今日の宿題: なしまず,先週やり残したGibbsの自由エネルギーを導出.といっても,接触変換の結果だけを説明.これはBragg-Williams理論と同じ結果がでる.前者は補助場をいれて鞍点法から出すのに対して,後者はmが出てくるとして,場合の数(エントロピー)を評価する方法.いろいろある平均場方程式のうちの「いろ」くらいは説明したことになったか.
その後で,やっとのことで,スピングラスの平均場理論へ入る.式ばっかり説明して,退屈だったかもしれない.しかし,計算はガウス積分しかしていない.レプリカ法から,補助場をたくさん導入して,有効作用までもってくるが,その流れは強磁性の転移と本質的に変わらない.レプリカの足をふたつもった補助場がスピングラスの秩序変数に関係することを説明した.黒板を式ばっかで埋めたのはわるかったかもしれない.いや悪かった.ノートを 事前に配れば,よかったのかもしれないが,なにせ,手書きのノートができるの が,講義の直前なので,申し訳ないがそれは不可能だ.その変わりに,講義の後 で,コピーをとることは可能なので,希望者はおっしゃってください.本来なら ば,腕を組んで,何をやっているかをじっくり考えるのが望ましいと思います. 黒板に式を書いている分だけゆっくりと思考する時間ができるので,本当にその 方がいいと思います.特に,今回は,難しいことはしていないのに,式だけはご ちゃごちゃしているので,何をやっているかだけが追いかけられればいいのでは ないでしょうか.(まあ,でも計算できないと何にもならないので,計算も大事 ですね.)途中では,レプリカ系の性質のイメージを説明する.均一系にマップできたからといっても,強磁性状態が決して安定そうに見えないことをいったのだが,この点は後に捕捉する.
思想的には,ランダム平均をどうしてとるかのキモは今回で示したつもりです. ただの計算の道具だと見るか,その奥になんたるかを見るかは難しいところがあ ります(後述).今後はその結果としてのSKの世界をゆっくり堪能することにしま しょう.でも,その前にテクニカルな難点があるので,それが来週の課題です.