第11回のおさらい

今日のおしながき
  1. 線形応答理論
    1. 揺動散逸定理 (FDT) 補足
  1. 中性子散乱-- Van Hoveの式 --
今日のまとめ

先週,揺動散逸定理の話をしたのだが,散逸具合が今一つ説明仕切れていないような気がしたので,今日はその点を補足することにした.ランジュバンで揺動散逸を出したときは,確かにゆらぎと摩擦による散逸の関係だったのだが,今回はなんとなくゆらぎと応答の関係を示しただけの気もする.もっとも,各種の物理量が線形応答の範囲で関係付いているので,どれかがエネルギー散逸と直接関係していることを見ればよい.感覚のよい学生さんは気づいていると思う.ここでは実際にエネルギー散逸が複素感受率(アドミッタンス)の虚部と関係していることをチェックする.

ここまでで,レポート問題に必要なキーワードは出しつくしたように思われるので,これまで話した概観をまとめてみた.初回のアブストな話と同じような話になったが,意味合いは話す方も聞く方も違うのではないか.まず,話したことをまとめて,同時に話さなかったことで,すでに確立していると思われる大事なこともコメントした.私の力量不足で大事な部分に振れていないことが少なくない.しかし,初学者にとっての敷居の高さ感はもうそれほどないと思われるので,是非みなさんで勉強して欲しい.それから,線形応答周辺の状況に関する私見や,まだ現在進行中の問題にもちょっとだけコメントした.後者は,私には完全に荷が思いので,近いうちに佐々さんか清水さんに専門分野向けの講義をしてもらいたいところです(ね).そしたら,わたしも聞きに行きます.

さて,もう気分は講義の最終回のような感じだが,そうではない.上のところでも少しだけ振れたが,線形応答には「道具」としての捉え方が少なくない.それは様々な物理現象のプローブとして大変有効である(その半面もあるかもしれない).その例を振れずに終わるのも悪いので,最後に実験の見方を紹介しようと考えた.例題は中性子散乱.今日はフェルミの黄金律から出発して,実験で掛かる微分断面積が動的構造因子,密度密度相関関数で書けることを示した.次回はこの続きをしておしまいかな.

今日の宿題:
  1. フェルミの黄金律から散乱の式を導出せよ.
今日の質問:
なんかちょっといろいろあった.
ハイゼンベルグ表示?
密度密度相関は観測量?
固体である必要があるのか?
今日の雑談と反省:

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