第11回のおさらい

今日のおしながき
  1. 統計力学の基本的な応用
    1. 粒子のやりとりがある系
      1. 理想気体の取り扱い
今日のまとめと反省

先週グランドカノニカルを導入したので,その例題として,グランドカノニカルで理想気体を調べてみる.ここでの設定は,外から化学ポテンシャルを与えていて,注目する系には理想気体の数は固定されていない状況を考えている.粒子数が固定のもとでの分配関数はすでに求めていたので,それを使いながら,大分配関数を求める.その後で,物理量の平均値として粒子数の期待値を計算してみる.ここで,化学ポテンシャルと粒子数の期待値の関係が明らかになる.また,同様に圧力の期待値を計算してみる.ここで理想気体の状態方程式のグランドカノニカルからの導出ができた.

次に,別の例題として,重力ポテンシャル下にある気体の問題を考える.ある高さの薄皮領域にある気体が各高さで平衡状態にある,つまり,各高さで化学ポテンシャルがつりあっていることから,何が言えるかを考えてみる.この問題は最初からカノニカル分布の取り扱いで解くことはできるし,それはいつかの宿題として出しておいた.ここではそれを忘れてグランドカノニカルの取り扱いで解いて見ようということである.例題としては,あまり面白くないかも知れないが,考え方を身に着けるにはよい練習だろうと考えた.

化学ポテンシャルと粒子数の関係を求めてみたいわけだが,先にやったように粒子数の期待値を計算すればよい.この点は学生さんに指摘されたとおりだ.ここではそれをサボって,化学ポテンシャルがヘルムホルツ自由エネルギーを粒子数で微分に等しいこと(熱力学との対応関係からわかる)を使って,出してみる.そして,先に求めた理想気体の状態方程式から圧力と化学ポテンシャルの関係を求めておく.この化学ポテンシャルが平衡状態はつり合っているので,zに依存しない(後で学生に指摘されたが,講義ではきつい条件を書いてしまっていた.もっとゆるく依存しない条件を書くことはできる.もっともナイーブにはzで微分して0です.そうすると,圧力pに関する微分方程式になるが,それは線形であって,やはり指数関数が出てくる).このことをあからさまに見てみると,圧力が高さの関数として,指数関数的になっていることがわかる.低い程圧力が大きいわけである.それは直観的によい.

今日の配り物:
なし.
今週の宿題:
  1. 重力下での理想気体の問題で,大分配関数を計算してから,粒子数の期待値を評価し,化学ポテンシャルと粒子数の関係を求めよ.
今日の質問:
講義の後でまた何人かの学生さんとおしゃべりをする.いろいろ指摘されたりもする.そうだ,位相空間のメッシュhのことについて,量子力学での不確定性から来ているとの認識がないように聞こえるという指摘もあった.最初に言った気がするんだけどなー,とか,メッシュに切ることの意味の説明をしてみて,なっとくしてもらう.後は,レポートの答えに関することも話したっけ.えーと,それから...
今日の雑談:

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