第2回のおさらい

今日のおしながき
  1. 統計力学概論
    1. 熱力学と統計力学
  2. 統計力学の基本的な考え方
    1. 統計的な考え方
今日のまとめと反省

先週の続きとして,熱力学と統計力学の考え方の相異点を簡単にまとめる.先日,駒場の物理部会のセミナーにアインシュタインの特殊相対論発見のあたりの歴史を聞く機会があった.あまり詳しく知らなかったが,かなり熱力学を思考のベースにしていたらしい説を聞く.アインシュタインの有名な?言葉がある:おおよそ物理体系の中でもし生き残るとすれば熱力学だけである(そんな意図だったと思う).知ってはいたが,それほどまでとは思わなかった.とにかくその内容は講義で話した.

さて,次にちゃんとした統計物理の話しにはいる.わけではなくて,その基本的な考えを理解するために,おもちゃで遊ぶことにする.(昨年度のページを見た人にはネタばれだが,今年も)おはじき問題を話すことにする.佐々さんが講義をしたときはコイン投げをしたそうだ.そうすると実際に100枚くらいコインを投げてみる学生が数名いたと話しを聞いた.おはじきはどうするかなー.無理だなー...

N人の学生にM個のおはじきを分配するとする.おはじきの交換過程は適当に設定することにして,どんな状態が実現するかを確率的に予想してみる.ここで大事なのは,まずどのように確率を導入するかである.降水確率30%とは全然ちがうわけである.ここでは,すべてのミクロ状態は同等であると仮定(等重率の仮定)する.つまり,どれか特別なミクロ状態があるとは思えないというわけである.そうすると,ある人がx個持っている確率は,全状態中でN-1人がM-x個持っている場合の数の割合で決まることになる.確率が決まれば,期待値を計算したくなる.実際に計算してみる.分散を計算する方針を与えてみた.是非やってみよう.来週は個人ではなくて,ある班(全体の内の数割が属しているとする)がx個持っている確率を調べてみることにする.そのことから,Nが十分大きいときにどんな予言能力があるかを見る.

今週の宿題:
宿題はボチボチ出したいと思いますが,提出の必要はありません. 講義の復習のペースメーカになるような問題が出せればよいなーと考えています.が, 単に講義で面倒な計算を出すこともあるかもしれません.面倒といっても,あらすじを示さないことはしないので,やっておくと調子がついてよいと思いますよ. 提出するのは別にレポートと称して二・三回出してみたいです.
  1. スターリングの公式(導出方法1.2)
  2. さぼった計算のフォロー
  3. 分散の計算
  4. 他にもあったような...
今日の配り物:
なし
今日の質問:

今日はちょくちょく質問もらいました.質問してくれると,お互いによいと思います.これからもドンドン講義を止めて下さい.

スパコンの話し

アボガドロ数の連立運動方程式を解くというところで,スパコンの話しをする. トップ100ではなくて,500でした.それはこのサイト
講義に関係ないけど,講義でNECの地球シミュレータが約2年もの間世界一位の演算速度を誇っているという話をした.上のリストは年に二度,6月と12月に更新される.この二年という期間は異例の長さなのだが,次回の更新時,12月にはとうとう2位に陥落するらしいと説明した.ところがそうでもないかもしれないらしい.がんばるNEC

第一原理計算の話し

量子力学計算をするなら,あるいは物性物理の分野で一番スパコンを使っている研究課題として紹介.そこで,第一原理とは何かというのが質問であった.意味としてはシュレディンガー方程式ということだが,現実的には厳密に多体系のそれを解いているわけではない.ちょっと誤解されやすい名前だと思う.

...の計算おかしくない?ちょうど平均分割数のところがピークになるのではないか?

少し驚く.直観と合わないから間違っているのではないかというのが質問の意図だろう.確かにそんな気がする.が,一方で,確率の意味を考えてみると当り前ですね.Aさんがx個持っている確率は,残りのおはじきを残りの人数で分配する場合の数に比例している.そうすると,その数M-xが多い方が確率が大きい.つまり,xが小さい方が確率が多い.そう考えると理解できる.ということはこれを書くときにはわかったが,講義ではすぐにそれが思い付かず,期待値を見るまで待ってといって誤魔化した.でもそれでもなんとなくわかったか?

yで微分ってなにやってんだっけ?

これはよくやる手法.実際にやったことを説明したが,その考え方をしっかり説明した方がよかったか.和を先に計算して,期待値は微分で求めるというのは統計力学では普通にやることです.

宿題の式変形するときに,愚直にやる以外に賢い方法はあるか?計算で注意すべきところは.

確率を計算するときに,スターリングの法則を使って,バラバラにするのだが,たくさんある階乗をうまくできる方法はないのかという質問だと思ったが,まあ大した計算ではないので,ゆっくりやればいいのではないでしょうか?

その分布関数の温度に相当するところって,どんな意味があるのか?

すでに統計力学を学んだことのある学生の質問でしょう.今日の問題は調和振動子の問題と等価なのだが,エントロピーとかエネルギー微分とかそっちの言葉で考えてもつまらないので,おはじきの場合は何かというのが質問.うーん,よい説明が思い浮かばないなー,といろいろお話をする.

オフィスアワーには質問以外でもありか?人生相談とか...

なくはないですけどね...私がひまならばOKですよ.

今日の雑談:

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