先週導入した極座標表示での,運動方程式を導く.xyz表示の速度ベクトルを 極座標変数で表してから,極座標表示での速度ベクトルに移行する.後者は回 転操作に対応している.これがわかれば,順々に加速度ベクトルに移行するこ とが出来て,運動方程式をたてることができる.いたずらに複雑な式になって いる気もするが,振り子のように円上に束縛された運動を考えるときにはこち らの方が楽である.
それでは,その運動方程式を使って,振り子の運動を解析する.振り子の紐が伸縮しない状況では,動径成分の時間微分がいつでも0になるので,解くべき運動方程式はとても簡単になる.それでも2つの方程式が出て来るが,紐の張力の正体はよくわからないので,この時点で張力を含んだ方程式は解きようがないので,もう一つの方を解くことにする.さらに,振り子の振れ幅が大きくない状況では微小振動近似がよくなるので,そこで運動方程式を近似的に書き下すと,バネ振動の解と同じであることがわかる. 適当に初期条件を設定して未定定数を決めておく.さて,この系は力学的エネルギーが保存するかどうかを考えてみる.振り子に働いている力は,重力と張力であり,重力は保存力だし,張力は仕事をしないので,エネルギーは保存している.実際に,運動方程式の解から直接?エネルギーを計算することができる.その際に,微小振動がどう効いているかを考えてみると良い.力の正体の考察から,微小振動かどうかにかかわらずエネルギーは保存していることがわかるから,近似よりもちょっと広い意味でなりあっているはずである.また,正しく近似をしないとエネルギー保存則が見えないこともある...最後に,張力のことも考えておく.張力は解かなかった方程式から計算できると考える.実際の計算は宿題にしておく.
さて,ふりこは簡単なぶらんこの模型だと考えることができる.そうすると,揺れだしたぶらんこはある周期でずーとふれていることがわかる.しかし,実際には何もしないとぶらんこは止まるわけで,エネルギーはどこかへいってしまう.これはレポート問題に出した,減衰振動のあるパラメータ領域に対応しているように思われる.それでは,「漕ぐ」とはどういうことか.今度はぶらんこにエネルギーを注入しているわけだが,そのしかたはいろいろある.まず,子供の背中を親が押してやる場合を考える.これは,ぶらんこを周期的に押す力が働いている模型が相当する.これはプリントで配ったが,概要は説明しておく.いわゆる強制振動といわれるこの問題は,共鳴という興味深い現象を示す.ちょうど,ぶらんこの周期に合わせて,背中を押すと振幅がどんどん大きくなる現象で,実はこれを利用していることは他にもいろいろある.何があるかを考えてみると良い(面白い例があったら,こっそり教えて欲しい.ネタ帳にしこんで,来年の講義に使わせてもらおう).すわってこぐのも,ほとんど,この強制振動と同じだと考えられる.
最後に,強制振動とちょっと違うのが,「たちこぎ」で,詳細は来週に.
レポート1の解答例 (PDF:84KB)と強制振動のプリント(PDF:83KB)を 配る.同時に,基礎科の説明会のパンフを配る.かなりあまってしまった...
- 極座標での速度ベクトル,加速度ベクトルの式を求めよ.講義ではアウトラインと答えを示しておいた.
- 張力を計算して,その物理的な意味を考察せよ.結果は直観と符合するか?
- プリントに間違いはないか?
- Θドット抜けている...
- 抜けてました.他にもΦとΘが混在していたかもしれないと,ちと不安.