7. 回転座標系
   1. 運動方程式
   2. コリオリ力
   3. 遠心力

先週のガイレイ変換の続きとして，今回は回転座標系での慣性力を議論する．一 様に回転する系は，慣性系ではないので，そこでの運動方程式を考察する．以前 に，(回転していない)極座標表示での運動方程式を導出したが，それにちょっと 似ている．どこがちがうのかよく考えて欲しい．回転角が角速度ωtになるので， 時間微分の際に出てくる項が沢山あるが，うまくまとめるとやはり回転行列を使っ て書くことが出来る．加速度まで出せば，静止(慣性)系でも運動方程式を使って， 回転系での運動方程式が出てくる．ここには，通常?の運動方程式(F=ma)に2つ余計な項 がついてくる．一つはコリオリ力で，もうひとつは遠心力である．2つとも高校 の時に出てきているかも知れないが，あらためて導出してみることでわかりがよ くなったのではないか?さらに，角速度ベクトルを使って，ベクトル(ベクトル積) を使って書けるので，その表式に方向に関する紛れの無い情報も含まれている． 方向については，どっちむきの力かよく復習しておいて欲しい．私もあんまり慣 れないので，右手を駆使しながら，符合がついているので，ひっくりかえしたり して．．．．どっどっちむきなんだ．．．赤道直下だとコリオリ力がない．．． 等といろいろ悩んでみてほしい．

最後に，地球上でのコリオリ力と遠心力の大きさを議論しておく．北向きに歩い ても，「おーっと，右にふらついちゃった」ということはあり得ないこと，「沖 縄にいったら，なんか体が軽く感じちゃった」ということもないことを示した． もっとも，慣性力を受けて力学的にはあり得ないだけで，酔っ払う(君達の大半 は酔っ払えないけど)と右にゆれることがあるだろうし，沖縄にいけば浮かれて 体も軽く感じることはある(はず)． 前回にしゃべった，水面台を流れ落ちる水が左むきに流れる理由の話をしたが， 今日の評価からとってもコリオリ力が見える問題ではないことがわかる(この点 は下でも）．そうすると，純粋に地球が自転している効果がそうそうみえないこ とになり，天動説を否定する理由が見当たらなくなる．しかしながら，フーコー の実験はこのコリオリ力を見事に観測している．ちょっとプリント配っていると ころで，みんなの目がこっち向いてないときにしゃべっちゃたから，失敗だった けど，今日の目玉はここかもね．講義では詳細な計算はしなかったけども，是非， フーコー実験について勉強して欲しい．

最後にアンケートをしてもらった．御協力ありがとうございます． 講義に出なくなった人にはアンケートに答えられないし，そもそもアンケートの内 容を見ると，答えられない気もするので答えなくてもいいのですが，出なくなっ た理由は聞いてみたいところです．アンケートをしてもらっているときに，講義 で取り上げられなかったことを話した．

1. 回転座標系の慣性力の導出をもう一度復習．時間微分のところはすっとば してしまったし．
2. なぜ，コリオリ力の大きさがそんなでもないのに，台風の目が左向きなの か?

1. なし．

1. コリオリ力どっちむき?
   今日新たに角速度ベクトルを導入しました．それと速度ベクトルとのベクトル積 の反対向きの方向です．うーん，難しいがゆっくり考えてみてね．いきなり地球 の問題にするから，難しいので，まずは回転する円盤でのコリオリ力の向きを考 えるとわかりやすいか．
2. レポートの配分は
   秘密．そんなに大きくない．
3. メモのグラフはどんなソフトをつかっているのか?
   いつか聞かれたことがあったんですが，これはgnuplotです．私は普段はLinuxで仕事をしていますが，Windows版もあったと思います．

• 今日はチョースローモードだったな．あんまり急いでもよくないと考えた んだけど，どうだっただろうか?講義全体もゆっくりとした感じになって しまった．なんかこんな反省していると，もう最終回を向かえてしまっ たようだけど，もう一回やりますよ．ちょっと最後になって，変則的に講 義が組まれて，調子が狂う半面，連発してやるのもそんなに悪くない気が する．だらだら３か月に渡ってするよりも，週に２回やって，１月半で終 わるのも悪くない．ちょうど，合宿免許とるような感覚でね．
• さて，それでも後1回を残すところになった，力学といってもそれはかなり広範な領域なので，全体をカバーすることは13回の講義では不可能だと思う．例えば，剛体とか解析力学は触れることはできなかった．特に，後者を「聞きたかった」とアンケートに答えてくれた人がいた．講義の構成を考える中で最も悩んだのはこの点である．高校の時に物理なんて好きでなかった私が物理を学んで，一番最初に興奮したのは，解析力学であった(と思う)．カリキュラムでは解析力学が理II・IIIに組まれていなさそうなので，どうすべきか，本当に迷うところだった(し今でも悩んでいる）．いきなり解析力学から入ってしまう戦略もあるわけだが，今回の講義で来なくなった大半の人が簡単すぎてつまらないのだとすれば，その戦略によってもまた同じくらいの人が逆の理由でこなくなるような気がする．
• そういえば，先週の反省をしていなかった．ちょっと時間がとれなかったが，忘れないうちにアップすることにしたいさて，今日はレポート2の◯つけを返した．まあ，出席率が悪いので，手もとにのこっている行き場のない可哀想なレポート達が沢山あります．おいおい，みんあレポートって出せばいいって思ってないか？忙しくてやっつけ的に済ましているかも知れないけど，それは問題だよね．貴重な時間を無駄にして，お互いに不幸だよ．
• コリオリ力に関しては私はおおいに誤解していたことがある．ひょっとすると今でも誤解しているかもしれない．その昔，関西(私は関西人)なのだには「探偵ナイトスクープ」なるしょーもない番組(きっとこれだったと思うが定かではない）があった．そこで，わざわざ赤道直下までいって，どっち巻になるのか実験していった．その時は赤道のちっと北側では左巻きで，ちょっと南側では右巻きになるデモをやっていた．その時以来「おそるべしコリオリ力」と思い込んでいた．しかし，今日の話ではそれがコリオリ力の効果かどうかは不明だな．初期条件の設定とか，手でもっていたので，手のぶれとかね．