ないのです.第二回レポートの解答例の修正版のコピーをちょっと持っていきました.必要な人は要求してください.
今日はベクトルポテンシャルの話しをした.静電気からの相似点を確認することで,ポテンシャルを導入する入口を探る.それは他でもないいわゆる?「磁荷なしの法則」である.ここで導入したベクトルポテンシャルには静電(スカラー)ポテンシャルにはない不定性がある.それはゲージ変換の自由度で,何かしら具体的にベクトルポテンシャルを決めようとしたときにはな,勝手にその自由度は固定する必要がある.その固定の仕方にはいろいろあって,それごとに人の名前が付いている.講義ではクーロンゲージを用いる.(なぜクーロンゲージと呼ばれるかを説明するのを忘れていた.)クーロンゲージの元でのベクトルポテンシャルの求めるために,それの従う方程式をあからさまに書き下してみる.それはポアソン方程式と同じ形をしている.もちろん,スカラーではなくて,ベクトルの方程式なのだが,その一般解は各成分を見るとクーロンポテンシャルの重ね合わせの形になっている.静電場の知識がここで効いてくるのである.(クーロンゲージを固定したあとでも,実は静電ポテンシャルの時と同様の定数倍の不定性が残っていることに注意しよう.それは基準点を設定することで固定するのだが,やはり無限大にとる)
ここまで考えてみると,静電場では電荷密度が与えられたときに,静電ポテンシャルを求めて,そのgradをとって電場を求めたことに対応する手続きが静磁場でもできることがわかる.すなわち,定常電流密度が与えられたときに,ベクトルポテンシャルをもとめて,そのrotをとって磁場を求めるというわけだ.ここで,素朴な疑問が沸いてくる(学生時代の
遠い記憶を遡る).静電ポテンシャルの時は,電荷分布に対する積分を一回やれば,ポテンシャルは求まり,3回微分すれば電場が求まるから得した気分があったものの,今の場合はどうよ.3つ積分して,6回微分するのは手間かけすぎではないか.しかもよくわからんゲージの不定性がある.なんだか,そこにあるようなないような気持ち悪さはどうすればいいだろうか.できるなら計算が大変簡単になるフクシマゲージを見付けてみたいもんだ....大方の答えは量子力学の登場を待たねばならないことを簡単に述べた.とは言うものの,少しでも感触をつかむために例題をあげる.一つは直線電流の作る磁場であった.これはこれまでにビオサバールの法則から,あるいはアンペールの法則から求めてみた例題であった.これをベクトルポテンシャル経由で求めてみようとうのである.私はどうもベクトル積が苦手である.すぐに絵が思い浮かばない.どうしても右手を堕してみる必要がある.訓練が足りないのだと思う.一方でベクトルポテンシャルは絵に書きやすい.電流密度(要素)と同じ方向だからね.この例題については,アウトラインを示して宿題とした.
次に,微小循環電流の作る磁場を求めて,磁気双極子モーメントを説明した.この計算にはベクトルポテンシャルを使うのが簡単だと思って,例題として挙げる.これは以前に電気双極子が作る電場と全く同じ形をしている.これをもってして,小さい磁石とみなそうというわけである.レポートで調べてもらった結果がここまで来て少し理解されるでしょうか?
最後に微妙に時間があまったので,次回のイントロをちょっと行う.次回では,動的な電磁現象を考えるにあたり,マクスウェル方程式が磁場と電場が混ざる様をみることにする.
- 試験は昨年より難しいのか...
- 簡単だと私は思うけどねー.それは主観の問題だから.