先週の続きからで,回転座標系の加速度を求めておいてから,慣性系の運動方程式を用いることで,非慣性系の運動方程式を書き下してみる.そうすると,余計な?項が出てきて,それが慣性力だというわけです.おなじみの遠心力とコリオリ力が出てきます.流石に今日だしてきた過程は面倒ですが,原理的にはこれで遠心力を忘れることができますね(忘れる美学?).コリオリ力も複雑な格好ですが,同様にでてくるわけです.まずは,コリオリ力について,ゆっくり見ておきます.いつもどっち向きに力が働くか混乱するが,角速度ベクトルがわかって,ベクトル積が分かっていれば紛れることはありません.回転円盤上の運動と台風の巻方の話を例題として紹介しておきました.それから,台風の話でもそうですが,地球上の運動は回転座標系なので,コリオリ力を感じるはずですが,どの程度かを見積もっておきました.結構小さいです.これで,北向きに歩いているときにコリオリ力のために右のほうによろけることはないということはわかります.同様に,風呂場の水を抜くときにできる渦巻もコリオリ力のために右巻きになるとは思えません.
もうひとつの慣性力である遠心力も例題を示しておく.最近仕入れたネタとして,ボールペンの空気泡を抜くときにどっちを先にしてふるかとか,同じことで風船の入れた水の管をぐるぐる回したときに風船はどっちに動くかとか(これは文章でかくとなんのこっちゃわからん.絵を書くと状況はわかります)を話した.こういうのがすぐにわかると,物理が強くなった気がします.風船がどのような早さで中心に動くかが知りたければ運動方程式を解けばいいです.昨年の試験では似たような状況で,風船でなくて,重い球にして,管から受ける抗力をコリオリ力から求めて,球の運動の様子を問う問題にしました.それも解説すればよかった.それから,遠心力のために見かけの重力がどの程度目減りするかも見積もってみました.1%以下の小さい値でした.
ここで区切りがいいので,休憩を兼ねて実験をやってみました.それは前回配ったレポート問題の問5でして,すっとびボールというものです.原理を考えてみて下さい.そのために必要と思われる情報は提供します.
さて,話題を変えて,質点系の話しをしました.これまでは一つの質点の話しばかりをしてきましたが,質点とは空想上の産物にすぎませんが,それがどういう意味をもっているかを考えるということにもなっています.今日は多粒子系の運動方程式を書いて,その重心の運動が或る種の質点の運動とみなせることを示しました.これで,質点の運動を考えると言うのは,ひろがった物体の重心を考えることに相当していることがわかります.また,重心の運動を追いかけるのは多粒子系の運動を考えるときに基本的であるというわけです.以前にした?バレリーナの話しもこれに関係しています.バレリーナの重心は放物運動だけども,一部はそうでないというわけで,例えば頭や上半身は平行移動しているように見えるということです.来週はまたヘンなおもちゃをもって講義にいきたいと思っています.
なし.
- 回転座標系の速度・加速度を求めておこう.
- コリオリ力を実感する実験を提案せよ.
- 加速度が逆回転しているように見える.
- 確かに,なんかヘンな気がしています.どっちからどっちに行っているのかを落ち着いて考えればよいのだと思います.x系→x'系へは,-wt回転(x'=R(-wt)x)で,x'系→x系はwt回転(x=R(wt)x')です.だから,加速度も同じ変換になるはずです.もう一度ゆっくりと考えてみて下さい.
- y=Rxのyって何,転置とは?
- これはいきなりyがでてきて,y成分なのかと混乱したような感じでした.なんでもいいから,ベクトルからRをかけてベクトルを作ったということです.それからRTのTとは行列の転置をとるということです.ベクトルの場合は縦ベクトルの転置はから横ベクトルになります.
- これはスーパーボールか
- どうやらそのようです.わたしはこんなにはねかえり係数が小さいのはスーパーボールではないと言い張っていたのですが,そうではないとのことでした.もっとも,スーパボールの威力で高く跳ね上がるわけではないです.ピンポン玉でもいいのではないでしょうか?