講師 | 江藤 幹雄 氏(慶應義塾大学理工学部) |
日時 | 2005年11月 4日(金) 午後4時30分 |
場所 | 16号館 827 |
電子の電荷を利用する「エレクトロニクス」の代わって、電子のスピンを
操作してデバイスに用いる「スピントロニクス」が研究されている。
その実現には、電子スピンの半導体への注入が必要である。我々は、
半導体微細加工で作製される量子ポイントコンタクトの電気伝導特性を
理論的に調べ、スピン軌道相互作用がある場合に、電流が自発的に
スピン分極する現象を見出した。我々の結論は以下の通りである。
(i) 電気伝導度の量子化は、スピン軌道相互作用がある場合でも観測される。
(ii) 透過した電流は、電流に垂直方向にスピン分極する。外部磁場や磁性体は
不要である。(iii) InGaAsヘテロ構造の場合、スピン分極率は 50なり得る。このスピン分極は、スピンの異なるサブバンド間の断熱的な遷移に
起因する。量子ポイントコンタクト構造の空間変化が緩やかであるほど
その遷移確率は増大し、大きなスピン分極が期待される。
Reference:
M. Eto, T. Hayashi and Y. Kurotani: J. Phys. Soc. Jpn. 74, (2005) 1934.
○今後の予定
11/4 | 江藤 幹雄 氏(慶応大理工) |
「量子ポイントコンタクトにおけるスピン流の生成機構」 | |
11/15 | 大橋 洋士氏(筑波大物理) |
「フェルミ原子ガス超流動におけるBCS−BECクロスオーバー」 | |
11/25 | 湯川 諭 氏(東大物工) 「火山の話(仮題)」 |
12/2 | 高野光則 氏(早稲田大理工) 「分子モーターの話(MD計算)」 |
12/16 | 藤井宏次 氏(駒場原子核グループ) |
「Condensed Matter Physics at RHIC? (仮題)」 |
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