第2回のおさらい

今日のおしながき
  1. 運動の記述
    1. 質点の位置ベクトル
    2. 質点の速度ベクトル
    3. 質点の加速度ベクトル
今日のまとめと反省

今日は極力ヨタ話しを無くして,物理の面白さを前面に出そうとする. 今日から,講義のシリーズの前半は質点の運動の記述を目的とする. まずは,質点という概念を説明する.「概念」というのは難しい言葉だが,とても大事な考え方である.ここでいう質点とは,「大きさは無くて,質量だけを持っている物体」のこととする.まったく都合のよい代物だと思うかもしれないが,「都合のよい」ところを自分で気づくことができれば理解できたといっていいだろう.質点は本当の物質の重心に全ての質量を集中さえた近似と考えることが出来る.このことはずーと後の講義で示すことにするが,とにかくここではある近似的な考え方だと思って良い.もちろん,近似なのでダメなこともある.ダメな例をいくつか紹介する.ちゃんと大きさをもった物体の性質は講義の後半で剛体力学として触れることになるだろう.剛体のひとつの特徴は回転運動かと思う.質点は回転しても何にもならないからね.やや(思いっきり?)強引だが,回転運動が面白い例として,「ゆでたまご」とラトルバックの話しをして,ラトルバック実演する(この続きは下で).

さて,記述されるものを質点を決定したので,今度は記述することを説明する.それは「運動」である.運動の記述とは,質点の時々刻々の位置の移り変わりだとする.それがわかることが我々の当面の目的である.わかるというのは難しい.例えば,時々刻々の位置が記録できれば,ある意味ではわかったと言える.それでわかったと思うかどうかは主観の問題なんだろうか.もっと進んで?位置が時間の関数として表現できれば,未来を予言できたり,過去を振り返ったりできる.「わかる」にはいろんなレベルがあるように思えるということをはなす.それはよいとして,質点の位置は「位置ベクトル」を用いて表すことにする.

今,ある時刻の質点の位置ベクトルを知ったとしよう.そこからその後の質点の運動が予測できるだろうか.我々はボールを投げると,瞬時にボールの運動を予測して,ボールをキャッチできる.一方で,その様子を写真にとって,その写真だけを見たときに,ボールの運動が予想できるかといえば,それはできそうにない.その違いは...その瞬間の速度を知っていることだ.ここでは速度ベクトルを定義し,位置ベクトルと速度ベクトルを用いて少しだけ未来を予測してみる.この方法を使って,少しずつ少しずつ未来を予測していくことを考えてみると,少しだけ未来の速度ベクトルを予測する必要があることに気づく.そのためには今の「加速度ベクトル」を知る必要がある.そして,加速度ベクトルを定義しておく.

今日の話しは,良く考えてみると(考えてみなくても)物理の話しではない. 来週はベクトルの性質をまとめてから,物理の話であるニュートンの法則にすすむ.

今週の小道具:
photo of rattlebacks
  1. テニスボール (質点近似代表)
  2. ラトルバック小型
  3. ラトルバック超大型
今日登場した小道具たちの写真.赤いの中村理科さん製作のrattleback.黄色いのはDUNLOPさんのテニスボール.そして,透明の大きいのは東大生産技術研究所の試作工場で作って頂いた大型ラトルバック(先日見学に行かせてもらいましたが,まさにそのページの写真の機械で製作).駒場の工作室のみなさんと物理教室の加藤先生に教えて頂いて,一つ注文させてもらいました.おそらく世界一でかい?.まだ,請求書が来ていないので,どれくらいするのかちょっと不安.みなさんにもその高価?なラトルバックを回して遊んでもらいました.大きいことで,なんだか迫力がありますよね.今日は全く説明しませんでしたが,これからいろいろ学びながら,そこで見えていることに関係していることが出てきたらコメントしていきたいと思います.

今週の宿題:

プリントを配る.少し余りましたので,部屋のドアの袋にいれてあります.必要な人はとりにきてください.簡単な練習問題を少しつくってみました.私は講義ノートは配る予定はないですが,講義の項目とその内容に関する練習問題を配って行こうと思います.自習のペースメーカーになればよいかと思います.その他にもう少し考える問題をレポートとして出す予定です.

(2005.5.2追記) プリントに配った練習問題にちょっと適切でない問題があったので,修正版を用意しました.

今日の質問:
右手系?どっち向いてる?

こうやって,こうやって,ほらね.調子にのって,左手系は...と黒板に書いたのはおもいっきり右手系であった.

質点が近似的というのはどういうこと?

例えば,点だと思っていると,衝突などはありえなくなってしまいます.衝突現象を理解しようとすると,このままでは無理だということです.そういう状況はこれから説明していきます.

今日の雑談:
中学1年2年3年高校1年2年3年予備校その他
2192126511合格後に1票

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