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1. 導入
   1. 科学を学ぶということ
   2. 科学の中の物理
   3. 物理の中の力学
2. 運動の記述
   1. 質点の位置ベクトル

夏学期最初の講義は，おそらく全ての講義の中で一番最後の開始講義でした．簡 単に自己紹介をした後，今日は「お話」をたくさんしました．大学に入学して， みなさん胸をときめかせて最初の講義を一回り終わったところでしょうか．私の ような若手が話すにはちっと荷が思いのですが，「科学」について，思うところ を話しました．参考書の話しから講義一般の話，科学から学ぶことの重要性から ヒトゲノム研究の話題まで，ざーっと話した．特に，その中での物理の視点や講 義のメインテーマである「力学」の物理学における位置付けを説明．そして，何 よりも重要かも知れないのは，「良質な批判力を養おう」というメッセージです． 私の話しも話し半分ですよってことも含まれています．
それから力学の最近の話題として，回転ゆで卵の話しをして，講義に入りました． まずは，運動の記述として，質点の説明とその位置の記述についてです．位置の 情報だけからでは，未来を予言できません．もう一つ速度の情報が必要です．そ こから来週は始まります．

1. なし．本当は位置の例題の絵を書いてみようって，思ったけど思わず自分 で書いてしまった．でも一度は自分でやってみよう．
   例題：時間の関数として，位置座標が次のように与えられている場合の運 動を描いてみよう．
   • x=a cos (wt)
   • y=a sin (wt)
   • z=u t

1. 漢字違ってまーす．
   お恥ずかしいかぎりです．「側面」ってにんべんだね．「概念」はあっている．
2. タマゴ論文を勉強してみたい．
   オリジナル論文は，H.K.Moffatt and Y. Shimomura, Nature 416, 385-386 (2002).下村さんによる日本語の解説と して，雑誌 パリティ (丸善)18, 52 (2003).がありま す．どちらもまだちゃんと手を動かしながらは読んでいません．読んでわ かったら教えて下さい．
3. 生タマゴは立ちますか？
   実験やってみよう．私はまだやっていないのでわかりませんが，そもそも回転し ないようです．
4. いつもはどこにいるのですか?
   16号館221A室が私の居室なので，用事がなければそこで研究しています．遊び (質問)に来て下さい．
5. 下の名前はなんですか?
   おー，なんという質問だと思ったら，その学生さんも「孝治(こうじ)」さんだそ うでした．初めて遭遇したそうですが，たまにいますよ．例えば，完全な同姓同 名に戦国武将の福島正則の弟とか．しかし，私の場合はちょっとクセがあります． 実は私の両親は，「考治」にするつもりだったそうです．よく考えて治める人間になっ て欲しいとの思いだったんでしょうが，初めて出生届けを出す我が父は緊張のあ まり筆が滑べって，「孝治」と書いてしまったそうで，バランスがいいのでその まま提出したそうです．画数とかはどうなのよって．

• どんな講義でもそうですが(とはいえそんなに経験はない)，第一回目の講義は緊張します．どんな客層なのかは，話し手にとって重要です．物理学を目指そうとしている学生さんが数人いるとのことでした．全くないと淋しいので，よかったです．十数回の講義ですが，楽しい(だけじゃなくて有意義な)講義になるようがんばります．
  ファインマンレクチャーの冒頭に，みなさんが将来物理学者になることを想定して，講義をするような話が書かれています．しかし，この講義対象はそうではないということを私はよく認識しているつもりです．なので，少しでも物理に興味がわくように努力したいと考えています．あわよくば，物理に鞍替えしたら，駒場にも基礎科という後期課程もあるんだよと宣伝してみました．「高校の物理」は私はよく理解できなかったし，面白くもなかったですよ．大学の物理は全然違うんだということが示せればヨシとしたいです．目標は大学の時に受けた何とか生物学の講義ですね．三島先生はまだ御健在でしょうか？試験問題は口頭試験で，例えば，「おかしらつきの魚って何?」「かやぶき屋根のかやって何」「うどんげの花ってなに?」「河川がきれいってどういうこと?」とかでした．土曜日の朝１限だったんですが，休まなかったです．
• さて，今日は思いっきり雑談モードでした．学部１年生なんて，何が起きても楽しいしくもあり，何でも悩んでしまうし，貴重な体験が凝集した１年間になることと思います．十?年前の自分の経験を思い出しながら，いろいろ話しました．どうだったでしょうか．とても一般論で，まあピーンと来なかったかも知れません．上手に話せなかったような気がします．なんとか「つかみ」をいれようと，ゆで卵もってきました．昨晩(とっても深夜)に一人でゆで卵茹でて，転がしているところは想像しないで下さい．学生さんももちろん知っている人いましたね．昨年回転ゆで卵が立ち上がる解が見付かりました．実際に教壇でやってみました．実はもってくる途中で割れてたんですが，見事に立ちましたね．その謎がとけるまで講義が進めばよいですね．タマゴはお昼に頂きました。
• 出席の話しはみなさん通じたでしょうか．ところで，今日回した出席表は どこへ行ったのでしょうか？回収するのを忘れていました．だれかもって いたら，来週下さい．
• それからお願い「先生と呼ばないで！」
  今日はドサクサに紛れて、「先生っ」「何」という会話が成立してしまいましたが、これからは「先生」呼びはなしです。理由は、
  1. 世の中「先生」と呼ばれていて良い職業はない．．．政治家，医者．．
  2. 物理の一部では「先生」とは呼ばない文化がある．その思想の本当のところは理解していませんが，今日お話したとおり，物理学は自然を理解しようとしている学問ですが，これまでに明らかになったことは自然のほんの一部にしかすぎません．「現代科学をもってしてもいまだ解明されないあなたの知らない世界がまだまだ残っているのです」って，これは間違っています．世の中解明されていないことだらけです．そんな自然を前にしたときに，ちょっと数十年先に生まれただけで，既知の物理を知っていることになんら価値はない．「先生」も「生徒」も自然を前にすれば，ほぼ同等に未熟だという考えがあります．本当にそうだと思います．
  「先生としての責任を放棄しているんじゃないの」という批判?もあります．自分がちゃんと認識していれば問題ないと思いますがね．化学の分野は特にボスとしての役割が大事なので，先生と呼ばないと怒られるそうなので，相手を見て考えて下さい．