第4回

今日のおさらい
  1. 強磁性相転移の平均場理論
    1. 無限レンジ相互作用模型(平均場模型)と鞍点評価
    2. 物理的性質 (自発磁化、自由エネルギー、線形帯磁率、比熱)
今日のまとめと反省

先週説明した平均場模型の解析を行った。ここでは鞍点法を使ったやりかたを紹 介した。鞍点法そのものの説明の後で、鞍点条件と秩序変数の関係を議論した。 わりと丁寧にやったのは、ほとんど同じ計算をスピングラスでも行うからである。 鞍点評価から自由エネルギーを計算すると、あとはいろんな物理量が計算できる。 といっても、実際にできるのは、高温側とか転移点回りとか絶対零度近傍とかだ け。できることはほぼやった。結果として、臨界指数のスケーリング関係式が成 り立つことを示す。実はあともうひとつ、ギブスの自由エネルギーを導出して、 それがBragg-Williams理論と同じになっていることを示そうとしたが、時間切れ だ。と思っていたが、なんと私は終了時間を間違えていたのであった。疲労がた まっているのだろうか?うーん、そこまでやっとけばよかった。とにかく、来週 は、いよいよスピングラスの平均場理論に突入する。

今日の宿題:
  1. スターリングの公式を鞍点法で求めよ。N!=Γ(N+1)=......〜N^N e-N
  2. 講義で飛ばしちゃったんだが,非線形磁化率がどうなるかを考察せよ.高温では負に発散し,低温では正に発散します.示してみよう.
今日の質問:
  1. 臨界指数は転移点の内側と外側はいつでも同じなのか?
    かならずしもそうでないといけない理由は無いのだと思いますが,平均場模型では同じだし,同じでない例を私は知らない.
  2. 鞍点解がスピンの平均値になっているのは、熱力学ポテンシャル最小値をとっているから当り前か?
    という質問だったんでしょうか?鞍点評価は分配関数に効いて来るところを評価する方法なので,結局自由エネルギー最小のところを拾ってきています.なので,鞍点解が最小を取ってきているのはよいとして,それがすぴんの平均値になっているのは,今日示したとおりです.当たり前かという問いにはどうなんでしょうか.あんまり当たり前とは思えないのですが...
  3. 高温で比熱がゼロってどういうこと?
    どういうことなんでしょうか.おかしいですよね.これは平均場模型の特殊なところだと思います.
今日の雑談:
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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)