今日のおしらせ:今日は残された話題として,超計量性と階層構造の話をする.これもまた結果だ けの紹介になってしまった.なんとかアウトラインでもと思ったんだけど,うま く話せなかった.あんまり汎用性のないテクかもしれない.その超計量性の帰結 として,階層構造が自然に出てくる話しをする.階層構造を始めから仮定した物 理の話しはUltradiffusionとかいろいろあるかもしれないけど,物理の模型から 導出された例はほとんどないのではないか.しかもランダム系で出てきたのだか ら,なんだか不思議な気がする.しかしながら,その大元はParisi行列の構造に あるので,それがわかると不思議でない気もする.いずれにせよ,レプリカ法の なせる技ではあるので,やはり不思議ではある.
さて,ここまででおおよそスピングラスの平均場理論の大半は話せたと思う. 取り上げられなかった他の話題としては,
などがあげられる.最後に数値計算の結果,特に有限次元の話しを少し駆け足で 眺めた.まとめると,平均場理論は3次元系を記述できるかという観点から言え ば,あまり確定的なことは言えていないということになる.散々,平均場理論を やってきて,最後のオチがこれではあんまりかもしれないが,現状ではそうだ. 平均場理論が悪いと積極的に言えることも実はそうそうないので,「わからない」というのが本当に現状であろう. 講義の前半には平均場理論の展開としての情報統計理論の話しを少し触れた.ポ ジティブに考えればそちらの方向への展開は光が見えているようである. 最終回はその片鱗でもお伝えできればと思っている.
- 有限次元を意識した現象論ではドロップレット理論
- ここ十年で大きく進展した動的平均場理論
- 解析理論としては数少ない西森のゲージ(変換)理論
- 有限次元系で数値計算からわかったこと