大抵の場合,小さな乱れの場合は無視できる場合が多い.しかし,乱れがひどいとそうとは限らない.平衡状態の性質だけを考えても,相転移はするのか,どんな相があるのか,きれいな系と同じなのか?等の疑問はわいてくくる.一般にラ ンダム系と呼ばれる分野?は,乱れが無いと思えない現象を対象にしている.乱れがある と,単にぐちゃぐちゃして,汚いだけのような気がするが,そうでなくて,乱れのない系では決してみられない変わった現象を示すことがいくつかの例で知られている.そんな現象を研究の対象にしている. 私は主にモンテカルロ法を用いて、ランダムネスと相互作用の競合するスピン模型の研究をしている。最近の話題を以下に上げておきます. *3次元ハイゼンベルグスピングラス模型のカイラルグラス相転移 *スピングラス相の温度変化にともなう安定性 *ランダム系固有の臨界現象のドメイン壁繰り込み群による研究 *イジングスピングラス模型の臨界現象 *完全フラストレート模型の相転移 !!ランダムスピン系の周辺 ランダムスピン系の数理構造は,統計力学のアンサンブル平均の外側に,相互作用に関する平均操作を持つ.この構造は割と広い問題のクラスに共通であり,ある意味で普遍的な性質を示したり,個別の面白さがあったりする.ランダム化された最適化問題や制約充足問題はまさにその例である.相互作用の確率が変わるような問題は学習の問題や適応進化の問題と関係したりする. !!ランダム系における遅い緩和現象 上ではランダム系の平衡状態の研究をついて述べたが,それらの系には共通して,遅い緩和の現象が見られる.平衡状態へ向かう緩和が極めてゆっくりになっているわけである.なにかしら,平衡状態へ向かう過程を阻害しているものがあるわけであるが,それは1つは乱れの効果がある.もう1つはフラストレーションの効果である.完全に取り除けない拘束条件がたくさんあり,平衡状態へ向かう途中で,あっちの様子をうかがったり,こっちの様子をうかがったりして,なかなか先へ進めないようである.この問題は実験で見られる現象の理解には避けて通れない.一方で,例えば最適化問題を解いている最中を考えてみると,最適な見つけたいのになかなか見付からないという事実とも似ている気がする(実際にそのような研究はされている).こうしたことへの理解も深めて行きたいと考えている. * スピングラスのエイジング現象 *エイジング現象に対するドロップレット理論の拡張 *ランダムスピン系のグリフィス相での遅い緩和 *ハイゼンベルグスピングラスの動的臨界現象 !!数値計算手法の開発 多体系の非摂動的手法の一つとして,モンテカルロ法や分子動力学法等の計算物理の方法がある.先の「遅い緩和」が現れる系では、計算機シミュレーションも大変なことが多い.そこで,ただ単に既存の方法を応用するだけでなく,新しい考えを取り入れた計算手法の開発やその応用方法に取り組んでいる.モンテカルロ法では, 「拡張アンサンブル」の方法に属する新しい方法を提案した。その方法は,同じく「拡張アンサンブル法」に属するマルチカノニカル法とともに世界的に多くの研究者に利用されている。この仕事について、第7回日本物理学会論文賞を受賞することになった。 私は大学院の修士のころは,物理の問題に数値計算でアプローチする手段にかなり抵抗を感じていた.そのときの思いもあってか,単純に既存の方法を応用するだけの,誰でも出来そうな数値計算をやるのは今でもかなり抵抗がある.誰も出来なくて進展できない問題に,新しい手法で突破口を見出したり,ピリッとコショウの効いた数値計算が好きである.一方で,面倒くさい解析をシコシコやったりするのも好きである.どんな数値計算の仕事でも必ず何かしらの工夫は盛りこまれているものではありますけど... *詳細つりあいの破れたモンテカルロ法 *稀な事象のサンプリング技法 *ポピュレーション・アニーリング法の開発 *Nクイーン問題の解の個数計算 *交換モンテカルロ方法の開発 *強制振動子法による固有値分布端の計算法 !!データ駆動科学の進展 最近,ビックデータという言葉がよく聞かれます。大量のデータの中から埋もれている情報をうまく引き出す方法の重要性が社会的にも取り上げられています.その状況は科学の分野でも同じで,実験・計測技術が向上して,これまでに見えなかったデータを手にできるようになってきていますが,その処理方法はそれほど進んでいないです.実験データから積極的に情報を抽出する試みをデータ駆動科学とでも言えるでしょう.これはここ数年のうちに一段階レベルを上げる必要にある研究課題だと思っています.おそらく,重要なのは統計科学の知見なのでしょうが,きっとそれだけではなくて,物理学者が力を出すべき問題だと考えています。その昔,フェルミは実験も理論もできた素晴らしい研究者でした.まぁ,私は三流以下の理論物理学者なんですが,この問題に関しては理論とか実験とか言って区別してる場合ではないでしょう,きっと.少なくとも実験データをしっかり食べることができる理論家ではありたいと思っています. ---- !!!研究プロジェクト !!新学術領域[スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成|http://sparse-modeling.jp/](H25-H29) *はじまります. *科学におけるビックデータから自然科学の法則を抽出する方法論の構築を目指します.もちろん、統計力学的な考え方が重要になると考えています. !![複雑生命システム動態研究拠点|http://kyoten.c.u-tokyo.ac.jp/] *「生きていることの状態理論」の構築を目指しています.動的な状態理論を作る必要があり,極めて難しいが挑戦的な大問題です.私は統計力学的な観点から何かしらの寄与ができないかと考えています. !!新学術領域研究 [「多面的アプローチの統合による計算限界の解明」(ELC)|http://www.al.ics.saitama-u.ac.jp/elc/] *連携研究者ですので,少しだけの関係です. !![情報統計力学の深化と展開 (DEX-SMI)|http://dex-smi.sp.dis.titech.ac.jp/DEX-SMI](H18-H21) //!以下の特定研究の計画研究の研究代表をしています. //ロゴが決定! //{{virthumb dex-smi_log1.jpg}} *計画研究の研究代表者として参画.平成21年度にプロジェクトは終了しました. !![確率的情報処理への統計力学的アプローチ(H14-H17)|http://www.smapip.eei.metro-u.ac.jp/] //{{virthumb SMAPIP-Logo.png}} *計画研究の研究代表者として参画.平成17年度にプロジェクトは終了しました. ---- [{{counter field}}]