第7回

今日のおしながき
  1. 仕事とエネルギー
    1. ポテンシャル
      • いろいろ
      • ポテンシャル曲面
    2. ちょっと戻って,非保存力の例として摩擦の話し
  2. 振り子からぶらんこへ
    1. 極座標での運動の記述
今日のまとめ:

先週御協力頂いたアンケートの結果を話す.

実は先週の記憶が完全に失っていたので,はじまる前に一番前の学生さんにノートを見せてもらう.やはり,力学的エネルギー保存の式で終わっている.想定どおりであったので,今日はポテンシャルの話しからはじめる.ポテンシャルが与えられたときに,力を導いてみる.どっちが与えやすいかは問題にもよる.ポテンシャルは力ベクトルの仕事(線積分)なので,その逆は微分に関係しそうなことは容易に想像できる.そこで,微小変位の二点のポテンシャルの差を求めてみて,力との関係を見出す. これまでに登場した,言葉のお互いの関係を簡単にまとめておく.その中である力が保存力がどうかを判別する方法を議論しておいた.詳細は,ベクトル解析の知識がいるので,完全にはできないが,必要条件だけは簡単に示せそうである.宿題にしておく. 次に,ポテンシャルの幾つかの例をしめしておく.万有引力,バネ,レナード・ジョーンズのポテンシャルを与えておいて,それぞれ力を計算してもらう.

次に,ポテンシャルと力の関係を考えたときに,ポテンシャルの恰好を見ればどんな力が働いているかはなんとなく想像がつく.さらに,質点の初期条件(位置とエネルギー)が与えられれば,ある程度の運動の様子がわかる.運動方程式を解かずともである.そんな話しをうだうだとする.Hookeの法則がポテンシャル曲線の局所的二次近似と思える話しをする.こういう考え方をすれば,そもそもバネが線形であるとはどういうことか,またそこからずれつということはどういうことかがわかる?また,こんな風に絵に書いただけで話ができるのは,もちろんバネ振動の運動方程式を解いているからに他ならない.よく言われる?ように,人に説明するときには,まず中学生でもわかるように絵に書いて説明することからはじめると良い(実はこのレベルが一番むずかしかったりする).それで不満な人には,高校生でもわかるように式で書いて説明する.いろんなレベルで説明できるようなるためには,一番高みにいないといけないのだが..

ポテンシャルの話をいろいろしたので,ポテンシャルで書けない場合,つまり非保存力の話をする.「力学とは運動方程式を解けばそれで終わり」という簡単な話ではないことを,理解するために摩擦の例を挙げてみた.まだまだ摩擦力でもわからないことばかりである.

最後に残った時間で,振り子の運動解析のための準備として,極座標を用意しておく.講義では二次元だけしか扱わないことにして,そこでの極座標表示での速度ベクトルを書き下しておく.次回は加速度を出して,運動方程式を書いた後で,振り子の運動に行く.

今日の配布物:

なし.

今日の宿題:
  1. 力とポテンシャルの関係(F=-∇U)が成り立つときに,渦無しの条件(∇×F=0)が成り立つことをを示せ.
  2. 万有引力ポテンシャル,バネポテンシャル,レナード・ジョーンズ・ポテンシャル(スカラー)から万有引力(ベクトル)をもとめよ.
  3. 摩擦力はいつでも負の仕事をすることを示せ.
  4. 二次元極座標での速度ベクトルの表式を最後まで求めておこう.
今日の質問とコメント
回転の行列ってどういうこと.大きさ変わらない?
回転行列をAとすると,次のような性質を持っています.(1)A(Θ1+Θ2)=A(Θ1)A(Θ2) (2)A(0)=I(単位行列)(3)AtA=I (ここでtは転置).確かめてみよう.特に(3)の性質から変換についての大きさの不変が言える.y=Axとすると,y2=yty=(Ax)tAx=xtAtAx=x2.やはりHTMLで式を書くのはつらい.
レナード・ジョーンズ・ポテンシャルって何?
おそらく,質問の意図は,この式の心が知りたいということだと思ったので,状況を説明しておく.これは分子間のポテンシャル(分子間力)のモデルで,遠方では引力(ファンデアワールスの1/r6がある.近くになったときに,そのままでは中心にいる分子にめりこんでしまうので,十分近傍では斥力が働いていることが期待される.それを表しているのが,第一項のr-12である.斥力を表すのに,分子半径のところでかっちり排除するタイプ(ハードコア)もありうる.いずれにしても,どこかほどほどのところに安定平衡点があるのが共通の点である.たくさんの粒子を詰めて,うまーく,エネルギーを与えれば,その平衡点に落ちる,つまり,結晶ができるか?これは難しい問題である.
ポテンシャルから力への式変形
実は意地悪して,すっとばしています.テーラー展開してみましょう.変形できると思います.というのは,悪い気がしたので,アウトラインを示しておく.すると,すぐに理解できたようだったので,やはり簡単なのである.
摩擦力.見かけの接触面積に依存しないこと.
見かけの接触面積に依存しないということは,摩擦力が垂直抗力に比例することとほとんど同じじゃないか.と指摘される.あれあれ.そうです.そうです.だから,高校の教科書には,摩擦力は垂直抗力に比例すると書いてあるわけですね.でも,摩擦力の不思議さを感じるのは,「見かけの..」ですね.まず,垂直抗力が摩擦力と直接関係しているのだとすれば,それはそれでものすごく不思議です.どうして,力が直角方向に伝わる?のかが不思議です.力が分解できないということをいっているようなものですから.その上で,摩擦力の理由を考えてみると,素朴には,ひっぱったときに,下の台から物体を引き剥すときに力が発生しているように思えます.そうすると,接触面積に比例しているように思うわけです.やっぱり,不思議なのです.と説明すればよかったか...
もっとも,摩擦のアモントン=クーロンの法則は日常スケールのかなりよくなりたっている経験法則であって,それがずれることは実験的には知られています.
εかE(もうちょっと丸まっている)か?
微小量を書くときに,私はE(角がまるまっている)を使ってしまいます.これは集合の要素を表すときの記号と同じで,混乱すると指摘されました.そーですね.でもこれはクセなので,直らない気がします.物理のある分野(?問題?)では微小量をE(丸い,しつこい)で表し(計算し)ます.
tanh xヘン
プリントの10ページの下のtanhの定義の分母がe(x)-e(-x)と引き算になっていました.間違っています.前後を見ればおかしいので気付きますよね(いいわけ).
今日のコメントについて
  • 数学っぽくなってきて辛い.
  • 物理が数学っぽくなってきたというよりも,道具として数学を使うようになって難しいということだと思います.εδとかじゃなくて,計算ばかりなので,訓練をすればできるようになると思います.もちろん,
  • 偏微分とかテーラー展開とかよくわかりません.
  • 訓練は必要です.手を動かさないと絶対にできるようにはなりません.わからないところがわかっているのですから,そこをつつけばいいです.人に聞いてみるのもいいと思います.がんばってください.
  • 誰もコメントなしですね.
  • それは寂しいですね.
    今日の雑談と反省:

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