!!日本物理学会@鹿児島大学,3/18-21, 2007 前回の鹿児島大学の学会があったのは,私が学部学生のときだったので参加していなくて,鹿児島での学会は初めてである.あったかい南国をイメージしていたが,たまたま気候が悪くてとても寒い. それでは恒例の?学会レポートを...書くタイミングを逸してしまった.気が向いたらぼちぼち書きます. !3/18(初日) 前回同様に初日にスピングラスセッションが設定されていた. ::自分の発表 :::この程度の内容では最悪の部類の発表と言わざるを得ないです.もちろん,共著者にはなんの責任もございません.詰めが甘かったということです.それでも,何人かの方には有益なコメントをもらったし,それなりの話題は提供出来たかな.ちょっと奥に(泥沼かもしれない)深さがあるような気がしています.松原先生とはまた議論になりましたが,冷静に聞けば,松原先生のふたつの指摘は全くもっともで,私も現状でできる最大限の回答をしたつもりです.ちゃんとした議論になっていたと思います,お互いの発言から修飾子を全て除けば.共著者が松原研の助手の佐々木さんであったことを忘れていたところが最大の問題だったか...岡部先生には後からマルチスピンコーディングじゃないとねーと突っ込まれ,根性のないところを露呈し,ああ,またあの01とAND,OR,EORの世界にはまりこむのかー...嫌いではないけど,それなりに集中した時間が必要です. ::松田くん@西森研 :::スピングラスのLee-Yangゼロを計算したという研究.10年くらい前のOzeki-Nishimoriを最近の計算機テクを使って,大幅に追い越した.これが4年の卒研だということに一番驚いた.しかし,舞台に立てば,大人も子供も関係ない.ど真中に直球を投げ込んで見た.「いやいやそれはー」と西森さんが返答をしたので,やはりまずかったかな. ::スピングラスセッション :::その他にもいろいろと面白い話はありました.前回同様西森研の勢いはすごい.尾関さんの話はいろいろありました,いろいろ.前回の話は修正をされるようだったが,その話を覚えている人がどのくらいいたのだろうか?少なくとも私は鮮明に覚えていますヨ.さて,今回の座長は,白倉さんと根本さんだったのですが,実に堅実で安心して見ていられます.これは吉野さんプロデュースなんです. !3/19(二日目) ::生物物理 ::: 何を思ったのか,生物物理セッションに潜り込む.ダメだ.水が合わない.結局シミュレーションを何でやってるのかよくわからない講演が多い気がした.気持ち悪くなったので,前半で出る. ::非平衡基礎論 :::後半はこちらへ.こちらは難しくてよく分からなかった.渡辺さんの話は本人の謙遜ぶりとは逆に個人的には楽しんだ.反応はいまいちだったので,業界には自明だったのか,役に立たないのが問題なのか?でも,これでマルチカニカル熱浴だってもってこいです. ::高分子セッション :::午後一番は高分子セッションに出た.あまり覚えていない. ::古典スピン系 ::: 気をとりなおして,後半は古典スピン系に出る.それがどうして,全体として気をとり直せなかった.それでも菊池研の斎藤くんのVortex挿入による過重自由エネルギー計算は面白くて,現代的な感じだった.実質的には私の昔のやり方の方がいいと思って,講演後に議論した.まだM1だそうだが,次回が楽しみである. !3/20(三日目) 天気がよくなって,やっと春らしい,想像していた鹿児島らしい天候になった. ::過冷却液体セッション :::宮崎さんの講演が印象的だった.波数依存性を無視するのは,平均場極限でたびたび波数依存性がなくなることを彷彿させたが,つまり適切な平均場模型をつくったときの解析に対応しているのかと思ったのだが,後で質問すると事情はそうではなかったようだ.4点相関との関連も微妙で,スピングラスの問題でもスピングラス帯磁率につながる過程という意味で4点相関を見てみるのは必要かもしれない(もうそんなこと仏蘭西でやってるだろうか). ::拡散シンポジウム :::今回聞いたシンポはこれだけだったが,実に当たりなシンポだった.全く異なる(ように見える)分野から,拡散をキーワードに(それほど無理に絡めることなく自由な感じで)講演されているのは見ていて楽しい.それぞれに特色のある講演で,本当に楽しかった.最後の生物物理の方は実験の威力をまざまざと見せてくれて,その前のMDの人は時系列から情報を引き出す術を示してくれた.勉強になった. !3/21(4日目) 鹿児島最終日. ::ポスターセッション :::情報統計力学やニューラルネットワークがセッションとしてあったのだが,まずはポスターを見に行く.結果として,そのためにそれらのセッションに戻ることは出来なかった.ポスターでは... ::長距離相互作用をO(1)でMCする方法 by 福井くん@藤堂研 :::噂では聞いていたし,前日にも藤堂さんから路面電車の中で少し聞いていたうまい方法の話.確かにうまい.モンテカルロのことをよく知っていることを認識させられる,というか自分の未熟さを痛感するような話であった.クラスターMCをべーすにしているが,シングルスピンフリップでもできるとの事だった.そっちの方が不思議さが大きいような気がする.Walkerのアルゴリズムをうまくつかっているよい例題でもある.一次元スピングラスといマニアックな研究にやくに立つだろう.平均場で何かやりたくなったときにもこれは役に立つ.クラスターMCは長距離でうまくいくのかという点を聞くのを忘れていた.また来週会うことになるだろう. ::魔方陣その後 by 北島くん@菊池研 :::日本で4人くらいしか興味を持たないだろう研究だといきなり言われた.えーと,すぐに三人は思い浮かんだが,最後は君ね.私は以前に交換法で5か6までやってほとんどギブアップだったが,マルチカノニカルで8まで行っていた.しかも一晩の計算とな.進んでいる.ところがどうやらドイツの高校の先生が30まで言っているらしい.モンテカルロバックトラック法というらしい謎の方法だ.すごい. ::自動有限サイズスケーリング by 中江さん@京大 :::原田さんのところの学生さんらしい.以前にいろいろ悩んだことのあるテーマだが(私の知っている最初はIto-Kawashimaの付録),もう全然次元の違うところにいっている.統計学の知識をいっぱいつかって,かっこいい方法ができあがっている.臨界指数の誤差をどうやって決めるのかな.いろいろ基準はあるのだろうけど,今日くらいのデータで尤度のなだらかな感じでは不定性が大きいように思った.それからcorrection to scalingですね.我々の拡張スケーリング変数を紹介しとけばよかった. :: TSP by 長谷川さん@筑波大 ::: 簡単な相転移をするTSPの,相転移のところでのポテンシャル形状の変化を議論していた.アルゴリズムに依らない判定基準を作っているところが面白いところか.その周辺についていろいろと教えてもらう. :: マルチカノニカルで構造転移 by チョンさん@常行研 :::吉本さんとやられている話.これも噂で聞いていた話だが,実際に聞いてみたのは初めて.以前は別の学生が交換法でやられていたが,やっぱ一次転移するんだから,マルチカノニカルだろう,となったに違いない.聴衆には,奥村ー菊池ー伊庭となんというかコテコテのメンバーがいて議論をするんだから,必然的にコテコテなディープな議論になる.そこはうまく吉本さんが仕切っていて,非常に楽しかった. 他にも遠目に覗いたポスターも沢山あって,こんな感じで楽しんでいたので,当然セッションには戻れなくなってしまった.上の多くは学生さんでM1だったりするので,若者のエキスをちょっと吸い取らせてもらった. ::ニューラルネットワーク :::ここに書くとちょっとまずいかもしれない.裏で特定領域研究DEX-SMIの主要メンバーによるシンポジウムが行われていて,分担者である私もそっちにでないといけないかもしれない.でも,やはり分担者の岡田さんの講演があるんだもんね.許してもらえるかな.というわけで,岡田さんの話を聞いた.それにしても岡田研セッションがすごい. ::量子情報統計力学 最後はここに戻る.井上さんの話がうまかった.終了と同時に空港へダッシュ.その日のうちに帰宅する. 毎回学会は楽しい.実際に勉強になることが多いし,模索の結果として得られた(小さな)発見を共有出来る,この何とも言えないこの雰囲気が好きである.今回は特に若い人の元気な様子が印象的で,自分がおっさんになってきたことを痛感した,エネルギー(もちろんこれは物理の意味ではない)をあげるよりも,もらってる方が多いから.次回は北海道大学.今度はエネルギー放出するようにしよう. [{{counter JPS2007}}]