コメントに対する解答

試験ご苦労様でした.最後の質問に答えて下さった学生さんのコメントに対する解答をします.残念ながら,全てではありません. 講義に対して,好意的な御意見を下さる学生さんも少なからずいました.どうもありがとう.ここでは,そうで無い方への解答や気のついたコメントに対して返答をしたいと思います.しかし,私が選んで答えているので,あんまり客観性なないですね.それでは...意外とこのページを見てる方もいるようなので,何かのためになれば...

講義やノートで理解したつもりでも解くのは別だと痛感.

そうですね.「理解する」というのはどういうことなのか,よく考えてみるといいかもしれません.最近,「わかることはどういうことか」という薄い本を見つけて読んだんですが,やっぱよくわからなかったです.

式が多くて混乱してしまった...

式は言葉の代弁でもあります.もちろん,式を変形したり,方程式を解くことは数学ですが,最初の式には「やりたいこと」をどのように考えて式に表すかが問題です.その意味で,今回の試験では全体として,そこを聞いています.中学校の時の算数の文章問題を思い出して下さい.鶴亀算とかのテクニックを小学校で学んだりしますが,中学校になれば,落ち着いて連立方程式を立てて,解けばよかったですよね.(なんだか,私の親はこの手の計算が大好きであったようで,鶴亀算,植木算,..もう覚えていないけど,当時すごく沢山の公式を仕込まれました.役には立たんかったな.)思ったことをすぐに式にできれば,鶴亀公式みたいな余計な暗記は必要ありません.コリオリ力だってそうです.

高校のように非現実的なものに比べて,少し条件をつけ足して複雑にしただけで,解に到達するのが困難になる.物理は数学と違い,経験的なものが根底にあると言われハッとした.

あんまり,難しいところだけが印象に残っても困るが,こういう認識も大事かな.小学校のころの「理科」と「算数」って激しく違う教科に思えたけど,いつのまにかゴチャゴチャの印象になって,高校では物理は,算数の文章問題とか例題という印象になってる気がする.

もう少し先まで...

そうだよね.そうだよね.

勉強しようとしても,方針が立たなかった

これは教科書や演習書をちゃんと限定していなかったことにもよるでしょう.しかし,ノートをちゃんと見ようと講義で指摘しました.ノートの中身が一体何を意味しているのかをよく考えながら見直してみよう.もしも,興味を持てば,いろいろ教科書を眺めてみるとよいでしょう.

できれば講義中にもっと演習をしてもらえればと思った.

他にもこれと同様な多数意見を頂きました.上のコメントにも通じています.この問題を実はすごく悩んでいます.実質的に時間がないわけです.本当は,ラグランジュ方程式とか見ると,また面白い世界がそこにあることがわかるんだけど,そこまでいかない.その上で,さらに演習というのはどうすればいいでしょうか.今シリーズでは,何枚(あんまり多くないけど)かプリント配り,時間の都合で飛ばした例題を解説しています.こういうのをドンドン増やせばいいということでしょうか?演習問題ばっかりよりも,いろいろとじっくりと考えてみる方が大事な気がするんですけどね.演習問題の数をこなすことで,感覚がつかめるということは事実ではあります.
このあたりについて,御意見をもち,かつメールを書いてくれるような奇特な方がいましたら,幸いです.お待ちしております.

夏休みとか試験前の奮闘記を書いてくれた学生もいた.

いやー,なんだかよく勉強した感じが伝わってきました.

なんとなくダラケてて嫌な面もあった.メリハリがなかった.
ちょっとぎこちない所が目だった(話し方とか..)

ふざけているようにみえたかもしれないけど,ダラケてはいないんだけどなー.ビンビンに緊張しまくってるし. うーん,弱いな.もう少し噺家としての修行を積みます.

某教官の得点補正:素点X→10X^0.5

これなんか,すげーむかつく.感想を書けっていってるのにこれは何?こっちは真剣に講義や試験やってんだよ!ふざけるなって感じ.
ということを,dt class .. font color=...なんて書いているのは何となく滑稽でもある.
前にも言った気がする(?)けど,気さくに付き合うということと,なめるてもいいと考えることって,全然違うよね.これは完全にバカにされていると,私は感じたよ.

もう少しスピードがあった方が良かった気もします. 高校・予備校と授業が大差なかったのが,人数が少なかった一つの要因でしょ う.

と分析してくれていますが,ならばもっと試験が出来てもよさそうなんですけど...あなたは良くできていました.走るところ,抑えるところをバランスよく配合,ということでしょうか.

試験はレポートに比べて,何か拍子抜けな感じです.

そうだったですね.「テスト」になってしまいました.

実際にあるものを物理として考えてみるという視点のとり方が,今までで初めてで新鮮だった.自分でモデル化するのはまだ慣れないが,これから徐々に そのような視点から見る機会を増やしていきたいと思う.

いいですね.世の中わからないことだらけですから,すごい発見ができるかもしれません.こういう発想は物理的ですよね.ただ観察して,記述・分類するだけよりも,ちょっと違っています.

...X年間の浪人生活を終えたばかりで勉強する気になれないので....

気持ちはわからんではないが....良く考えてみて欲しい,何をしに大学へ来たのかを.

時間どおりに講義が始まるのがよかった.

えっ,始まらない教官いるの? 授業料払ってるんだから,訴えよう!.そうでなくても,是非授業評価アンケートで悪い点をつけてやろう!
ちょっと威厳を見せるために,わざとおっとり刀でやってきているという可能性もあるなー.

なぜ,生物・化学系に進むものが大半の理科2類生に物理学が必要なのかわかりませんでした.物理学が必須である意味とはなんでしょうか?単に「教養」 として必要だというだけなら文系の生徒にとっても必須であるべきではないでしょうか?

単に教養以上の価値があると思います.特にこれからは境界領域が大事になってくると思うのですが,その時に物理がわかっている,あるいは物理学的な思考を持っていると大変有利です.と言ってみても,なんとなく虚しいですね.本当に自分が実感してみないとわからないでしょうからね.考えてみれば,科学の基本は物理であることは間違いないわけで,それをやり過ごして,化学や生物をやるというのはあり得ないですよ.
2次方程式の解の公式がなぜ必要なのかわからないっていうあやちゃんの思考と同じですね.
それから,ものすごく一般論だけど,こういうのを理由にして,勉強しないのは,格好わるいよね.これからは,東大ブランドなんて,あんまり価値なくなる(現にない)だろうから,他人に代わりのできない個性的な人間を自分で作って行く必要があると思う.そのときに,「私は化学専門」というだけでは,それこそチャンスに代打出されちゃう.いろんな引出しを持っている方がいいはず.


レポートの返却に際して,赤をいれて返すことに感謝してくれる学生もいました.また,レポートの最後に,「将来物理は使わない」と書いていた学生さんは,「どうかなー」と返答をしたことがきっかけ?で,講義にまた出るようになったとコメントくれました.そういうことがあると,ちゃんとコメントすることに,少しは「役に立つ」こともあるのかなーと思えます.
私がレポートのチェックを比較的マメにやったり,このページのようにコメントに返答を書いたりするのは,自分の学生時代の教官がそうであったことに源流があります.その域には到底達していませんが,まあ何かの役に立てば...
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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)