とうとう最終回になりました. 最初にレポートの解答例を配り,試験の日程等の話しをした.あんまり話すとネタばらしをしてしまいそうなので,適当に切り上げる.少しだけ講義のときに話したことは,過去問とはかなり傾向が違うということです.
先週変位電流の説明をして,アンペール・マクスウェルの法則が出たので,マクスウェル方程式が全て出揃いました.今日はこれらを一度まとめておきました.これれは,電場磁場の従う法則をまとめたものです.それに,荷電粒子がそれらの場を感じる法則であるローレンツ力と,ニュートンの運動方程式をあわせれば,古典電磁気学の全ては出揃ったことになります. まずはこれらのシンプルできれいな方程式らに関心するとともに,一方で,それらの生い立ちを思いながら,14回の講義を振り返るとよい復習になるのではないでしょうか.
さて,第二回目にLC回路の振動において,LとCの間をエネルギーが振動している様子を説明しました.さらにそれらのエネルギーは空間にある場が持っているように書き表すことができると話しました.ただし,それらはソレノイドコイルと,平行平版コンデンサーの特殊性を使った結果でした(高校で出来る制限でもある).電場のエネルギーは以前に示しましたが,磁場のエネルギーはまだ示していませんでした.それには少し考え方に工夫がいるし,電磁誘導を知らないとできなかったので,このタイミングで説明することにしました.電荷のエネルギーが電場の中を無限の彼方から連れて来る仕事であったのに対応する?ように,電流を定常電流まで流すために必要な仕事を調べます.ここで,電流を流すことによって生じる磁場と,さらにそれが変動することによて生じる誘導電場の中で,電荷に働く力はもちろんローレンツ力ですが,そのうち,磁場は仕事をしないことがすぐにわかります.このことから,考える対象は誘導電場による仕事です.これを回路にそってする仕事を計算すると,自己インダクタンスを使って,LI2/2になることが出てくる.また,その途中でアンペール・マクスウェルを用いると,B2/2μ0の空間積分になることもわかる.ここまでくると,ソレノイドコイルの特別な場合に求めた磁場のエネルギーが一般的に求まったことになる.これもまた電場ときれいな対称的に見える.
最後に,残り二十分でどうするか迷う.アンケートに10分とることにして,うーん,と思ったが,やることにした(理由は下に).マクスウェル方程式はきれいとはいえ,磁場と電場がきれいに?混ざっているために解くのは面倒そうである.そこで,電場と磁場の三成分ずつを決めるのもなんとなく損している気もする.そこでポテンシャルの方程式を導くことにする.ベクトルポテンシャルは静磁場の時のまま導入するが,電場の方は,もはや保存場とは思えないので,電磁誘導の部分も含めて,左辺に持ってきて,rot(何何)が0になる形にしてから静電ポテンシャルを導入する.これで(E,B)から(Φ,A)への移行の準備が出来たので,それぞれの法則に代入してみる.2つの方程式にまとめる.その2つはまだまだ複雑で,みるもおぞましい形をしているが,ここでゲージ変換の自由度を使って,ゲージを固定する.以前にしたように,divAを固定することにする.前はクーロンゲージをとったが,ここではローレンツゲージをとることにする.そうすると,どちらの式も,きれいな波動方程式になる.ちょっと駆け足だったが,最後に電場磁場が波動と思える証拠の一つを示すことができた.
残り10分前になったので,アンケートのお願いをした.私のアンケートに対する考えも話す. 時間もあまりなく,慌ただしく終わったのが少し残念だった.まったくもって,あじわいの無い最終回になってしまった.講義全体についての反省は試験の後にまたWEBに書くことにする.
レポート3の解答例(PDF:73KB).
作ってみると,4ページをちょっとだけはみ出す.2段両面印刷すると最後のちょっとのために紙を一枚余計に配らねばならない.とってももったなくて,資源の無駄のようだったので,何かを書こうと考えた.以前に環状電流のつくる電場を円の中心軸上だけ求めたような気がするので,微小条件をつけて磁気双極子モーメントを求めておく.ただ,どうも寝ぼけていて,最後の方は寝ぼけていて,何度も同じタイプミスを繰り返したり,説明がヘンだったりと,要するにほとんど寝ながら書いたのが5ー6ページ.間違いがないか疑いながら見てください.
- 途中の式変形をフォローせよ.
- 磁場のエネルギーが磁場の二乗になることを示す途中で,ある積分がゼロにあることの理由.
説明する.単なる式変形ではなくて,ちゃんとゼロになる理由を考えなくてはいけないところ.どのような問題設定になっているかが分れば,答えは自然に出てくる.
- 磁気双極子モーメントってやったっけ?やってないってことは,試験に出ない?
なんか痛いところをつかれているようで,ちょっとびびる.まず,磁気双極子モーメントは明示的には講義で言わなかったが,今日の最初に環状電流が作る磁場が電気双極子モーメントのつくる電場と同じことであることを,プリントを配って説明した.それが,磁石と同じように見えるとも説明する.
しかーし,学生の話しをよーく聞いてみると,「反対のものを写ったところにおいてやる..」それは...「それは鏡像法のことです」ね.今回の講義ではやりませんでした.去年の問題にはそれを出したんだけどね.
それは簡単ですね.みなさんが希望しなかったからです.講義でも言いませんでしたっけ.講義に参加している全員の共通の認識ができているならば,あえて配ることはないかと思ったのです. 冷たいようですが,ほっといても何でも準備してくれるのは,予備校までとお考えください. いくら大学もサービス産業だと言われても,サービス漬けにして腑抜けた学生を作る方が日本にとって非サービスだと思うよ.
これは上のコメント.まず,細かい突っ込みをいれると,「内容の7割」ではなくて,講義の7割ですよね.講義内容は式変形を教えていたわけではないですし.最初の左辺と最後の右辺を見て,何を感じるかはみなさん次第だと思います.それは講義中に出来なくてもよくて,復習するときによくよく反芻して欲しいところです.それから予習は要らないです.よく復習していればいいのだと思います.講義中にこれまでの道筋のどこの発展になっているかをかなりコメントしながら講義をしたつもりです.そのときにピンピンきていれば,気持ちよくなれたと思うのですが...
でも,式ばっかり書いていたのも事実です.式無しで講義できればそれに越したことはないです.そんな先生もいるんでしょうね.
これは痛恨ですね.あんなのと同じようですか?悪いですけど,私は金で買えないものって沢山あると心底思っています.
不可にならないように勉強して下さい.これも心底願っています.
こういう,素直な感想が一番こたえる.
「がんばっていた」って,そりゃ当り前です.
最後に見たコメントがこれでよかった...
質問事項 | 難易度 | 熱意 | 興味 | 知識の獲得 | 総合評価 |
この講義 | 3.81 | 2.7 | 2.02 | 3.54 | 3.42 |
科目平均 | 3.73 | 2.36 | 2.03 | 3.57 | 3.34 |