2005年度第1回 物性セミナー







「ものを見るということ −脳の視覚情報処理入門」

講師 岡田 真人 氏 (東大新領域)
日時 2005年 4月 26日(火) 午後1時30分より
場所 3号館 108



講演要旨

脳の機能の解明は,人類に残された最後の課題であるといっても過言ではない. この講義では,脳の視覚情報処理に焦点を絞り,われわれが外界の視覚世界を見るとき, 脳ではどのような情報処理が行われているかを解説する. 脳の機能の解明といっても,それは大学や研究所だけに閉じているものでは決してない. 本講演を聞いた後のあなたは,自分の周りは脳の機能の解明への動機が満ち溢れいてる ことをきっと感じることができる. 具体的には,まず床屋の前で回るバーバーポールの話からはじめる.青・赤・白の トリコロールで彩られたあれである.すべての人はバーバーポールを見て不思議に 感じるだろう.水平にくるくる回っているのに,上に(あるいは下に)動いて見える. あれを不思議だと感じない人はいないだろう.この現象を単なる錯覚と片付けるのは 簡単である.この例は脳の外で行われる物理現象と脳で作られる外界の解釈との 相違の現れである.われわれは,あるがままにものを見ているわけではないのである. このような現象は錯視と呼ばれる.あえて言えば,脳のバグをわれわれは感じている のである.バグの由来を考えていけば,脳の視覚情報処理の解明の糸口があるかも しれない.われわれの周りには脳の機能の解明への動機が豊富に埋め込まれているのである. このような身近な例を皮切りとし,ものを見るということの奥深さとそれを解明する 楽しさを感じてほしいと思う. 直感的な理解に重点をおいた講演を行う予定である. この分野の興味を持つ学生・非専門家の方の来聴を期待する.

参考URL
http://www.miraikan.jst.go.jp/j/exhibition/inter/ip_bsi2.html
http://unit.aist.go.jp/neurosci/sys-neuro/research23_e.htm

○今後の予定
4/26 岡田 真人氏 (東大新領域) 「ものを見るということ −脳の視覚情 報処理入門」
5/17 桃井 勉氏 (理研)  
5/24 佐藤 勝彦氏 (東大総合文化)  
5/31 岡 隆史氏 (産総研)  
6/14 笹本 智弘氏 (東工大理)  
6/28 真船 文隆氏 (東大総合文化)  

○物性セミナーのページ
http://phys.c.u-tokyo.ac.jp/ mino/seminar.html

○ 駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

連絡先: 福島孝治 (xxxxx)


Koji Hukushima 平成17年4月18日