第8回

今日のおしながき
  1. 振り子からぶらんこへ
    1. 極座標での運動の記述
    2. 振り子の運動方程式
    3. 押し漕ぎ(強制振動)
    4. すわりこぎ
    5. たちこぎ
今日のまとめ:

今日は極座標表示での加速度ベクトルをもとめるところから話をはじめる.それができれば,運動方程式を書くことができる.ちょっと難しげな運動方程式だが,運動が動径方向について制限されている運動等の場合はこれを使うことで,見通しがよくなったりする.その一つの例が振り子の運動である.

実際に振り子の運動方程式を立ててみて,それを解く.極座標で表した御利益を感じつつ,振動の式を得る.エネルギーが保存することを口で説明する.計算などしなくても保存することはわかる.でも,計算してみるとまた別の面白みもあるかもしれない.振り子の糸の張力はあらわには計算しなかったが,やっておこう.というわけで,レポート問題にしておく.次に,強制振動の場合の概略を説明する.押し漕ぎのモデルを説明をして,計算の詳細はプリントでごまかす.ちょうど,ぶらんこの固有の周期に合わせて,力を加えるとぶらんこの振れは大きくなる.これが押し漕ぎのポイントである.押し漕ぎのことを考えるとこれは当り前のような気がする.しかし,この共鳴現象は実はぶらんこだけでなくて,もっとひろくいろんな状況で実現されている(というような例を話そうと思っていたが,忘れてしまっていた).そらに自明でない?結果として,共鳴を起こすためには強制振動の力の大きさにはまったく関係がない.なので,親が子供おすだけでなく,原理的には小さな子供でも親を押してやることができる.振れるまでにはちと時間がかかるが... プリントを配ったときの説明の追加具合がよくわかっていないが,ざーとアウトラインだけだったので,かえってわかりにくかったかな.

すわりこぎもだいたいこの強制振動とだいたい同じであることを話す.どちらも共鳴を使ってエネルギーを注入して,振幅は時間の線形に大きくなる.これ以外の注入として,立ち漕ぎがある.これは質的に違う.講義では,そのモデル化と運動方程式を書いて終了する.答えは次回に紹介する.

ちょっと残った時間で,レポート問題の説明をする.さらに,問題5のエネルギー保存マシーン(ではなくて,すっとびボールというらしい)の実演をして,その原理を説明してもらうことにした.何しろ,実物を手にしたのが,5分前だったので,実際に人前でやるのは今日が最初でした.自分でやりながら,結構不思議に思いました.さー,みんなで考えよう.

今日の配布物:
  1. レポート2の解答例(PDF,127KB)
  2. 強制振動のプリント(PDF,89KB)
  3. レポート3の問題プリント(PDF,42KB)
  4. これらのプリントはまだちょっとあまっているので,部屋の前においておきます.
今日の宿題:
  1. 極座標表示での速度ベクトル,加速度ベクトルを完成しておこう
  2. 強制振動のプリントに間違いが無いかチェック
  3. 強制振動でのエネルギー注入を調べておこう.時間の関数として,どのようにふえるか?
今日の質問とコメント
極座標での運動方程式ヘン.
なんか微分の回数が多すぎないかという理由でした.とてもよい指摘でした.単純に板書ミスなんですが,疑い方がいいです.こうして,注意深くチェックできるのは素晴しいです.「なんかヘン」という感覚は養えるもので,逆に鍛えないと育たないものでもあります.「なんか匂う」とうまくいきそうな方向に嗅覚が働くのも同じですね.
立ち漕ぎのモデルからの式変形でなぜyについての微分方程式にするのか?
それは...特に深い意味があるわけではないが,例え時間に依存するとはいえ,振動の式に変形するとなんとなく安心するわけである.また,次回に説明するとおり,その変形で出て来る方程式の最終形は微分方程式の研究で良く知られている名前のついている方程式に帰着できる.だからどうしたというわけではないが,良く知られている式になるとやはり安心する(かなー).
うずなしの条件∇xA=0とはどういう意味か?
確かにイメージがつかみにくいのが,ベクトル解析のこのあたりで,冬学期の電磁気ではもっと悩むことになるであろう.「なぜうずなしなのか?」と「AxB=0ならば,AとBは平行だが,この場合は?」と疑問が沸いて来ている.なぜ渦無しかは,この定義式をよく睨んで,微小領域で何が起こっているのかをかいてみるか,ストークスの定理を使って周回線積分に変形してみると,分かった気がする.渦がある場合はこの線積分は零にならないし,逆にこれをもってして,渦度を定義しようとも思える.渦無しの条件の物理的な意味は,講義で示したように,トントンと変形すれば,仕事が経路によらないことに繋がって来る.また,ベクトルとしての方向については,方向としての意味はないと考えた方がよい.∇は普通のベクトルではないので,このベクトル積の意味なりイメージはむしろ渦として認識した方がいいのだろう.
今日のコメントについて
きょうはなんだかコメントをたくさん頂く.それでは返答偏.
ブヒー
ブヒブヒー
過去問の答えを配って下さい.試験の傾向を教えて下さい.難易度は?
段々,試験が近付いて来たということでしょうか.なんか,言葉が予備校っぽくていやだなー.過去問の答えはシケタイの仕事ではないでしょうか.傾向?うーん.難易度?それはみなさんが判断することでしょう.えーと,試験範囲は講義で話したところで,レポートのように難しくて考える問題を出すよりは,テストにしたいと思っています.少なくとも昨年はテストでした.でも,いろいろ詰め込めばいいというのではなくて,道筋を立てればそれほど覚えることはないようにしたいと思っています.
プリントがんばって読んでいます...自分で議論することができません...なんか改善するためにアドバイス下さい.おそらく,何回も自分で取り組む努力をするということでしょうか.あと,WEB上の講義ページ読んでいます.
微分方程式のプリント読みました...
プリントネタは下の方で...それから,何度も何度も繰りかえして練習するのは大事です.蔭山メソッドってほとんどそれですよね.私の小学校のときに先生も100マス計算好きでしたよ.ほとんど毎日やっていて,時間計っていました.当時は楽しかったし,蔭山メソッドが世にでるよりももっと前に体験できていて感謝しています.しかーし,それで能力の全てが開花されるわけではないですよね.もしも,福島メソッドとして付け加えるとすれば,「人に説明すること」です.自分のわかったことを人に話すとそれだけでレベルがあがります.不備があればすぐにわかるし,逆に人から説明を受けると聞き方や突っ込み方がわかってきます.「自分で議論できない」というのは,ある問題を与えられたときに話が自分で展開できないということでしょうか.最初からそんなことが出来る人はいないでしょう.でも訓練はわりと簡単にできて,例えば,微分方程式を解いてみる.その過程をそっくりそのままセリフ暗記して,人に説明する.その人は黙って聞いていないで突っ込みを入れるでしょう.それには当然アドリブできちんと返します.それだけでも,つっこみに耐えられるようにするのは大変です.
試験はノート持込可?
たぶん不可です.問題を作るのが難しいです.おそらく,ノートに書いていないことをだすわけですから,難しくなると思います.
ビリヤードやりたい
これ,この前も書いてあったんだよな.今度はこの続きを書くように!どうぞやってくださいという答えから,いやー実はそれは難しい問題なんだよーという解答まで準備して待っています.
先生のことを"ふくちゃん"と読んでいます(心の中で)
なんとなく懐かしいひびきであります.私は小中学校のときはそう呼ばれていました.ちょうどそのころ「ふくちゃん」というアニメがあったりしたし...
熱力意味プー
熱力難しいですよね.ここだけの話ですが,私は大学時代の最悪の講義は熱力でした.先生のやる気はなさそうで,黒板にむかって,教科書写してボソボソ言って帰ってしまうだけでした.しかし,熱力学はとても大事な学問です.最近では物理の中でもリバイバル的に見直されていることもあるし,宇宙論から工学に至るまで,熱力学無しでは語れないようです.20世紀には物理に革命が起こりました.それは相対論と量子論の出現です.それによって,いままで構築された力学や電磁気学は修正を受けました.しかし,そんな荒波にさらされながらも,何一つ変更されなかったのが,熱力学です.アインシュタインによれば,「世の中で唯一壊れない理論があるとすれば,それは熱力学だ」ということです.それだけ,とても普遍な理論体系だということです.どうでしょう.これくらい持ち上げておけば,勉強する気がするでしょう.
プリントの印刷の仕方が少し...表裏で上下を合わせた方が..
これ最近よく指摘受けます.紙がもったいないので,両面コピーいているのですが,そのときの勝手が違うということですね.すみません.どっちがよいかはいろいろのようですし...統一はした方がいいですね.
プリントってTeXですか?
そうです.私はM〇社のw〇rdなど使いません.
今日の雑談と反省:

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