第6回のおさらい

今日のおしながき
  1. 静電場の世界
    1. ガウスの定理と微分形のつづき
    2. ストークスの定理と電位
      • ストークスの定理
      • 電位,静電ポテンシャル
      • 静電ポテンシャルの満たす方程式
今日のまとめと反省

先週はガウスの定理をざっくり証明するところで終わった.この定理を使って,ガウスの法則の微分形をk導いておく.どうして微分形なのかの理由は先週の最後に話したように,近接作用の考え方が重要だからである.さて,ガウスの法則はクーロンの法則の全てを含んでいないことを考えてみるようにと先週の宿題を出しておいた.ここでは答えを示した.クーロンの法則からガウスの法則は出てきても,ガウスの法則だけからは,クーロンの法則,すなわち,電場を決定することはできないことを示した.欠けている情報は何か.ちょっと天下り的だが,∇×E=0であることを話す.これはベクトルの式なので,3つの式である.うーみゅ(宿題へ) .それは次の話と関係する.

次にベクトル場の回転に関する話へ移る.それは回転定理(ストークスの定理)である.講義では証明はしないことにした.ガウスの法則を証明出来た人にはやはり簡単にできるであろう.そのためのアウトラインだけ示しておく(宿題).ストークスの定理を見ると,右辺はなんか仕事っぽくて,左辺は上のrotE=0っぽいですね.というわけで,電場中を電荷を動かす時の仕事を考える.ここからは力学の復習.保存場,保存力の場合には,ポテンシャルを定義することができた.それは仕事が経路に依らないからで,そうでない場合には仕事は経路を指定しないと決まらないので,ポテンシャルなど作れない.さて,この静電場の場合は保存場だろうか.すぐに見破れますか?私の力学の講義では,見破る方法はrotをとることだと示したが,その理由は...と最後にストークスの定理に至って,その証明は電磁気でやります,と逃げて来た.が,やはりここでもストークスの定理は逃げてしまった.まあ,とにかく,電場の場合はポテンシャルが単位電荷あたりの仕事として定義できます.

電位を導入したので,クーロン電位を陽に示しておく.本当はここで静電遮蔽の話をしようかと思ったが,時間が無かったので,これまでに示して来た静電場の理論的な構造をまとめておく.クーロンの法則からはじまって,...最後にポテンシャルの満たすべき方程式を導いて,それを解ければぐるーっとまわってクーロンの法則にもどって来れます. 今日はここまで.ちょっと抽象的な話が多かったかも知れませんが,話がきれいで面白いところではあると思うのですが,どうでしょうか.

今週の配り物:
なし.
今週の宿題:
なんだか,宿題出しすぎかなー.
  1. ベクトル場の性質を示せ:∇・(∇×A)=0
  2. * ストークスの定理の証明:(来週プリントを配ります.が,それまでに自分でできるかな?)
  3. ガウスの法則(∇・E=ρ/ε0)と渦無しの法則(∇×E=0)では,3つの変数(Ex,Ey,Ez)を決めるために4つの条件式があることになっている.これは条件多すぎないか?
  4. 点電荷の作るクーロン場に対して,点電荷の位置以外では∇×E=0になっていることを示せ.
  5. クーロンの電位から,クーロン電場を導け.(電場とポテンシャルの関係のチェック)
今日の質問:

うーん,まずまずか.

ガウスの法則で電場が決まらないとは...

今日講義で示したことはわかったけど,「だからそれがどういう意味なのか?」が質問. クーロンの法則からガウスの法則を導いたのは前回やったこと.では,ガウスの法則からクーロンの法則が導けるかというのが問いとすれば,それはできません.それを示すのは幾つかの方法があると思うが,その一つはガウスの法則を満たすベクトル場から,別のへんてこりんなベクトル場(∇×A)を加えたものを考えると,これもまたガウスの法則を満たすことになる.つまり,ガウスの法則を満たす"電場"はいくらでも勝手に作れるということ.

渦無しの条件は突然やってきた.

ガウスの法則では足りない条件はどこからくるかとの疑問の答えは渦無しの条件だと言った.それは大変唐突だったということであった.確かに講義ではいきなり答えを出してしまった感があります.しかし,その次に保存場の話しをしました.そこからストークスの定理を経由すれば渦無しの条件がその必要十分条件として出てきます.ですから,渦無しの条件が出てくる必然は保存場やエネルギーの考察から出てくるわけです.さて,もう少し突っ込むと,「その渦無しの条件でガウスの法則で欠けている部分が補填できているか」がその次の疑問(のはず).それは下につづく.

(これは上とは別の学生の質問)ぐるーっと戻って来ていない.静電ポテンシャルの方程式は解いたの?

講義では静電場の法則のいくつかの法則はお互いに絡み合っていることをお話した.ただ,絡み合っているだけでは,同じ性質の別の表現とも言えるが,実際にはそれぞれの法則からわかることは微妙に(少なくとも私程度の人間には)違って見える.例えば,クーロンの法則をじっと睨んでいてもピンとこないことが,ガウスの法則からはグッとくることがある.
さて,質問は別の表現として,ガウスの法則と渦無しの条件を持ってきたときに,「その二つだけだからクーロンの法則にもどってくることができる」ことは本当か?というものであった.実はここはサボっ(たか,さー口で喋っただけであっ)た.言いたかったことはこうである.渦無しの条件からポテンシャルの定義できる.もしもこの条件が補填分(上からの続き)であったなら,ガウスの法則と合わせればそのポテンシャルはクーロンポテンシャルになるはずである.それができるということである.つまり,ガウスの法則をつかって,ポテンシャルの満たす方程式を書き下して,その解がクーロンポテンシャルであることを示せるわけである.最後のところは講義では十分に説明していない.是非,興味を持てばツッコんでみてほしい.

投票用紙の裏から
前回人数が少なかったのは1学期の物理Aの追試があったからでは?

御指摘ありがとうございます.そうかなとは思っていました.しかし,これは問題ですね. 悪い言い方をすれば,「不可」の連鎖反応になりかねません.

イメージがわかない授業だと感じた.

そうですか.よく言われいるのに,改善がないですね. 数学の話しのようになっているということでしょうか.

字をもう少していねいに.

今日はちょっと自覚ありました.あんまりひどいので,自分でもわらっちゃうくらいでしたね.反省.

概観がわかりにくいかも.全体のうちで今どこをやってるのだろうか.

静電場のあたりですが...今日の最後で静電場がまとまった感じがしませんか? 残りの回数を見ながら,今後のおおざっぱな予定を一つ上のページに書き込みました.どうでしょう.

進度ちょうどよいに一票.しかし,全範囲終わるのでしょうか?問題演習はレポートだけ?

そうですね.目標は「マクスウェル方程式」までと思っています.電磁波と物質中の電磁場はやらないつもりです.そう設定すると,なんとか終わるかな?問題については,後は「宿題」ですか.それから,問題演習が解けるようになることと,理解することは意味が違います.大学生に真に問われていることは「与えられた問題をサクサク解く能力」だけではないですね.

今日の雑談と反省:

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