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2010年の一言

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2010-12-15

点の問題

今朝の新聞に,科学と技術の間の点の話題があった.最近は,科学・技術と認識されるようになったとおもっていたら,どうやら、また消えるらしい.意味が正しく理解されれば,表記はどっちでもよいと思うのが理系人間の悪いところだな.それで,江崎玲於奈の言葉,

新しい知識を生まない科学は科学ではない.お金儲けができない技術は技術ではない

こんな感じだったと思う.

2010-12-3

区切り

目が回るとまではいかないけど,出張や研究会やお客さんと議論やらでてんやわんやの日々(当社比)が続いた.今日,高校生のための金曜講座をしていて,イベントとしては一区切り.これで表向きには今年度の高校関係行事は終わった.来年度も,細々レベルでは続けていきたい.先週と先々週の研究会やらではそれなりに刺激を受けて気持ちがよかった.この前の学会の内容が思わぬ方向に走り出した.

2010-11-2

SPP終了

もちろん,シークレット・ポリス・プロジェクトではなく,サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトの略称.中学・高校等の学校と,大学や科学館などの教育に関するJSTの連携プロジェクトである.物性研で助手をしていたころには,こんなことに関係するとは夢にも思っていなかった.ここ駒場にやってきて,多くの先生方との不思議な縁のつながりで,SPPに至る.前々回の物理学会の総合講演での滝川先生のコメントも今回のプロジェクト参加の引き金の一つにはなっています.そこでは,研究者の情報発信の重要性を解かれていたけど,一般社会もそうだし,若い学生さんにも物理の楽しさを伝えていくことも大事なんではないかと思っています.NHKの大科学実験(ガリレオ工房が監修している)なんか見てると,とても面白いんだけど,そこまでは今の私にはできない.今回のプロジェクトでは先週まで高校に授業をしてきた.先週の最終回には,ゲルマニウムラジオを作る.小学生以来のラジオ作成にこちらは楽しむ.交流回路の説明から並列発振をみた後なので,小学生が感じるものと違う感覚が味わえてもらえたかな?式ばっかりでてくる電磁気の単元を少しくらい見てきたように感じようというのが元々の目的.今日は反省会をやって,今回のプロジェクトは終了となる.全てが貴重な経験であった.一番勉強になったのは,高校の先生の物理教育に対する心構えだろうか.なんというか愛ですね.自分もそれなりかと思っていたけど,もっと上があります.さて,こんな話ばっかり書いているけど,研究も少しずつ進んでます.

2010-10-12

冬学期のイベント

今日まで本当に誰にも言わなかったイベントが今日から始まった.それは,ある先生からお誘いを受けて,高校生に講義をするSPPというプログラムである.上手くいくかどうか,まったく自信がないのだが,初日を終えて,やってよかったと思っている.今回は自分の研究の話はまったくなしで,高校物理の内容を楽しく講義するわけだが,なんというか教育実習をやっている感じ.これでは高校の先生が通常どおり講義されている方がなんぼかましな気がする.反省ばかりだが,普段講義をしている学生諸君よりもさらに若い高校生を前にしゃべるのは非常に楽しい.高校生のころの自分が聞いていたら,楽しんで聞いていたかなー.また,来週がんばるのだ.

2010-9-22

物理学会へ

明日から日本物理学会が始まります.そして,早速初日に発表.

(後日)学会レポートを簡単にまとめる

2010-7-12

相関演習つづき

今日で夏学期の担当講義は終了した.学部の熱力学では,今回は演習問題集を冊子にして配り,講義の内容もこなれてきて,自分としてはよい感じだと思っているのに,学生のウケはそれほどでもないようだ.最終回では,グー・ジュール効果の話などをして,これで山本氏の熱力学の本なんかを夏休みに読んだら,涙でてくるだろうなー,なんて思っているようではダメですな.自覚症状が全く無いのは最悪の状況だなー.大学院の方は全くダメで,自分がM1だったら,いやになっていただろう.こっちは真面目に反省.XOR-SATの話をまとめていたのに、そこに時間が回らなかった.

さて,自分の講義の反省は自分ですることにして,今日は前回に引き続きCグループの相関演習3日目.今回も含めてCグループの学生さんの発表は全て聞かせてもらった.今回は,早川くんが剛体棒の配向相転移の研究を発表.まだまだなんだけど,相転移のはっきりとした兆候を示す結果を出してきた.これで先行研究に追いついたわけだが,こっちの方が幾つかの点できちんとしているので気持ちがよい.それにしても,練習のときには見てなかった最新のデータが発表されて,驚いたけどそれはそれで面白い.結論はまだわからないけど,どうも配向相転移が起こるあたりで,普通の密度ゆらぎにも異常が見ていて,ひょっとすると熱力学ガラス転移のようなものかもしれない.この問題はBM模型に形状効果を考慮した問題と思えないこともないので,無い話ではないだろうとは思う.熱力学極限では消えてなくなるものかもしれない.いずれにしても,半年後にはなんらかの決着はついているはずである.思えば,この話題を知ったのは,前回のSTATPHYS.発表を聞いたときに,隣に居合わせたTさんと,すぐに信じられないと同調したが,今回の結果をみて私は少し信じられるようになった.反応が悪いといえば悪いが,古典的な問題なので時代の潮流とは無関係である.

2010-7-5

相関演習

先週からCグループの修士論文中間発表にあたる相関演習が始まっている.今日は,4人の発表があり,うちの研究室の千葉くんの発表もあった.午前中には二限連続の講義があって,ご飯をがっついて,熱力学のレポートの返却準備を完了して,開始10分前に会場に入る.40分X4と少々長丁場を覚悟していったが,どの話も面白くて,あっという間の2時間40分(プラス5分)であった.この時期の中間発表は,いろんな意味も含めて学生にはしんどいところがある.それでも,修論発表本番に向けた所信表明という位置づけでがんばればよいのだと思う.聞いている方は,勉強させてもらうことはもちろんだし,残りの半年に弾みのつくような的確なコメントをするのが,仕事なんだろうと思う.。。。しかし,まあ,最前列に座ってしまえばそんなの関係ないわけで,大いに興奮したり,「えーうそー」と思って突っ込んだり、気分のままに質問させてもらった.半年後には,もっとすごいことになっていることを楽しみにしています.あっと,その前にまだ来週続きがあるわ.

2010-3-31

科学と神秘のあいだ

どうも最近ストレスのたまる雑用が多い.新学期が始まろうとするこの時期に,あまり精神状態がよくないので,ストレス解消に本でも読んでみることにした.本を読むことが大嫌いな私がストレス解消にでも本を手に取ることは希なことである.それで選ばれた本は菊池さんの本.こんな用途に選んでしまってすみません,菊池さん.楽しませてもらっています.学部学生さんにも気楽に読んでほしい一冊です.本の裏表紙の挿絵はよく描けているのですが,本人の方が100倍かっこいいです.

2010-3-12

物理部会の先生の最終講義

山崎先生,兵頭先生,米谷先生の最終講義があった.これまでお世話になった先生方の貴重な講演を聞きにいく.三人三様であった.我々は物性セミナーを企画しているのは,大学院生に近い将来の目標としての若手研究者の息吹を見せることを一つの目的としているのだけど,この最終講義は自分の目標を見ている感じもしないわけではない.しかし,どの先生も個性が強い.当たりまえだが,そうでないと生き残れないのがこの業界.自分はどのタイプでもないなーと思う.印象的だったのは,兵頭先生の講演で,こういっては失礼かもしれないが,我を忘れて研究の熱く話をされていた.本当にこうありたいと思った.あとの懇談会では,ご自身が「悪い講義の例」と評されていたが,研究者たるものそうあるべきとも思った.山崎先生は随所に厳しいメッセージが込められていた.米谷先生は最後まで私にはわからない世界の偉い先生であった.

2010-3-5

森田先生・下井先生最終講義

化学部会の両先生の最終講義に出席する.お二人ともに,これぞ大学の先生という感じの方で,退官されるのは寂しい限りである.どんどん変わっていく大学を象徴しているようにも感じられる.両先生とはそれほどお話する機会があったわけではないが,下井先生には,彼の学部報の記事に刺激されて,自分の講義を挨拶することから始めるようになって以来,こちらから一方的に尊敬させて頂いている.鬼教官としての評判?の下井先生であるので,どのような講義をされるのか興味があったが,お話は大変面白く,鬼たる所以はまったくわからなかった(まあ,十中八九成績評価なんだろう).最後は,ぼろっと。。。もらってしまった.両先生お疲れ様でした.

2010-2-21

統数研での研究会

昨年,立川に移転した統数研での研究会に出席する.みなさんの都合がそこしか合わないようで,土日に行われた.蟹,囲碁,地盤沈下,CG,アラビア語,ガラス,こんなのが講演の中に出てきて,もう何の研究会だかよくわからない.モンテカルロ法の研究会です.これが企画できるのは伊庭さんだからこそ.非常に刺激的で勉強になった.土日でもはるばる立川まで来た甲斐があった.Exact samplingの話も久々に聞いて,よく理解できた(つもり).まだ研究のテーマが降りてくるまでには至らないが,いずれ絡んでみたい.それから,囲碁の話も感じだけはわかった.途中から,個人的に趣味の世界に突入してしまって,本質的な問題を理解できなくなってしまった.コウもそれなりにやれるらしい.ちゃんと形勢判断なんかやっていないのに,「やれる」事実に驚いたのだが,学問的に驚くべきは,探索した状態の中に勝ち目の情報が含まれているところである(ということを,参加者のみなさんの議論から学ぶ).

2010-2-15

卒研発表会

先々週,修論発表会があり,先週,学部の期末試験があり,今日,卒研発表会があり,今年度の教務関係が徐々に終わりを迎えようとしている.今日の卒研発表では,杉田くんが無事に発表を終えた.この前に,ここでもちょっとだけ触れたが,内容は数独を平均場方程式で解いたときにどうなるかという問題.統計力学の問題としては,それほど飛び道具もないが,自明でない様子をみるにはそれなりに楽しめた話題だった.平均場方程式では正しい熱力学関数は計算できないが,それは想定済みある.要点は,平均場方程式の絶対零度の解には真の解が含まれていることで,それをどのように見出すか?という「解き方」が問題になる.適当に解いては失敗するわけで,そこに問題の特徴付けのヒントがないかというのが研究の目的である.アニーリング極限みたいな状況が数独の問題に依存して存在しそうである.その定量化や理論的研究ができれば,さらに一歩前進だろう.うちの研究室では,どうも最近「勘定」問題が局所的にはやっていて,この問題でもそれに関連した発展はできそうである.何の「勘定」かは,今度の学会のときに明らかにすることにしよう.

今日は残念ながら,所用のために卒研発表の午後の部には出席できなかった.それでも,午前中の発表だけでも十分に楽しめた.特に、細胞分化のシミュレーションを研究した学生さんは,1億以上のグラフを網羅的に調べて,分化するネットワークを判別していた.力技といえばそうなんだけど,そんな研究は結構好き.やればできる話だよねーと思うかもしれないけど,だれもやらなくて,やった人が初めてみる事実はしっかりとそこにあるわけで,よくぞその結果を話してくれたもんだと,やってない私でもうれしくなる. 

2010-1-15

すうどく

最近少し進展があった.一つは卒業研究で数独をある方法で解いている.以前はモンテカルロ法で解いていたのだが,これは良くも悪くも正解に到達するので,ある意味では面白くなかった.今回は、ちょっと粗雑な方法で解いてみた.人が解いているように,適当に迷ったりしていそうなところがなかなか面白い.あんまり説明してしまうと業界人なら誰でも思いつきそうなので,卒研発表会までは秘密.もう一つは,田中利さんとやっている数独の個数問題で,情報統計力学的なノリで面白い結果ができてきた.これは田中さんが春の学会で発表するので,それまでは秘密.。。。と、まあ秘密ばっかりだけど,以前に自分が始めたときよりは面白い方向に転がってきたと思う.

2010-1-7

セミナー

下記のようにセミナーを行います.いつもはここでお知らせしてはいないのですが,今回は古沢さんをお招きするので特別です.興味のある方はどうぞ.

  • 講師 古沢浩氏(高知工科大)
  • 日時 2010年1月14日(木)15:00-
  • 場所 駒場キャンパス3号館119室
  • 題目 ボロノイ分割された剛体球ランダム充填系の彩色数
  • 概要 1次元から3次元の剛体球系がコロイド・粉体系の出発モデルであるだけでなく、高次元系についてもデジタル符号の幾何的表現という実体を有している。そのため剛体球系の充填問題は、統計物理的観点だけでなく情報科学や離散数学の立場から長らく研究が行われてきた。さらに最近、ランダム最密充填問題を制約充足問題クラスの一つとして検討する試みなど、新たな情報科学との接点が示されている。本講演では、ランダム最密充填された剛体球系のボロノイセルパターンをグラフ化し、その彩色数について議論する。主要な結果は以下の3点である。(1)隣接ボロノイセル間の連結確率に、接触球と非接触球の相違を反映した重みづけルールを設定すると、平均連結度を剛体球系の平均体積分率によって表すことができる。(2)本ルールの下では、ランダム最密充填されボロノイセル体積の揺らぎにセル間相関が寄与しなくなるとき、ランダムグラフが生成される。(3)このランダムグラフの彩色数と次元数との間には、広い次元範囲で成立する関係式が存在する。

2010-1-1

あけましておめでとうございます

今年もどうぞよろしくお願いいたします.

大学院を出て以降,精神年齢を28才のままに止めてきたのですが,実年齢が40を越えていい加減無理が来ています.体力的な問題もそうですが,そうでない部分でも問題です.昨年はIBM賞をいただくことになり,ますます若手ぶるのもどうかなーと思い,少しは中堅どころとしての役割を担う気も必要かと思ってきました.

さて,今年は「がむしゃら」にがんばってみようと思います.昨年,ある先生から「がむしゃらにがんばりなさい」と激励のお言葉をもらい,ここしばらく,がっつく感じが消えていたと自覚もあるので,前がかり気味で行きます....相変わらず,何がやりたいのかわからない宣言になってしまいましたが,「結果は論文で」というのが我々の業界ですので.

2010年元旦

福島孝治

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最終更新時間:2010年07月15日 10時55分30秒