講師 | 鈴木 勝 氏 (電気通信大学 量子・物質工学科) |
日時 | 2005年10月21日(金) 午後4時30分 |
場所 | 16号館 827 |
マクロスケールの摩擦法則はよく知られてる.しかし原子スケー ルでの摩擦力の性質はよく知られているとは言いがたい.近年,原 子間力顕微鏡等の新しい実験技術の開発と計算機の進歩により,原 子スケールの摩擦の研究が行われている.その中で物理吸着膜と吸 着基板との界面摩擦は,摩擦のメカニズムにミクロ視点からアプロ ーチできるとして、実験的にも理論的にも興味が持たれている.1 998年,Krimらは液体窒素温度でAu属基板上のKr単原子膜の界面 摩擦の測定し,Kr膜の摩擦力は大きいながらすべり速度に比例する 粘性摩擦の性質を示し,その大きさは液相膜より不整合固相膜が小 さいと報告している.また2002年,Misturaは同じくAu属基板上 のKr単原子膜の界面摩擦の測定し,静摩擦状態から動摩擦状態への 転移を観測した.
私たちの研究グループでは,グラファイト基板上のHe膜の界面摩 擦の測定を行っている.これまでの測定により他の系では観測され ていないHe膜の興味深い界面摩擦の性質が明らかになりつつある. たとえば,He膜の摩擦力は低温では著しく減少し,その低温の低摩 擦状態は準安定状態である.セミナーでは,グラファイト基板上の He膜の界面摩擦の振る舞いを説明し,He膜の性質と界面摩擦との関 係についてお話する.
○今後の予定
10/14 | 鈴木 勝 氏(電通大) 「グラファイト基板上のヘリウム膜の界面摩擦」 |
10/28 | Prof. Batchelor(Australia National Univ.) 「Lieb-Leninger モデルに関しての話」 |
11/4 | 江藤 幹雄 氏(慶応大理工)「量子ポイントコンタクトにおけるスピン流の生成機構」 |
11/15 | 大橋 洋士氏(筑波大物理)「フェルミ原子ガス超流動におけるBCS−BECクロスオーバー」 |
11/25 | 湯川 諭 氏(東大物工) 「火山の話(仮題)」 |
12/2 | 高野光則 氏(早稲田大理工) 「分子モーターの話(MD計算)」 |
12/16 | 藤井宏次 氏(駒場原子核グループ) 「Condensed Matter Physics at RHIC? (仮題)」 |
○物性セミナーのページ http://phys.c.u-tokyo.ac.jp/mino/seminar.html
○駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi
連絡先:
加藤雄介 (46534)
福島孝治 (46513)