今日から,静磁場の話になります.この講義では,磁場は電流によって生じるという立場をとります.そのために,電流とは何かを表しておく必要があります.あまり詳しい説明はせずに,電流の定義と電荷の対象としての電流要素なるものを説明しておきました.電荷を動かさないと電流にはならないので,動的な状態になっているのですが,流れは定常的であることに限定して,出入りが一定の条件の元で生じる磁場の状況を考えます.動的なのに,静磁場と呼ぶのはこの意味です.
次に,何らかの理由で磁場がある状況に,動いている電荷が飛んで来たときに,その電荷がうける力として,ローレンツ力を導入する.中学校のときに何とかの右手の法則といっていたあれである.講義の最初の時に説明したような気がするが,これが電磁気力の基本な力であり,それに電場と磁場の法則が決まれば電磁気を全て語れることになる.ローレンツ力の形を見ながら,磁場の単位を見ておく.
動いている電荷すなわち電流が磁場を作る法則は,ビオ=サバールの法則である.これは,静電場の時のクーロンの法則に対応するものである.そう思うと,いくつかの相違が静電場と静磁場の間に存在することがわかる.今までに,出てきたところをパパーと眺めてみる.直線電流が作る磁場をクーロンの法則を積分して求めたように,ここでも積分して求めてみる.結果は右ねじを回す方向,直線電流からの距離に逆比例した大きさの磁場ができることがわかる.どちらの方向に磁場ができるのかは,ちょっと面倒ですが,ビオ..に全て書かれているので,ゆっくり考えてみて欲しい.(力学の時にコリオリ力ってやったね.そのときもどっちむいているのか悩んだ記憶がある.) 次回は,ガウスの法則に対応する静磁場の法則から入って来たい.
先週の宿題の解答とレポート問題(PDF:75KB)を配る.
次回が年明けになり,また第1回目を休講にするので,次回までに一ヶ月以上あいてしまいます.そこで,レポート問題を出しました.切角の冬休みにレポートを出すことはないという気が一杯したのですが...
レポートを出しました.
- そのマークは?
- ベクトルの向きを黒板や紙面に垂直の場合に表す記号です.
- ビオ=サバールの法則で決まる磁場の向きは?
- というか,ベクトル積の向きですね.A×Bは右手のAを親指,Bをひとさし指,そして, 中指の方向です.
- なんで,最後の積分はマイナスが要らないか?
- 絶対値が知りたいから.方向は,ベクトル積の考察からすでに求まっている ので,ここの負号は完全に関係ない.