第6回のおさらい

今日のおしながき
  1. 確率過程
    1. Fokker-Planck方程式...つづき
    2. Smoluchouski 方程式
    3. 経路積分表示
今日のまとめ

先週Langevin方程式からFokker-Planck方程式を導いたが,今日はそれを多変数拡張する話からはじめた.たくさんのブラウン粒子があると思ってもよいし,実際今日はそうではなくて,ランダム力を受ける運動方程式で記述される変数の組だと思っても良い.多変数の運動保打て式と,それにかかるランダム力がガウス過程であること,さらにランダム力の相関を指定すれば問題設定ができる.この問題に対するFokker-Planck方程式は前回示したように形式的に求めることが出来る.今日はこの多変数版で少し遊んでみることにする.その前に,運動方程式に出てくる「力」に相当するところがある種の「ポテンシャル」で書けている場合について確率の流れを書き下してみて,流れが無いときの平衡分布がカノニカル分布になるを確認しておく.

さて,例として,通常の?Langevin方程式を考える.ここでは位置xをもう1つの変数として考える.運動量の定義式をもう1つの運動方程式とみなすわけである.当然,ランダム力はかかっていない.この二変数について,Fokker-Planck方程式を書き下してみる.それはKramers方程式と呼ばれているようである.さらに,overdampの状況を考えてみる.そうすると,運動量はしんでしまうので,位置だけの分布関数の時間発展を考えることにある.ランダム力の相関を考え直せば,どうようにFokker-Planck方程式を書き下すことができる.これが,Smoluchouski方程式である.たくさん,出てきて少々嫌になるが,これについて,もう少し詳しく見てみることにする.確率の流れを先と同じように書いてみる.熱平衡状態では,確率の流れはなく,そのときの定常解はやはりカノニカル分布になる.では,任意の初期条件から出発して,熱平衡状態に収束するかと言うと,それは示せない.例えば,流れが一定の解も定常解になりうる.但し,Smoluchouski方程式に対するH定理は示せるようだ.

次に,確率の流れがゼロでない定常分布の例として,バリアを越える遷移について考える.Kramersによる化学反応速度についての理論である.今,Smoluchouski方程式の変数xは何かしら化学反応の反応経路を表す座標とする.その変数にたいして,遷移状態に対応するポテンシャルバリアがあるときの分布関数を求めてみる.変数確率の流れJを定数として,定常状態の式を解いてみればよい.えいえいとして,遷移状態近傍での鞍点評価でざっくり積分をすると,流れJ,それから反応物の確率で規格化して,反応速度を計算が計算できる.これはよく知られている熱活性型(Arrhenius型)であり,その熱活性エネルギーがちょうど反応前と遷移状態のポテンシャル差で表されている.

最後に10分残ったので,経路積分表示のイントロを行った.条件付き確率を求めたいと思って,Chapman-Kolmogrovのような形式を書いてみると,ちょうど,量子力学で経路積分をつくるときのように,完全系をどんどん挟んでいるように見える.ただし,今の場合は作用に相当するところが全くわからない.なんとかこれがわかれば,経路積分的に考えることが出来る. 経路積分の意味で経路を考えることはまあそれなりに意味もあるだろうし.

今日の宿題:
  1. 多変数版Fokker-Planck方程式を求めよ.
  2. 平衡状態をPeqとしたとき,それと一般の分布についてのKLdivergenceの時間微分が負になることを示せ.(講義で話した通り,30分考えたけどできんかった.かっこ悪い.)
今日の質問:
反応経路って?生成物の確率を0にするとは,生成物を抜き取る?どうやって???
今日の雑談と反省:

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