先週の続き.今度は2つのグループに分けた場合の分配を議論する. ただし,2つというのは,注目するグループとそれ以外のように人数差がある場合を考える.議論は,前回と同様であり,グループ1がx個持っている確率を等重率の仮定の元で求めてみる.グループ1内部の各ミクロな状態に対して,グループ2の分配の場合の数の全分配数に対する割合は指数関数的である.それとグループ1の分配数の積が求めたい確率である.言葉で書くのは本当に難しい.実際にやっていることは単純な計算である.この確率分布に対して,2つの量を計算する.ひとつは,平均値等の統計量.もう一つは確率分布の最大値,すなわちもっともらしい値である.グループの人数やおはじきの数が多い場合は,平均値ともっともらしい値は一致していることがわかる.さらに,確率分布の形を議論するために,もっともらしい値の回りで展開をしてみて,その周辺の関数形を眺めておきます.そうすると,二次の展開までの範囲でガウス分布がでてきて,その分散は1/√Nに比例することがわかる.Nが非常に大きい状況ではδ関数のようにとても鋭いピークになるわけである.これがNが大きい状況での新たな?予言能力だと思ってよいだろう.このことが物理とどのように関係するかは今後見て行くことになる.
この予言はどうでしょうか?大した内容ではないので,あんまりびっくりしないというのがまず第一感だろうか.しかし,よく考えてみると不思議といえば不思議で,例えば,おはじきの交換ルールは全く定めていないのはどういうことだろうか.優劣のない交流が頻繁にあるというのが条件ではある.1人ががめて,そこで囲い込んだら絶対にこのようにはならない.でも交流があれば何でもよいというのがなんとも気持ちの悪いところである. これはまた物理の話しの時に考えてみることにするかな.
さて,統計の話しがなれて来たところで,物理の話しする.ただ,今日の話しはNewton方程式など考えると,どうやって確率がはいってくるのかわからないような話しで止まってしまう.ただ,何が知りたい量なのというところまではたどり着いた.次回はそこからはじめる.
今日お話したちょっとごちゃごちゃした計算と先週の宿題の一部をまとめておく(PDFファイル.58KB).式が壊れていたところ(もっともらしい値のすぐ下の式)を修正.
- プリントの計算間違っていないか?
- N1=1は特別か?
このクラスはなんだがよく質問をくれます.やはり一年と二年の違いなんでしょうかね.
- N_1=1だけが特別か?
問題点をまとめると,「先週の結果は平均値(m)ともっともらしい値(0)は食い違っていたのにどうして今日は一致するか」です(これでいいですよね). グループ1の内部の分配数が1かMの増加関数かの違いがその差を生んでいます.では違うのは1か2か...W1=1で,W2=M+1だからやはり1と2がその境目ですかね.ただ,これはもっともらしい値が0からずれるかどうかはいいとしても一致しているかどうかまではわかりませんね.それでは反対側,平均値ともっともらしい値がずれるところはどうして議論するか...それは今日求めた平均値の回りで展開したときの曲率が0になるという条件でしょうか.それはN1無限大か,m無限大.それはそうかな.この議論は合ってる?
- そんな平均は計算できそうにない.
最後に示した,実験で我々が観測できるであろう量が簡単にできそうにないというコメントをもらった.そのとおり.それをどうサボるかは次回の話題です.
- おはじき問題はイジング模型のようになるか?
それは違います.イジング模型は内部の自由度は2つしかありません.今の場合は,それぞれの人のとりうる状態は,0,1,...Mです.
- おはじきのもっともらしい数が0なのは,宝くじがあたらないということ?
似ているところもないではないが,あんまり似ていないのではないかな.