問題の心
ちゃんとした答えはそのうちに用意したいと思いますが、まずは点数付けが終わっての感想を。
  1. これは何を書いてもいいんだが、とにかくなんか書いて欲しい問題。講義でも話したが、私のうけた電磁気の試験問題は「マクスウェル方程式の4つを書いて、その意味を説明せよ」であった。そんな記憶するだけの問題なんて失礼千万だと憤慨したのだが、今からこういう立場になると、なんてよい問題だったのだろうと思う。さすがにこれが答えられないようだと何にも答えられないだろう。
    しかしながら、やはり記憶問題は嫌いなので、4つのうちの2つ法則に関する数式を明記して、その意味を問うことにした。
    もちろん、1つはガウスの法則で、積分型で考えるとどういうことか説明しやすいであろう。もう1つは、磁荷がない式である。これは上の式と対応させて考えれば、説明もうまくいくのではないだろうか。

    1-2 これはマクスウェル・アンペールの法則を静磁場でのアンペールの法則と連続の式から出してみるのが目的である。当然?、それらの元式は明記しておいた。実はガウスの法則がそこにからんでくるが、すでに1-1で式は書かれている。それらをうまくつじつまをあわせることで、完成してほしい。法則を覚えている人にも点を分配した。また、静磁場の式をいくらこねても、最後の法則には行き着かない。しかし、なんか数学的に意味のわからない式(の結合?)でゴールしてしまっている人もいた。これは部分点だけ。

  2. 2-1 ガウスの法則の使いかたの練習。レポートにも同様の問題を出したので、できた人が多かった。レポートの評価比重は大きくしないといったが、実際にレポートを出すこと(そして、解答例を勉強して、レポートの添削を見直すこと)で評価が上がる仕組になっている。

    2-2 導体の場合の考察。導体とはどういう性質かが分かっている段階でほぼ正解のはず。「導体の場合に電荷は一様分布しますか?」と質問されて、さすがにそれには答えられないよね。中心がずれた場合の考察。解答は後程詳しくすることにしますが、これはちょっと難しい問題。ガウスの法則から、すぐに空洞の中はゼロとはいえません。そう思っているということは、ガウスの法則を誤解している可能性大です。適当な閉曲面を考えて、その中に電荷がない場合は閉曲面上での電場はゼロになると思っている人、誤解です。法則の意味をもう一度考え直しましょう。答えはやはりゼロなんですが、理由が違うんです。ちゃんと答えを出している人もいました。すごい。

  3. 3 磁場双極子モーメントの問題。磁場に関するレポート問題を出さなかったので、講義でやった内容をそのまま出しました。誘導にして、部分点を配点するつもりでした。が、試験終了後に誘導の仕方がうまくないとの指摘があったように、できている人とできていない人が完全分離しました。(何かシケプリ委員の読みでは「ここは出ない」とのことだそうであった。甘い。というか、いろいろ意見あり。)
    1. まずは、ベクトルポテンシャルを与える式をしめす。これは記憶系問題でよくなかったか?
    2. あとは、式に入れていくだけですが、ここの誘導が有効ではなかったようです。順々にやれば、覚える必要は何もないはずですが。。。とにかく、絵の状況を式に素朴に書いて欲しいところ。
    3. 磁気モーメントの式をまんま覚えている人もいますが、いちおう勉強したということで部分点はありますが。。。
    4. ベクトルポテンシャルから磁場を求める問題。(c)ができなくても、ここで外積の計算をやってみるだけでも点数をあげる予定でしたが、ここに乗る人はいなかった。
    5. それで、結局磁気モーメントって何なの?

全体として、出来はいまひとつでした。


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Koji Hukushima (hukusima@phys.c.u-tokyo.ac.jp)