第4回のおさらい

今日のおしながき
  1. 静電場の物理
    1. ガウスの定理
    2. ガウスの法則
    3. ガウスの法則の応用
今日のまとめ

今日はガウスの法則の説明がメインテーマであった.そのための導入として,これまでと逆側?から入った.まず,積分して得られた電場の例から経験的にガウスの法則を導入し,一般化から,証明という道筋をこれまで辿って来た.しかし,このクラスでは無理に積分をする路線をとらず,プリントを配ることで自習してもらった.そのために,逆から入るのもありかと思ったわけです.講義ではまずガウスの定理から入りました.証明は簡単版で示して,一般な場合へ移行しました.さて,ここでクーロン電場をガウスの定理に入れることで,ガウスの法則を導こうとしたわけです.特異点はうまく避けておいて,中側は綺麗な球にすることで,簡単に計算してしまう作戦です.ゆっくり考えれば論理的にすっかり跳んでいるところはなかったと思いますが,どうだったでしょうか.微分形までは時間がなくていたらなかったです.

今日の内容はばちばちの抽象論になってしまいました.こういう考え方にもなれていってほしいところです.ガウスの(発散)定理が出てきたので,ベクトル解析の片鱗を見たわけですが,アレルギーのでないようにできたかなー.来週はもう少し具体的な問題に触れたいと思っています.

今日の配布物

今日のプリント(PDF:70KB)を配りました.それから先週予告?したとおり,先週の続きのプリントと今回のレポート問題(PDF: 55KB)を.先週公開しなかった理由は,もう一つの担当クラスのレポート問題だったからです.

レポートの〆切を十月五日としていましたが,間違いです.次回の講義の日まで,つまり十一月七日です

今週の宿題:
  1. 今日のノートに間違いはないでしょうかね.お配りしたノートを良く見て下さい.
今日の質問:
ガウスの法則の説明のときに,くりぬいた内側の球の寄与はどうして負符号なの?
単純に,閉曲面をそれぞれの部分に分割すれば,ただの足し算になるはずじゃないのか.というのが,主張です.全く正しい疑問です.よくここまで理解していると思います.ノートを配って,黒板を眺めていた効果なのかなー.とってもいいです.さて,答えは,第一段階としては,そこの符号は正で足し算します.その後で,内側の球に関してはあからさまに電場のわきだしを計算します.そのときは,点電荷を回りに半径球の閉曲面で囲った場合のわきだしを計算するわけですが,この問題設定では法線ベクトルは外向きにして計算します.もともとはくりぬいたわけですから,法線ベクトルは内側(点電荷側)に向いていました.そこで,符号が反転するわけです.質問をくれた学生さんは理解されたようでしたが,これを読んでいる人はこんな説明でわかるでしょうかね.
点電荷と電荷 qって,同じ名詞で止まっているけど,対象は違います?
全く正しいです.「位置xにおかれた電荷qをもった点電荷」というのは,,どうもいい加減な説明でしたね.「頭痛が痛い」のようになっているか.点電荷というのは,力学でいうところの質点のようなもので,電荷をもった物体を近似的に点で表現したもののことです.一方,電荷qというと,それは電荷量のことを言っていて,単位としてはクーロンを持っています.電荷をつけておけば,こうした混乱は起きなかったですね.ご指摘ありがとう.
ガウスの法則とクーロンの法則の関係
ここはちょろっと説明しただけで,この真意はちゃんと伝わっていなかったかも知れません.クーロンの法則とガウスの法則はほぼ同等であって,ガウスの法則が成り立つためにクーロンの法則が成り立つわけではないということがいいたかっただけです.ガウスの法則はちょっと綺麗すぎるところがあって,こんなのが自然を切り出した結果であるべしというような思想がどこかにあるとしたら,それは間違いであって,空くまでも実験的に検証されたクーロンの法則とうまく整合がとれているといっただけだと思います.例えば,クーロンの法則が逆二乗から少しだけずれても,それは誰も困らないわけで,そのときはガウスの法則は大幅に修正されるということです.
ガウスの定理を証明するところで,ベクトル場のわきだしを評価するところで,ある面内でのベクトル場は一定としたが,そんなことができるの?一定になるように,いつでも微小領域を選べるのか?
この手の証明で一番引っかかるところは,随所に出て来る「なーんか,だまされているような」感じです.よくあるのは,一つは上の疑問で,とても自然な疑問だと思います.微小領域の考え方というのはどんな微小なのかを慣れる必要がある.この場合(そして一般的にも言えるかも知れないが),どのようなズルをしているのかを見積もることが大切です.ここでは,微小面の代表点A(x+dx,y,z)から例えば,四角形の微小領域の左上 A(x+dx,y+dy,z)や他の点がどの程度ずれているかをみればよくて,その場合は,代表点からのずれはいつでもdydzのように高次の微小量となっていることがわかります.つまり,微小領域のさらに微小量なので,無視できるというわけです.
まだ,あったような気がする.
今日の雑談:

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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)