今週のレポート問題先週お知らせした通り、解析力学を使って、マクスウェルの方程式を見直してみた。解析力学の知識は前提としないで、そこから説明した。最小作用の原理から運動方程式が出てくる構造は物理ではかなり一般的である。質点系のニュートン方程式とほとんど同じことではあるが、荷電粒子系のラグランジュ方程式からローレンツ力が出てくることを示した。とはいえ、注意しなくてはいけないのは、解析力学にニュートン方程式の根源が潜んでいるわけでは決してない。同じような運動方程式が形式的に出せるというだけである。しかしながら、その構造には、最小作用の原理のような、いかにもありそうな原理があったり、対称性と保存則の構造が見やすかったりするのは楽しく、また何よりも美しいと思ってしまう(のはほとんど病気かもしれん)。
どうように電磁場にも拡張してみる。電磁場のラグランジアンからマクスウェルの方程式が場の運動方程式として出てくる。スカラーポテンシャルからガウスの法則が、ベクトルポテンシャルから、アンペール・マクスウェルの法則が出てくる。後者の計算の詳細は時間の都合上すっ飛ばしてしまった。実は、残りの2つはポテンシャルを導入するときにすでに埋め込まれていて、そこはずるいかもしれないが、4つのマクスウェル方程式が出てきた。しかも、あんなに簡単なラグランジアンからである。
ろくに変分についての説明もしていないので、大変困惑したかもしれないし、内容もテンコモリだったが、もし興味があればさらに勉強して欲しい。参考図書
- 大田浩一著 「電磁気学II」丸善
- 高橋康著「古典場から量子場への道」講談社サイエンティフィク
- 力学については、ランダウ・リフシッツ「力学」東京図書、とか他にもいろいろあると思う。
なし。今週の宿題:
今日の質問:
- ベクトルポテンシャルについてのラグランジュ方程式からアンペール・マクスウェルの法則を導出しよう
- 今日で物理学A(電磁気)の講義は終わりました。どうだったでしょうか?特に私にとっては最初の講義であったために、みなさんには聞きづらい講義だったかも知れません。感想などを聞かせてもらうとうれしいです。
- さて、今日は、ちょっと勝手な講義をやりました。そもそも何人くるのかなーって思っていたら、出席表には7名でした。もうちょっとはいたよね。十五人くらいか。やっぱ、試験勉強には勝てんか。試験に関係ないと言ったのが決定的だったのかしら、それもと何かすごく物理の難しい話でもすると思われたのかしら。。。「サルでもわかる特殊相対論と電磁気学」とかだと出てきたんだろうか?????
でも、よく貴重な時間を使って出てきてくれたと喜んでいます。あまり期待に答えられなかったかもしれないと不安の方が多いけど。- 講義ノートを作りながら、「自分だったらこの最終講義に出るだろうか?」考えてみた。きっと出ないだろうな。いや出なかっただろうな、学生時代は(も?)まじめじゃなかったし。でもそれはとっても後悔している。人の話は聞いてナンボです。特に、自分の専門外の話は積極的に聞いた方がよい。そうでなくても専門以外の話を聞く機会はドンドン減って来るので、積極的にいかないと本当になくなるもの。自分の好奇心のアンテナはどんどん広げて損はしないぞ。ひょっとしたら、本当に君が欲している学問は物理かも知れない、かも。