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今日の一言/2013-2-14

卒研発表会

D論,M論発表会に続いて,今日は卒研発表会.期末試験も終わったので,これで今年度の学務関係はおおかた終了.記憶が薄れる前にレポートしておこう[1]

年度末の忙しない時期ではあるが,今年は意を決して朝一番から卒研発表会に出席.最後の発表までしっかり聞かせてもらう.基礎科学科の卒研発表会は,毎年よい雰囲気である.卒業した先輩がちらほらいて,三年生も聞きにきていて,教員もそれなりにいるので,何となく盛り上がる.最初から最後までいたのは私と前田先生とある院生くらいかな.いつもならば佐々さんがいて,バシバシ突っ込みを入れるのだけど.その光景がみられないのは残念である.その代わりといってはなんだけど,私が思うままに突っ込みをいれた.金子さんなどは教育的な質問をするのだけど,私のツッコミはまったく思うがままである.ところで,自分の卒研発表のことは今でも覚えている.個人的に大ファンであったU先生が発表の途中で退席されてショックで,司会のU先生(別の先生)から,「その計算は大型計算機でやったんですか?どのくらい時間がかかったの?」などと話を聞いていなくもできる質問がやってきました.それならボロボロに論破された方がよかったなーと思ったのであった.まあそれも素朴系質問だったのですが,やはり内容に触れてほしい.そこは気をつかっているつもり.

さて,生体機能分科からはじまった.みなさん立派な発表なのだけど,いくつか気になったものをあげることにする.新井研の二人の学生さんの話はすごかった.アラニンスキャンの変異体解析をするのだけど,もう変異体を作りまくっているのです.その中から活性の高い変異体を探して,バイオエネルギー源にしよう計画というもの.どのくらい大変なことなのかがわからないのだけど,とにかく網羅的にやっていて,あと数十個で終了のところまでやってきていた.「うちの院生にもそのくらい変異体解析してほしい...」などと,講演者でなくて,聴衆に向かって質問されていた先生が印象的.こういう研究は泥臭くてスマートではないのだけど,個人的には好きなんでしょうね.琴線に触れた感じでした.組み合わせ変異の影響も重要かもしれないといっていて,そうすると「組み合わせの数は膨大だから,こんな調子では続けられないでしょう」という当然のつっこみがあり,半分賛成だけど,そう思っている人には絶対にできない研究だよなと思う.「まだできていない変異体に活性が10倍のものがあるかもしれない?」と聞くと,うれしそうに「そうです!」と答えてくれた.やってみなくちゃわからないのです.それとは別に,鉄?を抱え込む部位は進化的にも安定していて,そこは変異してはよくないらしく,その周辺を叩くのがよいというのは直感的にもわかりやすくて,実験結果もそれを示唆している.ならば,MD計算して立体構造を抑えておきたい気がする.こんなに巨大だと計算できないかもしれないけど,そちらの知見が得られれば変異させるべき部位もわかるかもしれない.理論が望まれるところだと思う.アラニンスキャンMD版とか.前処理として,変異体の効果はreweighting法で調べて,失敗するところがきっと立体構造変わっているはずだから,そこを個別にまじめにMDするのはどうだろうか.

続いて,数理分科がお昼前後にある.SATの力学系の話や分子の断熱遷移が量子カオスっぽい話やDNAの部品の回転プロセスの解析やダイマー問題の厳密解やら.午後には感染モデルの解析など.それぞれに面白く,ツッコミどころもあり,勉強になる.その後は物性分科に続く.うちで卒研した二人の発表もある.小柳くんは「クイーン問題のクイーンはどこに居やすいのか?」の問いに答えようとして,高橋昂くんは「空間的に方向性のある相互作用系が織りなす秩序の様子」を明らかにしようとしてきた.まずまずの発表であった.二人ともそれぞれにがんばったのだけど,それは10分の発表では全部は出し切れない.他の皆もそうなんだと思う.それをどのように見せるかというのも大事なんだけど,本当に大事なのはどんだけ真剣に取り組んだのかなのだから,発表は別ものなんだとは思う.全体を通じて一番よかったのは前田研の学生さん.超伝導の表面インピーダンス測定用の共振器の作成で,ありがちなテーマな気がしたけど,なんかもう自分で作った感満載で,院生から「同軸ケーブルはその周波数帯域ではもたないと思うんだけど...」などと何を突っ込まれているのか実験家にしかわからないけど,楽しそうに「ぎりぎりもっています」などと答えていた.その質問はよくわからなかったのだけど,きっと聞かずにはいられなかったんだろうね.いい先輩です.こういう雰囲気がいいのです.これを我々は守っていかなくてはいけなかったんです.そう思いました.最後は分子分科の発表.数理分科に入って内田研であなぼこあいている分子を作る卒研をするのも基礎科のよいところ.吸着公式にばっちしあっています...となっていると完璧だったんだけど.少なくとも第二サイトに吸着しはじめるときに引力が有効に働いているだろうことは,公式からずれることで認識できたと思う.

再来年には新しい統合自然科学科の卒研発表がはじまる.そこでもこんな雰囲気を作っていけたらよいと思う.きっと歴史が必要でしょうね.まったく関係ないが,プレゼン発表でのLaTeX beamer率が結構高かった.20パーセント弱.p○t全盛期になかなか健闘している.そのうちの二人はうちの卒研生.プレゼンソフトを買うお金がなかっただけなんです.もう一人は来年院生として来る学生.もう一人は高塚研で+impressiveだった.結局,私の周辺だけなのかもしれない..もうM○オフィス使って当然!と思っている人が多すぎてうんざりしているところだったので,その意味でもよい発表会だったぞ.

  • [1]まったくどうでもよいですが,今回の一言で量的に昨年を越えています.質的にもよくなるようにがんばります.

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最終更新時間:2013年02月16日 11時40分30秒